駐EU大使、クリミアへの仏議員「渡航」への対処を要請

ミコラ・トチツィキー駐欧州連合(EU)ウクライナ大使(兼駐ベルギー大使)は、欧州議会幹部に対して、フランスの欧州議員による被占領下クリミアへの違法訪問を非難するよう要請した。

駐EUウクライナ代表部がウェブサイトにて発表した

発表には、「ミコラ・トチツィキー駐EUウクライナ代表は、ダヴィド・サッソリ欧州議会議長とダヴィド・マカリステル欧州議会外務委員長に対して、被占領下クリミアへフランスの欧州議員が違法に渡航した件を断固として非難し、しかるべく対応するよう要請した」と書かれている。

トチツィキー代表は、今回の欧州議員のクリミア渡航が示すのは、ロシア憲法改正の「国民投票」の被占領地での違法な実施をはじめとする、ロシアがウクライナ領で行っている違法行為をあらゆる代償を払ってでも合法化しようとしていることだと指摘している。トチツィキー代表は、今回のフランス議員のクリミア渡航はウクライナ国内法への違反というだけでなく、EUのウクライナ領土一体性支持という公式立場にも反するものだと指摘した。

代表は、欧州議会がウクライナの主権と領土一体性への支持を表明する決議を2014年以降繰り返し採択してきたことを喚起しつつ、クリミア併合試みの不承認、同地の人権状況や軍事化が常に議題に上がっていることを指摘し、欧州議会はロシアのクリミア併合の試みの一部となってはいけないと強調した。

これに先立ち、6月30日、ティエリー・マリアーニ議員率いるフランスの欧州議員一団が、違法にクリミアへ渡航したことが判明。一団は、7月2日まで現地に滞在すると伝えられていた。

なお、フランスの極右政党「国民連合」所属のマリアーニ議員は、過去にも被占領下クリミアに違法に渡航したことがある。ウクライナの治安機関は、同議員に対する刑事捜査を開始しており、また保安庁(SBU)により同議員はウクライナへの渡航が禁止されている。