ケルチ海峡沖船舶火災:被占領地域問題省、両船舶によるシリアへの違法ガス供給を指摘

21日夜にケルチ海峡沖での炎上した船舶2隻は、自動船舶識別装置(AIS)を切って航行し、またシリアへ違法なガス供給をしていた。

22日、一時的被占領地域・国内避難民問題省広報室が発表した。

発表には、「現時点では両船舶により輸送されていたガスの入手先を特定することは困難であるが、しかしながら、現時点である情報によれば、船舶『ベニス(旧カンディ)』と『マエストロ』の2隻は、ウクライナの大陸棚や外国で採掘されたガスの供給に関わっていたことがわかっている」と書かれている。

同省は、両船舶が、これまでにも一時的被占領下のクリミアの閉鎖されている港に寄港し、ウクライナが適用する一時的占領地法体制に違反していたことを指摘した。

また、同省は、「加えて、アメリカ財務省外国資産管理室(OFAC)の情報によると、この『ベニス』と『マエストロ』は、2016年以降、シリアへの違法なガス供給も行っていることが判明している」と伝えた。

今回の火災については、同省は、ガス輸送船間の海上移し替えの際に生じた事故であると指摘した。

また、同省は、「国際モニター・システムのデータによれば、タンカー『ベニス(カンディ)』は、ロシアの『テムリューク』港を1月20日に出発、しかし、事故発生時点では、自動船舶識別装置(AIS)が作動していなかった。タンカー『マエストロ』も同様であり、この船舶の最後の情報がAISにて確認されたのは、1月9日である」と指摘した。

その上で、同省は、海上移し替えに関わる外国企業による、このようなAISを切ったままの航行は「ウクライナ国内法による責任を逃れること、そして、国際法体勢の制裁が科されるおそれのある違法企業リストに加えられることを回避することを目的に行われている」と強調した。

同省は、「AISを切って航行することは、黒海・アゾフ海での航海上の危険が生じ、人命へのリスクが生じるにもかかわらず、ロシア連邦はAISを切らせている。今次事例は、改めて、ロシア連邦がどのように国際法の規範を無視しているかを示す例となっている。本件では、人命を失うという最も恐ろしい結果をもたらしてしまった」と説明した。

これまでの報道では、21日夜、ケルチ海峡沖にて、タンザニア船籍2隻の船舶にて火災が発生。22日には、トルコ籍とインド席の乗員計31名のうち14名が亡くなったことが伝えられていた。