オレクサンドル・ハルチェンコ・ウクルインフォルム通信総裁
コロナ禍における通信社の役割は、パニックと偽情報を止めること
30.07.2020 12:51

ウクライナ国営通信社「ウクルインフォルム」は、ヨーロッパ通信社連合(EANA)にウクライナ代表として加盟している。EANAには、欧州各国の30以上の通信社が加盟している。コロナ禍が始まると、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の状況について、社会では確認済み客観的情報への需要が数倍に膨れ上がった。感染の世界的流行(パンデミック)による報道分野の活動について、ウクルインフォルム総裁のオレクサンドル・ハルチェンコ氏がアレクサンドル・ギボイEANA事務局長へのインタビューに答えた


ウクルインフォルムの総裁として、あなたはコロナ危機をどのように乗り越えましたか。最も困難な挑戦は何でしたか。

順番に振り返ってみると、私や同僚たち大半にとっての最初の挑戦だったのは、厳格な防疫措置が導入された際に、緊急に業務を遠隔体制に切り替えることでした。そこには、技術面(自宅での作業場の迅速な確保)や管理プロセスの変更(対面式の会議やクライアントとのコミュニケーションから、オンラインへの移行)、そして、遠隔業務の際に職員がオフィスで働くのと同程度の責任を持って働くかどうか、という管理者全員が感じる機微な心理的問題がありました。その切り替えは、非常に迅速に実現できました。

2つ目に、より長期的な挑戦となったのは、商業面の挑戦です。私たちの場合、財政的に決定的な影響を受けたのはプレスセンターの業務でした。ウクルインフォルムはキーウ(キエフ)市内に、オンライン中継が可能な3つの設備の整ったイベント会場を有しています。(防疫期間中)物理的にそこで記者会見を開くことは不可能となりました。私たちは、最大限迅速にオンライン・イベントが開催できるように切り替えを行いました。ただし、収入の観点からその状況を完全に評価するには、会計年度の終わりを待たねばなりません。

この2つの挑戦は戦術的なものですが、3つ目の挑戦は戦略的なものです。コロナ禍により、何の節約が可能かということと、何への投資は止められないのかということがわかりましたし、それが機動性の向上と、動画コンテンツの量の増加と質の改善をもたらしました。

多くの通信社が全国メディアにおける役割の増大について伝えています。ウクルインフォルム通信のウクライナにおける現在の立場はどのようなものですか。

ウクルインフォルムは、ウクライナ情報市場で、ジャーナリズム基準の遵守の面でのトップであり続けています。そのことは、過去3年間以上にわたり、ウクライナのメディア関連NGOの一つ(編集注:マス情報研究所(IMI))が、定期的に行っているウクライナの主要報道機関の報道モニターにて示されています。

ウクライナの報道機関の中でウクルインフォルムは、地方・国外支局を最も多く有しており、ウクライナ語、ロシア語、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、日本語、ポーランド語の8言語にてニュースを配信しています。

コロナウイルス感染の世界的拡散が始まると、ウクルインフォルムのウェブサイトへのアクセス数は、ほぼ4倍に増えました。どんな宣伝や最適化をしても、あれほど急速にそれほどのアクセス増を達成することはできないでしょう。正確さが意味を持つのです! 他の多くの通信社と同様に、コロナ危機のテーマに関連するコンテンツの割合は、当初、全体の90%に達していたと思います。現在、この数字はもう下がっていますが、それでも防疫期間前よりは多いです。

ウクルインフォルムの働き方において、一部変化をパンデミック後も引き続き採用し続ける予定がありますか。

そうなるでしょう。個々の業務に関しては、単一のアプローチはなくなり、フレキシブルになります。ウクルインフォルムの各部署は、それぞれ特殊性を持っています。私たちは、遠隔業務体制に関し、各部署の管理者が作った報告書を分析しました。効果的に機能した部分は、そのまま残しておきます。また、今回得られた経験をもとに、通信社の発展戦略を刷新します。変更は、第一に技術プロセスと新しい収入源の確保に関係するものとなります。

あなたの思う、コロナ危機下に通信社が担う3つの重要な役割は何ですか。

パニックと偽情報の拡散を止めることと、この危機下で社会が求めている、世界の経験とサクセス・ストーリーについて、可能な限り完全な形で確認済みの情報を提供することです。

ウクライナと世界におけるメディアの将来についてあなたはどう見ていますか。通信社の重要性は伸び続けると思いますか。それとも下がると思いますか。

コロナ危機後の未来についてでしたら、ウクライナに関して言えば、現時点では、私はコロナ危機の影響を過大評価しません。この危機は新たな現実ですが、その危機より以前に、ウクライナの大半のメディアがすでに一定の経験を積んできていました。主な教訓は、「誰も予想しないようなどんな大規模危機に対しても、どんな時でも迅速に対応できる準備をしておくこと」です。

そのため、通信社の重要が伸びていくかどうかは、通信社自身にかかっています。迅速な変化への準備がない者には、成功は期待できないでしょう。

通信社には、情報市場や社会が求める機能を果たす人物だけではなく、機動性を持って(NATOの即応部隊のように)対応できる人物や、他者より数歩前を進む人物、つまり、メディアや技術分野に限らず、国内外の危機について、一番にフォローし、変化と新しい傾向を評価できる人物、このような人々が必要です。

つまり、通信社には、迅速にニュースを配信する能力だけでなく、その他、新たな環境に適応しつつ、複雑な管理・組織面の決定を迅速に採択したり、見直したりする能力が追加されなければなりません。

※EANAのオリジナルのインタビューはこちら(英語)

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