ウクライナ、ケルチ危機を受けてブダペスト覚書署名国の緊急協議開催を要請

ウクライナは、ブダペスト覚書署名国に対し、緊急協議の開催を要請した。

5日付外務省声明に記されている。なお、ブダペスト覚書とは、1994年にウクライナが核兵器を廃棄することと引き換えに、アメリカ、イギリス、ロシアという核保有国がウクライナの安全を保証することを記した文書「核兵器不拡散条約(NPT)へのウクライナの加盟に関係した安全の保証に関する覚書」の通称。

声明には、「ロシア連邦の侵略と、ウクライナによる核兵器の放棄条件への違反は、国際核不拡散体制を破綻させると同時に、核兵器を開発し得る国家との将来の関係に決定的影響を及ぼしていくことになる。2018年11月27日、ウクライナ外務省は、ブダペスト覚書第6条を根拠に、同覚書署名国に対し、義務の完全な履行とウクライナに対するロシアの侵略を速やかに停止することを目的として、緊急協議の開催を要請する」と書かれている。

外務省はまた、ウクライナは、ブダペスト覚書を「ウクライナの安全を保障する重要な国際的手段とみなしており、またロシアに対しては自らの義務を完全に履行するよう要求する」と指摘している。

加えて、声明には、「24年前、ウクライナは、安全の保証と引き換えに、核兵器を放棄し、それはイギリス、アメリカ、ロシアによりブダペスト覚書の中で確認された。とりわけ、これらの国々は、力による脅迫やウクライナの領土一体性や政治的独立に対する力の使用を控えることが義務づけられた」と強調されている。

外務省はまた、同覚書署名国は、ウクライナに対しては武器を一切使用しないということが義務付けられていることを喚起した。

これまで報道されたように、11月25日、ロシア連邦の国境警備船が、オデーサからマリウポリへ向かっていたウクライナの艦船3隻に対し激突や砲撃などの攻撃的行為をとった。その後、ロシア特殊任務部隊がこの3隻(ベルジャンシク、ニコポリ、ヤニ・カプ)をだ捕した。ウクライナ海軍の情報では、この3隻に乗っていた24名のウクライナ軍人全てが拘束された。

また、拘束された軍人のうち、21名はモスクワの拘置所「レフォルトヴォ」へ移送、3名は病院「マトロスカヤ・ティシナ」へ運ばれたことが判明している。