ウクライナ国連常駐代表、安保理でアゾフ海問題を説明

アゾフ海におけるロシアの行為は、各国の船舶妨害にとどまらず、ロシアはこの海をドンバス地方の自らの武装集団に対する兵器補給ラインとしても利用している。

30日、ヴォロディーミル・イェリチェンコ・ウクライナ国際連合(国連)常駐代表が国連安全保障理事会(安保理)におけるウクライナ東部ドンバス被占領地域情勢の公開討論にて発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

イェリチェンコ常駐代表は、「ロシアは、(ウクライナ東部)ドンバス地方にいる自らの兵力への兵器供給のために、アゾフ海を補助的ラインとして利用している」と発言した。

また、同代表は、ロシアがクリミアドンバスを結ぶ回廊設置の案を放棄していないとし、「大規模な武力対立が生じた場合、アゾフ海側からの攻撃の可能性は、以前、ドネツィク州の安全を乱す源泉であり続けている」と指摘した。

そして、同代表は、アゾフ海がロシアの対ウクライナ武力行為のもう一つの舞台となっていると強調し、「過去6か月、ロシアはウクライナの港マリウポリとベルジャンシクへ向かう200隻以上の船舶を停止させた。欧州安全保障協力機構(OSCE)特別監視団(SMM)の確認したところでは、この停泊が商業船の経済・貿易上の停滞を引き起こし、結果として、数千人の従業員の働く港における商業上の損失を生み出していることがわかっている」と指摘した。その上で、同代表は、ロシアのこのような行為を「国連海洋法条約の義務と、ウクライナの航行法に反するし、船舶の出航元の国々の法律にも反するものである」と指摘し、さらに、アゾフ海に位置するロシアの港へ向かう船には、類似の停泊検査が行われていないことを説明した。

さらに、ロシアが違法に建設したケルチ橋に関し、同代表は、橋の大きさにより航行ができなくなった船があることを指摘した。具体的には、橋の高さが35メートルで、その下を通る船舶の高さは33メートル以下でなければならず、「その結果、PanamaxとHandymaxの多くの船が、ケルチ海峡を通過できなくなった。これはウクライナの港にとって深刻な影響を与えている」と指摘した。