ルカシェンコ・ベラルーシ大統領、拘束傭兵につき「罪が立証される前は、誰も引き渡さない」

ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、同国治安機関が7月29日にミンスク近くで拘束したロシアの民間軍事会社「ワグナー」の傭兵につき、罪が立証されるまでは引渡しは行わないと発言した。

ルカシェンコ大統領がウクライナのドミトロー・ホルドン記者へのインタビュー時に発言した

ルカシェンコ氏は、「私たちには、ロシアとウクライナとの間の国際協定がある。ウクライナ、ベラルーシ、ロシアの検事総長、治安システムが連絡を取っている。私は、先ほどゼレンシキー氏とそのことについて話した。更に注意を向けよう。(中略)彼らが、明確な全体図ができるよう、作業している。全体図が確定するまでは、誰も引き渡されない」と発言した。

同時に同氏は、「(引渡しを)要請する国は、それら人物の罪を証明しなければならない」と発言した。

更にルカシェンコ氏は、ワグナー傭兵のベラルーシの派遣の決定が、ロシアのどのレベルで採択されたかについて、自らの予想について言及した。また、ワグナー社の所有者だとみなされており、「プーチンの料理人」の異名を持つロシアのビジネスマン、イェヴヘニー・プリゴジン氏について、ルカシェンコ氏は「(自身と)最善の関係を有している」と発言した。同時に、ルカシェンコ氏は、「しかし、彼(プリゴジン氏)は、他者の手の中のおもちゃであり、彼は決定を下さない。そう、彼は組織をし、彼らに支払いをしているだろう…。しかし、(編集注:決定したのは)彼ではない。もう少し上の、省の次官級だ」との見方を示した。

これに先立ち、7月29日、ベラルーシの治安機関がミンスク近郊にてロシアの民間軍事会社「ワグナー」の傭兵33名を拘束したと発表していた。同国国営メディアは、彼らは、「選挙期間中の情勢不安定化のために」7月25日にベラルーシに入国していたと報じた。ルカシェンコ大統領は、安全保障会議において、ロシア連邦を「汚い意図がある」として非難している。

ベラルーシにて拘束されたよう傭兵の中には、ウクライナのドネツィク・ルハンシク両州出身者が含まれていることが分かっている。ウクライナ大統領府は、ウクライナはベラルーシに対し、ドンバスにおける犯罪容疑のある、ロシアの民間軍事会社「ワグナー」戦闘員の引渡しを要請すると発表していた。

5日、ゼレンシキー大統領は、ルカシェンコ大統領と電話会談を行い、ウクライナ東部ドンバス地方にて違法集団の行為に関与した人物は刑罰を免れないと述べ、「ウクライナ領でのテロ活動を行った容疑のある者が全員、刑事責任追求のために、現行国際法に従って私たちに引き渡されることを期待している」と発言した。

なお、現在ベラルーシでは、8月9日に投票日を迎える大統領選挙の選挙運動が続いている。野党勢力では、同様に出馬が認められなかったツェプカロ氏とヴィクトル・ババリコ氏が、スヴェトラナ・チハノフスカヤ氏への支持を表明しており、このチハノフスカヤ氏が同選挙における主要な野党候補となっている。