ウクライナ外務省、「ウクライナ無人機攻撃により子供が死亡」との情報を否定

オレフ・ニコレンコ外務報道官は、「子供の殺害」という偽情報は、ロシア連邦による対ウクライナ心理作戦の一要素であるとしつつ、「ウクライナの無人機により子供が殺害された」との情報は民間ファクトチェック団体により否定されていると発言した。

6日、ニコレンコ外務報道官がフェイスブック・アカウントに書き込んだ

報道官は、「私たちは皆、スロヴヤンシク市における少年が『拷問された』という捏造情報を覚えているだろう(編集注:2014年7月12、13日放送のロシア国営第1局による偽情報)。当時のも、現在のも、目的は被占領地とロシア国内における敵愾心を掻き立て、現実を歪め、ロシア集団の挑発を正当化することを目的としている」と述べた。

報道官はまた、ロシアの報道機関によるドネツィク州の非政府管理地域に位置するオレクサンドリウシケにて子供がウクライナの無人機の攻撃により死亡したと報道したことにつき、同情報はウクライナの民間ファクトチェック機関「ストップフェイク」が検証し、否定したと伝えた。報道官は、「目撃者は、その不幸な事例について述べている。子供は、ガレージで見つけた地雷の爆発によって死亡している。さらに、オレクサンドリウシケは、ウクライナの配置地点から30キロ離れている。ウクライナ軍の無人機は一つとしてその距離を飛行できない」と強調した。

同氏は、ロシアは、ウクライナ東部情勢の激化を始めるときには毎回のように類似の情報挑発を行なっていると指摘し、「まさにそのため、ウクライナは、国際パートナー国とのコンタクトの際に、ロシアが東部での治安情勢を激化する際には、同国の情報部隊も前進し、メディア上でロシア軍の犯罪正当化のための『背景』作りをするのだと強調している。オレクサンドリウシケの子供のストーリーは、そのような作戦手法の一例だ」と発言した。

ファクトチェック団体「ストップフェイク」は、検証報告にて、ソーシャルメディア上の地元住民の発言を参照しつつ、亡くなった子供の祖父が発見した爆発物を家に持ち帰っていたこと、子供の死因となった爆発の前に、砲弾飛来音を誰も聞いていないことを伝えた。

また、同日、欧州安全保障協力機構(OSCE)ウクライナ特別監視団(SMM)は、日報において、本件に関する聞き取り結果を報告している

SMMは、オレクサンドリウシケの少年の死亡現場には訪問していないが、ドネィツク死体安置所代表者と亡くなった子供の祖母と電話で話をしたと伝えた。

SMMは、4月2日に被占領下ドネツィク州オレクサンドリウシケ(ドネツィク市から北東47キロ、コンタクト・ラインから南14キロ)にて、少年が死亡したとの情報をフォローしたとし、「4月6日、少年の祖母は、SMMに対し電話で次のように話した。4月2日日中、彼女が爆発音を聞いた時、彼女の孫はオレクサンドリウシケのドロジニャ通りにある彼女の家の近くにいた。祖母は、屋外に、白・黒の煙を見たと補足した。彼女は、表に出て、地面に横たわる孫を見たと述べ、建物の壁と隣人の柵への破片と損傷の跡に気がついたと述べた」と伝えた。

これに先立ち、ロシアのプロパガンダメディアは、4月2日夜、ドネツィク州オレクサンドリウシケにて、5歳の子供が、あたかもウクライナの無人機の攻撃の結果で死亡したとする情報を積極的に拡散し始めていた。ロシア連邦国家院議長うもまた、本件にコメントし、欧州評議会にてウクライナ問題を提起するよう呼びかけていた。同時に、ロシア側は、本件に関する証拠となるような写真、動画、爆発物の残骸、事件発生地点の座標、時間、犠牲者情報、負傷の詳細といった情報は一切提示していなかった。