オランダ、武装集団戦闘員ツェマフ氏のロシアへの引き渡しに遺憾

オランダは、武装集団「DPR」戦闘員であり、マレーシア航空機MH17撃墜事件の証言者である、被拘束者交換におけるヴォロディーミル・ツェマフ氏のロシアへの引き渡しを遺憾に思っている。

ステフ・ブロック蘭外相の同国議会への書簡に書かれている。ドイツのDW通信が報じた

報道には、「オランダ政権は、ウクライナ政権がツェマフ氏をロシア側に引き渡す決定を下したことを残念に思っている。なぜなら、今後、ツェマフ氏の責任を問うことができなくなることを、おそれているからだ」と書かれている。

ブロック蘭外相は、またオランダ政府は、ハイレベルで複数回に渡りウクライナ政権と連絡をとり、ツェマフ氏を引き渡さないよう努力をしたことを伝えた。しかし、モスクワがツェマフ氏引き渡しを主張。ブロック外相は、「(ウクライナ)政府は繰り返し、ロシアが(捜査に)協力することを期待していると述べた」と指摘した。

同時に、ブロック蘭外相は、ウクライナがロシアにツェマフ氏を引き渡す前に、オランダ検察捜査官はツェマフ氏に尋問を行うことができたと伝えた。同外相によれば、ウクライナはオランダ捜査官がツェマフ氏に尋問する時間を作るために今回の被拘束者交換のタイミングを遅らせたのだという。

なお、本件に関して、7日、ヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領もまた、ツェマフ氏に尋問が行われたことを認めている。大統領は、「尋問は行われた。引き渡し直前だけではない」と発言している。その際大統領は、「欧州の首脳たち」と調整した捜査行為であったことを認めた。

また、イヴァン・バカーノウ保安庁(SBU)長官は、同日、ツェマフ氏の被拘束者交換リストへの追加は、ロシアからの「義務的条件」であったと発言した。バカーノウ長官はその際、「モスクワがツェマフ氏を自らのリストに加えるよう要求したことは、MH17撃墜にロシア連邦が関与していたことを改めて確認するものである」と発言している。

なお、9月5日、キーウ(キエフ)控訴裁判所は、武装集団「DPR」のスニージュネ市の元「対空防衛部隊指揮官」であり、MH17撃墜事件の証言者である、ヴォロディーミル・ツェマフ容疑者の未決囚予防措置を、拘束から特別義務の下での釈放に変更する判決を下した。ツェマフ氏は、本年6月末、ウクライナの特殊機関が被占領下から連行した人物。