ゼレンシキー宇大統領、ウクライナ独立記念日に国民向けメッセージ発出

ゼレンシキー宇大統領、ウクライナ独立記念日に国民向けメッセージ発出

動画
ウクルインフォルム
ウクライナのゼレンシキー大統領は、8月24日の独立記念日に合わせて、国民向けのメッセージを発出した。

大統領府が動画とメッセージ全文を公表した。ウクルインフォルムによる日本語での全訳は以下のとおり。


親愛なるウクライナ人たちよ! 親愛なる国民よ! 今日はウクライナの独立記念日だ。

私は今ここ、キーウの心臓部、独立広場にいる。正にここが、独立とは何なのか、なぜそれが私たちにとってこれほどまでに重要なのかを最もよく感じ取ることができる場所だ。そして、なぜ「マイダン」が国の主要な広場をはるかに超えた存在なのかを。なぜなら、ここは独立の象徴であり、その守護者だからである。ここは、独立が脅威に晒された時に、常に歴史が生み出され、私たちの人々のエネルギーと力が生まれる場所である。

そして今、独立を巡る全面戦争が続く中、このマイダン(編集注:独立広場)でこそ、重要な象徴を見出すことができる。私たちがいかに戦っているか、何のために戦っているか、この戦争をどのように克服するか、という象徴だ。

それらの象徴は私たちの周りにある。この独立記念碑の中には鉄筋コンクリートの骨組みがあり、実際にハリケーンにも耐えることができる。私たちのウクライナも、ロシアが私たちの大地にもたらした大きな災厄を耐え抜いたのだ。この「ゼロ・キロメートル」記念碑にもある。これは、ウクライナの各都市への距離が記された出発点だ。私たちのドネツィク、私たちのルハンシク、私たちのクリミアへの距離。そして今日、これらの印は全く異なる意味を持っている。それは、もはや単に距離だけ意味しない。それは、これら全てがウクライナであることを思い出させるものとなっている。さらには、そこに私たちの人々がいて、私たちを隔てるどれだけの距離も、どのような一時的占領も、この事実を変えることはない。そしていつか、ウクライナ人の間のこの距離は消え去り、私たちは再び1つの家族、1つの国として一緒になるのだ。それは時間の問題に過ぎない。ウクライナは、それを達成できると信じている。自国の全ての土地における平和を達成できると。ウクライナにはその能力がある。

なぜなら、ウクライナは気概を持っているからだ。石のような忍耐力、決して逸らさない視線、火と時間に焼かれても強靭な手。自らのものを守る盾を持つ手。自らの大地、自らの文化、数千年の歴史を守る手。キーウの建国者たちはその証拠だ。私たちの英雄たちが命を捧げた、私たちの未来を守っている。

私たちは彼らの名を忘れず、裏切らない。独立を守った名だ。そして、正にここ、マイダンで、ウクライナ人はしばしば亡くなった英雄たちと別れを告げる。そのような別れに一度でも立ち会ったことのある者、そしてこの戦争で誰かを失った者は、それぞれロシアに対して個人としての清算を永遠に誓い、自らの英雄たちを忘れないと心に誓っている。

そのような誓いが具現化されているのが、この民の記憶の場なのだ。大きな力のある場所だ。なぜなら、それぞれの小さな旗に、誰かの偉大な物語、偉業、そして選択があるからだ。ウクライナのための選択。未来のための選択。すなわち、平和の中の自由と、自由の中の平和という選択。これは、私たちの文化に反映されている哲学であり、コサック・ママイの姿に象徴されるものだ。ママイは自由を勝ち取ったから、武器を脇に置いてコブザ(編集注:弦楽器)を手に取ることができるのだ。もしもの時のためにサーベルは近くに置いているが、しかし、平和な生活に戻るのだ。それこそが、私たち全員が切望していることである。そして、私たちは知っている。それは誰かが与えるものではなく、勝ち取るしかないものだと。

それこそが、独立をかけたこの戦争の1278日間、私たちが行ってきたことである。これまでの1日1日につき、あなたに感謝したい。ウクライナの戦士よ。ウクライナのボランティアよ。医師よ。救助隊員よ。教師よ。私たちの若者よ。私たちの親たちよ。ウクライナの全ての男女よ。あなたたち皆に感謝している。私たちがすでに歩んできたことについて。私たちが一緒に作り出しているこのウクライナについて。今あるウクライナの姿について。2月24日に成人となり、運命を自らの手に、武器を自らの手に取ったウクライナだ。ためらう時間も、怯える権利もなかった。そして、世界第二の軍隊を本当に阻止したのだ。そして、私たちはそのことについて語っていくだろう。語っていく。なぜならそれは「無敵のロシア軍」という神話を打ち砕くものだからだ。

私たちはそれを証明した。今も証明し続けている。一人一人がそれぞれの場所で。自分の中に独立を宿している者一人一人が。自らの仕事、活動、成果で、ウクライナ人であるという私たちの権利を守っているのだ。今日、独立は戦場で鍛えられ、独立は毎夜空を覆い、病院で命を救い、火を消し、勉強させている。独立は24時間眠らず、防衛企業で働いている。なぜなら、私たちの戦士が全てを手にすること、独立が自衛に必要な全てのものを手にすることは、とても大切だからだ。独立は、それを必要とする人々のところへ向かうハンドルを握っている。独立は、ウクライナ人が活躍するリングや世界の舞台、ステージで闘っている。独立は、ウクライナ人が書く本のページや詩の言葉の中にある。

私たちは敵から毎日、「そのような国家はない、そのような国民はいない」と聞かされている。そして、私たちは毎日その反対のことを証明している。私たちは、ウクライナ人が存在すること、この大地に、この広場に存在し続けることを証明している。100年後、ここには、私たちの次の世代が立っているだろう。そして100年後、ここでウクライナの独立記念日を祝っているだろう。

そうなる。そうなるのだ。なぜなら今日のウクライナはもう異なるからだ。ウクライナはより強くなっており、自らを尊重している。そして、ウクライナは「善意の証」を待つのではなく、私たちにとって必要なことを実現するための「自らの意志」を持っている。ロシアがスーミ州を奪おうとすれば、クルスク州にウクライナ軍が現れる。敵が私たちのエネルギーインフラを攻撃し、私たちを光と熱のない状態にしようとすれば、彼らの石油精製所が燃え上がるのだ。誰もそのような攻撃を私たちに禁じることはできない。なぜなら、これは正義の攻撃だからだ。ロシアが毎日、私たちの平和な町、病院、学校を攻撃し、私たちの民間人、子供たちを殺す時には、その報復として「蜘蛛の巣」を受けるのも同様のことだ。そのように正義は攻撃する。平和への呼びかけに耳が傾けられないなら、ウクライナはそのように攻撃する。私たちは何度停戦を提案しただろうか? 何度、「私たちは静寂を求めている、平和を切望している」と言っただろうか? しかし、呼びかけたのは尊厳ある包括的な平和である。そのため、私たちは全世界の力をあてにしている。

これが今のウクライナだ。そして、このようなウクライナは、歴史上二度と「ロシア人」が「妥協」と呼称する恥辱を強制されることはないだろう。私たちには公正な平和が必要だ。私たちの未来がどうなるかを、決めて良いのは私たちだけだ。そして、世界はそのことを知っている。そして、世界はそのことを尊重している。ウクライナを尊重しているのだ。ウクライナを対等な存在として受け止めている。

ウクライナは、1日で世界の首脳たちを結集させ、自分の周りに団結させることができる。米国や全世界が、ウクライナと無人機を共同で生産したいと望んでいる。ウクライナは、欧州と米国の団結を回復させ、今ではその同盟の基盤となっている。ウクライナは、自らの上に立ち、自らを守ることができる。だからこそ、ウクライナの声は聞かれ、ウクライナはあてにされ、ウクライナの言葉に耳が傾けられるのだ。ウクライナの席はテーブルのところにあり、「扉の向こうで待っていてください」とは言われない。「決めるのはあなただけだ」と言われている。

正にそのようなウクライナを、1週間前、私は米国で代表する栄誉を得た。今日、ウクライナはまだ勝利していないが、もはや敗北することは確実にない、ということに米国も欧州も同意している。ウクライナは独立を勝ち取ったのだ。ウクライナは犠牲者ではなく、戦士である。ウクライナは求めるのではなく、提案する。同盟とパートナーシップを。欧州で最高の軍隊を。最先端の防衛技術を。強靭性の経験を。私たちは「EUが必要だ」と話している。その通りだ。しかし、彼らにとっても私たちが必要なのだ。そのことを誰もが認めている。そして、ウクライナをそのように認めている。貧しい親戚としてではなく、強力な同盟国として。

それこそが有志連合の意味である。それこそがワシントンで語られたことである。そのことと、持続可能で信頼できる、永続的な平和をいかにして確保するかについてが語られた。ウクライナはそれを獲得するだろう。なぜなら、「安全の保証」を手にするからだ。世界中の誰も、二度とウクライナを攻撃しようという考えが頭に浮かばないほど強力な保証を。

これは私たちの目標であるだけでなく、まさに私たちが望み、そして子供や孫たちに遺産として渡さなければならないものだ。強いウクライナ、対等なウクライナ、欧州のウクライナ、そして独立したウクライナを。

歴史の繰り返される輪を断ち切るために。その環の中では、どの世代も独立を維持するために何かが足りず、新しい世代が新たな始まりに立ち、再び武器を手にし、再び自らを守り、自由を勝ち取らねばならなかった。私たちはこれを子孫に引き継いではならない。私たちは、安全と平和の中で生きるための十分な力と強さを持つウクライナを築いている。この独立広場に、自らの旗の下、自らの大地で、私たちの子供や孫たちが独立記念日を祝えるように。平和の中で。平穏の中で。未来への確信を持って。この戦争、独立を巡る戦争でウクライナを守り抜いた全ての人々への敬意と感謝を持って。立ち向かった者、成し遂げた者、勝利した者たちへの感謝だ。このような目的のために生きる価値がある。これこそが、私たちが立っている理由だ。

偉大な国の偉大な民よ、独立記念日おめでとう! ウクライナに栄光あれ!


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