OSCE特別代表、ミンスク諸合意につき「まず治安、それから政治」

ミンスク諸合意の実現は、まず治安項目が履行されねばならず、その後で政治項目へと移行できるようになる。

ウクライナ・ロシア・欧州安保協力機構(OSCE)からなる協議フォーマット「三者コンタクト・グループ(TCG)」にて、2015年からOSCEの特別代表を務める、マーティン・サイディック氏がオーストリアのDie Presse紙へのインタビュー時に発言した

「(編集注:ミンスク諸合意の)構造の観点から見れば、全て論理的である。停戦、重火器撤収、(兵力)引き離し。ウクライナの非中央集権化の一環での特別地位、恩赦だ。双方は、自らの優先課題を異なる形で設定している。あなたが同諸合意を最初から最後まで読めば、治安項目が実現されてから、政治項目を履行しなければいけない、ということを理解するであろう」と発言した。

また、同特別代表は、2015年にTCGにおけるOSCE特別代表となった際、「治安問題協議と並行して、政治問題の協議が始まっていた」と発言した。同時に同代表は、それは「ウクライナ側による重要な妥協であった」と喚起した。

しかし、ロシア側は、それに加えて、更なる要求として「ドネツィク・ルハンシク両州一部地域に対する自治の付与」を要求し始めたのだという。

更に、サイディック氏は、ロシア側による「ウクライナとドンバス代表者がミンスクで協議を行っている」との主張を否定した。サイディック氏は、「ロシアは、そのように述べているが、しかしながら、それは事実に反する」とし、全ての決定はTCG(ウクライナ、ロシア、OSCE)レベルでのみ決定されているのであり、作業部会レベルではないと説明した(編集注:三者コンタクト・グループ(TCG)は、ウクライナ、ロシア、OSCEからなる。武装集団代表者は、TCG会合への出席のみ認められており、TCGの決定には権限を持たない。TCGの決定は、三者(ウクライナ、ロシア、OSCE)により下されている)。

サイディック氏は、2015年にTCG・OSCE特別代表になった際には、同紛争が政治的に解決されることへの期待を抱いていたが、しかし、その後「それが幻想であることがわかった」と述べた。

同時に、同氏は、同紛争は解決できるとし、「ミンスク諸合意は解決のための効果的手段となり得るものだ」と指摘した。