オクサーナ・バス=コノネンコ言語学者
もし人々が自らの言語を使わなければ、他の言語、つまり、他の国がやってくることになる。
05.09.2018 09:49

ウクライナ情報政策省は、「ウクライナ語は簡単!」という新しいラジオ番組の開始を発表した。今後、言語学の専門家であるオクサーナ・バス=コノネンコが、ラジオ番組「ヒットFM」において、視聴者にウクライナ語での正しく美しい会話について説明していく。プロジェクトの考案者は、今後他のラジオ局でも小規模のウクライナ語レッスンが聴けるようになると期待を寄せている。

タラス・シェウチェンコ記念キーウ(キエフ)国立大学言語学研究所ウクライナ語・実践言語学専攻助教授は、この番組に関する考えと人々の生活における言語の役割について、ウクルインフォルムのインタビューに答えてくれた。

バス=コノネンコ先生、今後毎日午後6時半からラジオ番組が始まり、そこで先生は人々に色々な言葉や表現の意味を説明していくそうですが、どのような効果を期待していますか。

私は、このような番組は役に立つものだと思っています。多くの人がウクライナ語を話したがっていますが、勇気が出ず、美しく正しく話せないことで笑われることを怖がっています。この番組は、そんな方々を助けるのです。「ヒットFM」のスタッフが提案してくれたフォーマット(編集注:番組は毎日約1分間流される)は、最良のものでしょう。このくらいだと、無理がなく、簡単で、気軽に、非常に簡潔です。私たちは、ウクライナ語とロシア語の間で、音が似ているけれど、異なる意味を持つ言葉を紹介していきます。これらの言葉を上手に適切に使えることは、言語の理解し、言語を上手に扱えることになります。人は、夕方職場から家に帰る時、ラジオをつけます。リラックスしながら、ラジオを聞いている時に、ふと、無理のない、ほんの少しの情報が聞こえてくると、頭の中にすんなり入っていくのです。そして、その人は、機会がある時にこの知識を使えるようになります。それが体系的に行われ、また他のラジオ局でも流されるようになれば、もちろん、全体として効果が出ますし、言語の発展につながるでしょう。

番組は何本分収録しましたか。今後もっと収録する予定ですか。

私たちは、約1か月半かけて収録しました。私が番組用の内容を準備し、ラジオ側が番組に適したフォーマットに合わせます。その後、私がスタジオを訪れ、収録するのです。私は、たくさんの内容を準備していますが、全てが番組に合うわけではないです。なぜなら、私には私の考えがあり、彼らには編集上の方針があるからであり、彼らの方針に近い言葉が(番組用に)選ばれます。いずれにせよ、私は、言語学的に機微な細部には入り込まないようにして、単純に案を提供しています。そうですね、もう20本収録しましたし、これからも収録していきます。

先生は、過去2〜3年でウクライナ語を巡る状況は変わっていると思いますか。

私は、以前に比べて、相当多くの人がウクライナ語を知りたがるようになったと思っています。私たちは皆、ウクライナ語もロシア語も知っています。どの人がどの程度知っているかは、また別の問題です。なぜなら、両言語とも活発に使う人もいれば、どちらかの言語を理解はするけど使うことには消極的という人もいるからです。今日、言語というものが、影響力行使と、自分と国の安全を守るための強力な手段であることが、人々に理解される時期が訪れました。国家語というのは、非常に重要です(編集注:ウクライナの国家語は、ウクライナ語)。多くの人が、ウクライナ語を話したいと思うようになりましたが、その人たち皆が話し始めているわけではありません。

現在の戦争の開始に用いられた形式的な言い訳が、いわゆる「ロシア語話者の保護」だったことは、周知の事実です。もし、人々が自らの言語を使わなくてもいいものだと思えば、そこには、別の言語が入り込むのです。別の言語、つまり別の国です。それは、実際のところ、安全保障の問題なのです。

政治家や国のトップの指導者達のウクライナ語の知識のレベルをどう評価していますか。

もちろん、私たちの政治家の言語能力がもっと改善されることを願っています。最高会議(国会)の議論を聞くことは、しばしば非常に困難です。しかし、それが二つの言語を接近させようという、長く続いた政策の弊害であることは、明白です。どれくらいの時間で、彼らは、きれいなウクライナ語を話せるようになるでしょうか。個別のラジオ局や、個別の番組、個々人の情熱にもとづいて改善がなされるのであれば、とても長い時間がかかるでしょうし、期待するような結果が訪れることはないでしょう。もし、国家の政策として行われるのであれば、その時は、結果は十分早く訪れるでしょう。

先生は、ウクライナ化がマイルドに行われることに賛成ですか、それとも断固とした実行に賛成ですか。

マイルドなのはいいですが、しかし、すでに必要がある以上、断固とは言わなくとも、この問題には原則的に向き合う方がいいでしょう。確固としたシステムが作られねばなりません。言語が国家語であるということは、つまり、国家と国民の生活のあらゆる分野で機能しなければなりません。行政サービス分野、マス・コミュニケーションの分野、政治やビジネスの分野、これら分野の状況は、すべて他の普通の文明的な国と同じようであるべきだと思います。

私は、常にウクライナ語で話そうと呼びかけています。話したいなら、話しなさい、と。話すのは簡単ですが、美しく話すのは難しいです。最初は大変でしょう。でも、後にそれが普通になり、上手に話せるようになるでしょう。それに、私たちの言葉は美しいんですよ。私は、みんなにウクライナ語で話すよう勧めています。話せば話すほど、上手になると思います。

オレーナ・ソブコ、キーウ

写真:ヴォロディーミル・トラソウ

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