2020年にロシアがクリミアから追放・強制移住させた人物は178名

クリミアにおけるロシア占領政権の「裁判所」は、2020年を通じて、少なくとも178名をクリミアから追放する、あるいは強制的に移住させた。その内、105名がウクライナ国民である。

11日、マチルダ・ボグナー国連ウクライナ人権監視団団長が第31ウクライナ人権状況報告書の発表の際に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。

ボグナー団長は、国連人権監視団は、ウクライナ領クリミア自治共和国とセヴァストーポリ市における、占領国ロシア連邦による人権侵害と国際人道法規範違反を確認し続けていると述べた。

団長は、具体例として、クリミアにてウクライナ正教会が受けている圧力が着実に大きくなっており、被占領下クリミアにて同教会が保有する最大の施設を失う可能性が生じていると指摘した。団長はまた、クリミアでは他の宗教団体も類似の圧力を受けていると報告した。

また団長は、「追放と強制移住も続いている。2020年、クリミアの裁判所は、ウクライナ国籍者105名を含む、ロシアの移民法に従い外国人とみなされている少なくとも178名の人物の追放と強制移住に関する命令を発出した。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、保護対象者の占領地から占領国あるいは他の国の領土への個人・集団の強制移住あるいは追放を、国際人道法が、その動機を問わず、禁じていることを喚起する」と発言した。

加えて団長は、OHCHRが被占領下クリミアとロシア連邦領の不適切な拘禁条件に関する報告に懸念していることも伝えた。さらに、ロシア連邦にて懲罰を受けているクリミア出身の被拘束者が外部とのコンタクトを取れない状態であることにつき、そのような状態は「拷問の形態」として過去に繰り返し定められてきたものだとして、OHCHRの懸念を強調した。

なお、今回の第31国連ウクライナ人権監視団報告書は、2020年8月1日から2021年1月31日までの活動期間の監視内容をまとめたものとなっている。

同報告書は、OHCHRウェブサイトからダウンロード可能となっている。

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