「併合ではなく占領」 クリミア・ウクライナ代表部、脱占領問題マニュアルを発表

クリミア自治共和国ウクライナ大統領代表部、一時的被占領地再統合担当省、最高会議人権・一時的被占領地脱占領化・再統合委員会は、共同でマニュアル「クリミア・セヴァストーポリ脱占領担当政権機関の行動の一致」を発表した。

2日、ウクルインフォルムにてプレゼンテーションが行なわれた。

アントン・コリネヴィチ・クリミア自治共和国ウクライナ大統領常駐代表は、今回作成されたマニュアルは、被占領地にて起きている事について政権機関による共通の立場を形成するのに役に立つものだと指摘した。

コリネヴィチ代表は、このマニュアル作成は、政権機関と報道関係者が対話をする中でアイデアガ生まれたと述べ、「私たちは、常に正しい用語が使われているわけではなく、一時的被占領地に関するプロセスについて必ずしも正しい理解があるわけではない、ということに気がついた。そして、それは修正可能であることで、修正すべきだと考え、その原因はコミュニケーション不足、説明不足によるものだと考えた」と述べた。

発表されたマニュアルは複数の項目から構成されている。

最初の項目には、被占領下にあるクリミアとセヴァストーポリに関する基本的事実が記されており、ウクライナにて採択された被占領地問題に関する重要な法的文書に関する情報が掲載されている。

次に、クリミア関連の用語集が掲載されており、一時的被占領地に関して国家機関関係者が言及する際に推奨される用語が掲載されている。同用語集には、クリミア自治共和国とセヴァストーポリは「一時的占領」下にあるのであり、「ロシア連邦が併合したクリミア」という表現は誤と説明された。

コリネヴィチ氏は、「記者たちが(編集注:クリミアに関して)『併合』という用語を使いたいのであれば、完了形の『併合された』ではなく、『併合が試みられている』と言った方が良い。(マニュアルには)そのことについての理由が書かれている」と説明した。

また、同用語集には、「先住民」といった用語の解釈についても記述されている。特に、「先住民」と「民族マイノリティ」がなぜ類語ではなく、異なる概念なのか、なぜクリミア・タタール人は「ウクライナの先住民」に分類されるのか、といったことが説明されている。その他、「政治囚」「捕虜」といった、現在重要となっている用語の概念についても説明が書かれていると伝えられた。

続けて、マニュアルには、クリミアへの電気・水供給や、クリミアとの間の交通網の再開といった問題に関するウクライナ政権の法的・政治的立場について記された項目も含まれていると説明された。

コリネヴィチ氏は、「私たちに対して、クリミアへの水供給問題がよく質問される。私たちは、このマニュアルに、『今なぜそれをしてはいけないか』という一般的立場について、全ての詳細を記せたと思っている」と発言した。

加えて、同項目には、被占領下クリミアに居住するウクライナ国民へ行政サービスを提供することの必要性や、住民へのロシア国籍強制付与問題、占領国軍隊への強制徴兵の問題について説明がなされているとのこと。

コリネヴィチ氏は、今回発表されたマニュアルは政権機関向けのものであるが、来週には報道機関向けに改編した版のプレゼンテーションが予定されていると伝えた。

コリネヴィチ氏は、政権機関が仕事をする上で、このマニュアルが毎日使われ、被占領地状況を理解する上でのアプローチを形成することになるべきだと指摘した。

なお、同マニュアル(ウクライナ語)は、オンラインでも公開されている。