キーウや他都市で汚職対策機関の独立性を求めるデモ続く 31日に関連法案投票へ
参加者たちは、最高会議(国会)が汚職対策機関の独立性回復に関する法案を採択する7月31日に向けて集まった。ウクルインフォルム特派員が伝えた。
キーウのイヴァン・フランコ記念劇場前の広場には数百人が集まり、まずウクライナ国歌を斉唱した。
市民たちは「汚職は(人を)殺す」「NABUとSAPから手を放せ」「法律に投票せよ」「(編集注:法案登録番号である)第13533に賛成せよ」などと書かれたプラカードを掲げている。
また彼らは「法を救え!」「NABUとSAPのための独立性を!」「権力とは民だ!」と叫んでいる。
現場では警察と医療関係者が状況を見守っている。
キーウの集会の様子 写真:ダニーロ・アントニューク/ウクルインフォルム
ウクライナの他の町でも汚職対策機関の独立性を求める集会が開かれている。
南部ザポリッジャの中心部では約70人が、NABUとSAPの独立性を制限する法律に反対を表明するため、街頭に出ている。彼らは汚職対策機関権限縮小の問題が生じてから毎日デモを続けている。
ザポリッジャでの集会主催者のオレクサンドル・スピヴァク氏は、「私たちは、これが最後のデモになること、議員たちが国民が望む形で法案を可決することを心から願っている。そして木曜日には、勝利のイベントか、あるいは休止前の最後の不満表明のデモとなるだろう。ザポリッジャは今、ウクライナで唯一、休まず毎日デモを続けている町だ。確かに人数は少なくなったが、私たちは毎日街頭に出ている」と述べた。
参加者たちは、これまでと同じく、「(法律を)無効化せよ」「私に逆らうシステムはいらない」「国民の怒りはNABUとSAPよりも恐ろしい」「12414に反対」と叫んでいる。
ザポリッジャの集会 写真:オリハ・ズヴォナリョヴァ/ウクルインフォルム
なお、ザポリッジャの集会は、初日は主に若者が参加していたが、現在は年配の人々も加わっている。
ボランティア活動をするザポリッジャ在住の65歳のニーナ氏は、汚職対策機関の権限を縮小する法案12414は容認できず、無効化されるべきだと述べた。
ニーナ氏は、「NABUとSAPは、例外なく全ての国民に対する汚職事件を捜査することを可能にする独立機関だ」と発言した。
集会の近くを通る自家用車や公共交通機関の運転手たちは、クラクションを鳴らすことで、集会参加者を応援していた。あたりでは、警察官が秩序を監視していた。
東部ハルキウでも、汚職対策機関の独立性を支持する人々が集会を開催した。
ハルキウの集会 写真:ヴヤチェスラウ・マジイェウシキー/ウクルインフォルム
中部ヴィンニツャでは、NABUとSAPに関する法案に反対するデモに約35人の若者が参加した。参加者は、汚職対策機関の独立性を回復させる新しい法律を最高会議が可決するよう要求している。
若者たちは、SAPとNABUの独立性を回復させることを目的に法案が7本すでに最高会議に提出されていることを指摘した。彼らは、これは議員票の分散と「適切な法律」の採択の遅延の脅威だと述べた。また彼らは、採択失敗の可能性、その結果として汚職対策機関の権限を制限する現在の規範が効力を持ち続けることへの懸念も表明した。
集会参加者のアナスタシヤ・ロマノヴァ氏は、「だから私たちは、社会が新しい法律を葬り去ることを許してはならないということに注意を引くために集会に来た」と語った。
参加者たちは、手作りの段ボール製プラカードを掲げ、「忘れたの?私たちが少し思い出させてあげる!」「汚職が感謝しても、私は感謝しない」などのスローガンを掲げている。
ヴィンニツャの集会 写真:アントニナ・ムニフ/ウクルインフォルム
若者たちは、ウクライナ国歌を歌い、「ウクライナに栄光あれ! 英雄たちに栄光あれ!」と叫んでいる。
中部ジトーミルの中心部、コロリョヴァ広場には50人以上の人が集まり、ゼレンシキー大統領が署名したNABUとSAPの権限を制限する法律に反対している。
集会は、戦争の犠牲者への黙祷と、ウクライナ国歌の斉唱で始まった。
参加者たちは、最高会議議員たちに対して、NABUとSAPの権限を回復させる法案に投票するよう呼びかけるプラカードを掲げていた。
ジトーミルの集会 写真:イリーナ・チリツャ/ウクルインフォルム
ジトーミルでは、汚職対策機関の権限を制限する法律に対する抗議集会は、今回で4回目となった。
南部オデーサでは、汚職対策機関の独立性を制限する法案第12414に反対するデモが、市の中心部のデリバシウシカ通りで行われ、約100人が集まった。
オデーサの集会 写真:ニーナ・リャショノク/ウクルインフォルム
参加者のボフダン氏は、「私たちの声が届くことを願っている。もし明日、採決が失敗したら、私たちは街頭に出続け、最後まで立ち続けるだろう」と述べた。
西部リヴィウでも集会が開催された。
リヴィウの集会 写真:アナスタシヤ・スモリエンコ/ウクルインフォルム
西部テルノーピリの中心部、州議会と州軍行政府の建物の前では、4回目の抗議集会が行われ、約40人の市民が参加している。
人々は、「汚職も敵だ」「権力の源泉は国民である」「NABUとSAPに自由を」などと書かれたプラカードを持ってデモに参加している。抗議者には様々な年齢層の人々がいる。

参加者のセルヒー氏は、「私は3回目の抗議行動に参加し、明日、議員たちがNABUとSAPの独立性を回復させる法案を支持するよう呼びかけている。それはとても重要だ」と述べた。


これに先立ち最高会議は22日、NABUとSAPの権限を縮小する法律を採択していた。
同採択後、クリヴォノスNABU局長は、ゼレンシキー大統領に対して、同法が発効すれば「2つの独立機関、NABUとSAPは、事実上、完全に依存状態に置かれてしまう」ため、同法に署名しないように呼びかけていた。
同日、ゼレンシキー大統領は、同法に署名した。
キーウなどウクライナ各地では、連日最高会議が採択した汚職対策機関の権限縮小を定める法律に反対する市民が抗議集会を開催し、ゼレンシキー大統領に同法案への拒否権を発動するよう要求している。
また、一部の最高会議議員は、同法の審査について憲法裁判所に申し立てをするために、議員の署名集めを行うと発表している。
23日、NABUとSAPは、前日採択された両機関権限制限法により、両機関の独立が著しく制限されると表明していた。
24日、ゼレンシキー大統領は、最高会議に両機関の権限を回復し、独立を確保する新しい法案第13533を提出。NABUとSAPは同日、ゼレンシキー大統領が提出した法案第13533は両機関の独立性のあらゆる保証を回復するものだと表明した。
新しい法案の投票は、7月31日に行われる見込み。