ゼレンシキー宇大統領の国内報道機関インタビュー

ゼレンシキー宇大統領の国内報道機関インタビュー

ウクルインフォルム
ウクライナのゼレンシキー大統領は16日、国内の報道機関、ウクルインフォルム、ウクラインシカ・プラウダ、左岸、リーハ、RBCウクライナ、オボズレヴァテリとインタビューを行った。

主なやりとりは以下の通り。

マリウポリ情勢

ゼレンシキー氏は、「私たちは、封じられた工場にいる若者たち(編集注:ウクライナ軍人)と連絡を取っている。私たちは彼らと連絡を取っており、毎日さまざまなレベルで対話し、できる限り支えている。しかし、彼らは、最も強力で最も重要なミッションの一つを現在遂行していることを知っている。本当だ。なぜなら、敵は本当に彼らのことを恐れているからだ。現在、(マリウポリの)ロシア軍人の数は(ウクライナ側の)6倍である」と述べた。また同氏は、敵の兵器は約10倍あると指摘した。

同氏はまた、マリウポリ市内でウクライナ側がコントロールしている領域は「あまり広くない」とも伝えた。

さらに、同氏は、マリウポリ市では人道危機が続いているとし、食べ物、水が足りず、医薬品がないと指摘した。

他方で、「しかし、軍人たちは英雄的に防衛しており、私たちは彼らに感謝している。1つの感謝では到底足りない。そのため、様々な計画と協議プロセスが作成されている」と発言した。

その他、同氏は、トルコを仲介者にした人道回廊開設に関する合意はあったが、ある時になってロシア側が拒否したと指摘した。その合意は、マリウポリ市の西に位置するベルジャンシクから、負傷者、死体、民間人をトルコが連れ出すという合意だったとしつつ、しかしロシアは一度合意してから、後になって拒否したのだと指摘した。同氏は、「そのため、(ロシアに対して)大きな信頼はない」と発言した。

また、同氏は、マリウポリの状況に関する正しい統計はないとしつつ、「多くの人が消えてしまった」と発言した。

その他の発言:

ゼレンシキー宇大統領、マリウポリで宇軍人が投降しても合意が守られない可能性を懸念 

ロシア軍がマリウポリのウクライナ軍人を殲滅したら、協議には終止符が打たれるかもしれない=ゼレンシキー宇大統領 

欧米諸国のウクライナへの武器供与

ゼレンシキー大統領は、ウクライナへの武器供与につき「最初は、誰も迅速に行動しなかった。しかし、その後、各国の国民が国に圧力をかけ始め、それから各国の政府が立場を変え、私たちに武器を与え、そのプロセスを加速させ始めた」と指摘した。同時に同氏は、各国が武器供与問題が解決した、と行ってから、ウクライナ軍に供与されるまで「2、3週間かかる可能性がある。つまり、非常に長いプロセスとなっている」と指摘しつつ、他方で、前線の軍人は、「私たちには今支援が必要だ、そこは1日2日3日の問題があるのだ。なのに、人々は『全て問題ない。5月には(武器を)与えよう』などと言っている。彼らは何を期待しているのだ? 私たちは、何か月戦わなければならないのか? 何年も戦争があるというのか?」と発言した。

そして、同氏は、「私たちにとって、武器供与の時間短縮は、非常に重要な問題だ。いくつかの国の発言は確実に変わった。それは『暖かい』ものとなった」と指摘した。

同氏はまた、武器供与問題は「言うなれば『障害はなくなった』。私たちは今武器を受け取っている。受け取ってはいるが、私は、少ないと思っている。ただし、ロシアは、私たちは非常に多く受け取っていると思っている。それはそれで、悪い結果ではないとは思う」とコメントした。

さらに同氏は、「現在、米国、英国、ポーランド、さらに複数の国が、私たちをとてもよく支えてくれていると思う。しかし、もっと強力な支持が必要なのは確実だ。彼らが正直かつオープンに支えてくれることが必要だ。チェコとスロバキアも支えてくれている」と発言した。

ロシアは、協議で圧力をかけるために、できるだけ多くの領土を占領したがっている

ゼレンシキー氏は、全てを解決して、平和を確立させるあらゆる問題につき合意するためには、プーチン氏との会談は1回では足りないとの考えを示した。同氏は、「私は、ロシアとの会談ができるだけ早く開催されることには賛成だ。私は、一回の会談で済むとは思わない。一回会って、全てにつき合意できるとは思わない。なぜなら、多くの問題があるからだ。私は、いくつかの問題については、彼らが私たちの提案に乗ってくるか、あるいは私たちが彼らの案に乗るか、今のところわかっていない」と発言した。

とりわけ、同氏は、それはドネツィク・ルハンシク両州のロシアが占領している地域に関する問題だとし、「彼らは、その地の地位をいつも変えたがっている。私たちは、そこに暮らし、自らのことをウクライナ人だと思っている人々が、どこに住んでいるか、よくわからない陸の孤島に住んでいるのではなく、そこはある国の一部であることを理解できるような、何らかの合意を望んでいる。私は、そこはウクライナの一部だと思っているし、彼ら(現地住民)も、ウクライナの一部だと思っている。『LPR/DPR』の戦闘員は、自分たちのことをロシアの一部だと思っている。ロシアは、彼ら(戦闘員)をロシアの一部だと思っておらず、彼らのことを個別の『共和国』だとみなしている。彼ら(戦闘員)は、個別の『共和国』になることは恐れている。なぜなら、彼らが個別の『共和国』なら、ウクライナがその個別の『共和国』にある時やってくるかもしれないことを理解しているからだ。それはそうかもしれない。しかし、ロシアは、ウクライナがやってくる可能性を恐れており、ウクライナが決してそこへやってこないよう、中立の地位を望んでいる。つまり、多くの問題があるのだ。しかし、私にとって最も重要な問題は、『私たち皆が何を望んでいるか、どうあって欲しいか』である」と発言した。

同時にゼレンシキー氏は、どの国がウクライナの安全保証国となる準備があるか、どのような条件かが確実に理解できてからでないと、そのような会談を行う意味はおそらくないだろうと述べ、なぜなら、協議がそのことに左右されるからだと指摘した。さらに、ロシアが戦争を終わらせようと思った時に、外交協議が開催されることになるとコメントした。

同氏は、「外交について考えることは可能だ。しかし、彼らは、戦争を継続させながら、外交的手段で問題を解決したがっている。それは非常に困難だ。彼らは圧力をかけるために、私たちの領土をできるだけ多く制圧し、占領したがっている。それは外交ではない。であれば、何のために会うというのだろうか? 彼らに国家全体を制圧するという願望がある時に、会談する理由というのは、私はわからない」と発言した。同時に、同氏は、「ウクライナは、多くの対立する問題について対話を行い、共通の道を模索する準備はある」とも発言した。

プーチン氏との会談

ゼレンシキー氏は、「私たちは、あらゆる瞬間に、首脳会談を提案してきた。彼らは、あらゆる項目について最終的に合意してから、会いたがっている。正直に言って、全ての協議参加者と協議プロセスには敬意を抱いているが、私は、私の頭越しに全てを決めるというのは認めない。彼らのところ(ロシア)では、そのように、全てを完全に準備して、会って、署名する、というのが機能しているのだろう」と発言した。

メドヴェチューク容疑者の交換可能性

ゼレンシキー氏は、「私たちはメドヴェチューク氏の交換の準備がある。本当に準備がある。ウクライナ軍人か、あるいはロシアが提案することとだ。私は、そのシグナルを公にもあまり公ではない手段でも伝えた。もし彼らにとってそれ(交換)に関心があれば、彼らは必ず反応するだろう」と発言した。

アブラモヴィチ氏の協議参加

同氏は、「私は、ロシア側の誰かが中立の立場だとは思わない。私は、ロシア側、同国の外交官あるいはビジネスマンは、ロシアと自らの利益をのみ防衛していると思っている。私たちの利益とは一致しない。私たちは、戦争終結を含むあらゆる問題を非軍事的手段で解決することに関心がある。他の人のことは知らないが、私が聞いたところでは、アブラモヴィチ氏はその代表団において、その問題の外交的解決と戦争の終結を支持しているのだそうだ」と発言した。

ただし同氏は、誰もその情報の正しさを保証することはできないと発言した。

しかし、同氏は、「しかし、私は、一方が戦争を止めたがっていて、もう一方が人々を完全に殲滅することを支持していて、そのような二者が対話をするよりは、ましだと思っている」と指摘した。

戦争による経済の低迷

ゼレンシキー氏は、「2つ問題がある。1つ目の問題は、毎月私たちの経済は70億ユーロ失っているということだ。70億というのは、予算からの全ての給与、支出である。給与、年金、社会保障がそれにあたる。現在、私たちは、70億ユーロの損失が出ている。困難な状況である」と発言した。さらに、「その額は周知のものである。ところで、パートナー国がどのように支援をするかについては、月末にでも目にすることになる。EU、米国、英国など、皆がその額を知っている。私は、その状況から抜け出られると思っている」と発言した。さらに同氏は、国民には必要なものが提供されねばならないと指摘した。

また、同氏は、国際通貨基金(IMF)との合意があり、支援についての複数の取り決めが準備されていると指摘した。同時に、「しかし、この戦争が継続するならば、戦争は私たちを弱らせていくということは理解しておかねばならない。だから、何らかの褒賞、支援、さまざまなプログラムである。彼らは、大きな財政会合を開催する」と発言した。

被占領地に暮らす人々は共謀者ではない

ゼレンシキー氏は、「被占領地にてどのように働き、暮らしていくかという問題だが、彼らは共謀者ではないことは、私たちは理解している。皆も私も、どのような困難が起こり得るか理解している。例えば、数学教師が学校に行くと、『あなたが子供たちにウクライナ語で教えていたことを知っている。今後は、ロシア語で教えなさい』と言われるなどだ。私は、そこに住む人々にとって今重要なことは生き残ること、皆私たちの国の国民であることを覚えておくことだと思っている。私たちは、絶対に全ての被占領地を解放する。私は、それが最も重要なことだと思っている」と強調した。

その他の質疑応答:

4か国がすでにウクライナの安全保証国になる準備あり=ゼレンシキー宇大統領 

終戦の文書は二つの合意からなるかもしれない=ゼレンシキー宇大統領 

ゼレンシキー大統領、キーウ市民の氏への帰還について「働かなければならない」 

写真:大統領府


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