OSCE報道の自由担当、ウクライナの偽情報対策法案につき懸念表明

欧州安保協力機構(OSCE)における報道の自由問題担当のアルレム・デジル代表は、ウクライナにて作成された、偽情報対策法案の複数条項につき懸念を表明した。

23日、デジル代表の報道機関向け声明が発表された。

声明にて、同代表は、「私は、偽情報との闘いが必要であることを、とりわけウクライナとその周辺の現在の紛争において、理解している。しかし、それは報道の自由を犠牲にしたり、国家の報道内容や国内ジャーナリストの活動への介入となってはならない」と発言した。

同代表は、ウクライナにある現行法にて「既に社会にとって危険な情報への対抗のメカニズムは定められている」と発言した。

同時に代表は、「偽情報との闘いは合法」と強調しつつも、「しかし、誰もが視点を表明する自由は、ウクライナ憲法に記載された権利であり、OSCE内でのウクライナの義務であり、その他の国際義務にも含まれるものであり、完全に遵守されねばならないものだ」と伝えた。

デジル氏は、情報操作との闘いで重要な要素となるものとして、自己規制、ジャーナリズムの専門的基準のサポートとファクトチェッキング(真偽検証)、報道の独立、誤った情報を摘発するための情報源の多様化、メディア・リテラシーの発達を挙げ、また、信頼のできる情報へのアクセスを確保することが決定的に重要だと伝えた。

デジル氏はまた、複数の報道機関連合、報道の自由を扱う市民団体、ウクライナ全国記者同盟、欧州記者連合が「新しい法案を強く批判した」とし、その主な要因として、同法案が国家による報道分野への過度の規制とコントロールを定めており、記者の自己規制に強く影響を及ぼすからであると指摘した。

その上でデジル氏は、ウクライナ政権との協議に加わり、「報道の自由に否定的影響をもたらさずに、国際基準に完全に合致させることを保証させるための法案再考」を保障する準備があると伝えた。

これに先立ち、1月20日、文化・若者・スポーツ省は、国家情報安全保障・信頼できる情報へのアクセス権法案、通称「偽情報法案」を公開し、報道関係者、関連研究所・市民団体、メディア問題専門家、法律家に同法議論に加わるよう招待していた。

同省はまた、同法案は、ロシア連邦のハイブリッド侵略の条件下、ウクライナの情報分野における偽情報との闘いのメカニズムを適用し、国民のメディア・リテラシーを高めることを通じて、国民の信頼でき、バランスのとれた情報へのアクセス権を保障することを目指すものだと伝えていた。