通信傍受:武装集団「DPR」、クレムリンと首長殺害後の人事を相談

ウクライナ保安庁(SBU)は、テロ組織「DPR」要員の会話を通信傍受した。「DPR」要員は、この会話の中で、「政権構造」の変更とロシア政権との行動の調整について議論している。

24日、SBU広報室が公表した。

発表には、「2018年9月6日午後6時30分頃、すでに死亡していたオレクサンドル・ザハルチェンコの補佐官であるオレクサンドル・カザコフが、当時いわゆる『DPR』の首長代行を担っていたドミトロ・トラペズニコフに電話をかけた。会話から判明したことは、彼らが、プーチン・ロシア大統領の補佐官であり、周知のとおりドネツィク・ルハンシク両州一部被占領地域のキュレーターであるウラジスラフ・スルコフ氏が『情勢』を解決することを明確に期待していたことである。ロシアの傀儡人物達は、会話の中で、モスクワで行われた関連緊急会議で『DPR』の将来の首長と『DPR閣僚会議』の構成が最終的に決められた後、その指示が下されることを期待していた」とある。

また、同発表には、午後9時近くには、トラペズニコフ(この時点では「DPR」首長代理)とデニス・プシーリン(当時「DPR人民会議議長」)による会話が行われていたとあり、その会話の中では、パウレンコ「DPR・KGB長官」との間で、自由剥奪を通じたカザコフ(ザハルチェンコの補佐官)氏の速やかな中和に関する行動の調整が行われていたと指摘されている。彼らの情報では、カザコフ氏は、個人的に「かつての『DPR』首長」の英雄化を行い、亡くなったザハルチェンコを中心としたいわゆる「ザハルチェンコ一派」による権力維持を計画していたとのこと。

この会話の中では、プシーリンは、特に、プシーリン自らの緊急指示を通じて、ティモフェエフ(偽名「タシケント」)の「副首相兼国税・収入相」のポストから速やかに強制解任することにも関心を持っていた。

通信傍受した会話は、ザハルチェンコ「DPR」首長の殺害から1週間経過した後に行われていた。SBUによれば、この通信傍受記録は、「DPR」上層部が「クレムリンのキュレーター」スルコフ・ロシア大統領の決定に完全に依存していることを示すものだとしている。

また、同発表は、今回の録音が「DPR」内に対立が存在することも示しているとし、プシーリンとトラペズニコフが、競争相手である「ザハルチェンコ一派」、とりわけカザコフとティモフェエフ(「タシケント」)の影響を排除しようとしていることも示していると指摘した。