アラスカでの米露会談は1938年のミュンヘン会談を彷彿とさせる=米国専門家
ヴェローナ研究員がウクルインフォルムにコメントした。
ヴェローナ氏は、「その将来の会談は、チェコスロヴァキアの首脳陣不在の中で同国の運命が決定された、1938年のミュンヘン会談に似た宥和政策の雰囲気を持っている」と指摘した。
また同氏は、トランプ氏とプーチン氏の会談が、ウクライナの安全を保証する永続的な合意につながる可能性はほぼないとの見方を示した。同氏は、それが「プーチン氏の領土拡大への飽くなき欲望を鎮めることはない」と強調した。
さらに、同氏は、トランプ氏がプーチン氏との会談に同意したことが、米国が「弱く、優柔不断だ」という印象を生み出していると指摘した。
同氏はそしては、「トランプ大統領は条件を提示し、最後通牒を突きつけるが、その後それらを取り消したり、一時停止したりする。トランプはプーチンと、ましてや米国の地で会うことで、彼に正当性を与えているのだ。そして、トランプの政権当局者は、ウクライナからの領土的譲歩について語っているが、ロシアについては、同国が占領した領土よりもさらに多くの領土に対するプーチンの野心についての不明確な『妥協』以外は何も得ようとしていない」と強調した。
ヴェローナ氏は、ウクライナにとって唯一の安全保障は、将来の侵略に対する抑止力として、欧州諸国の軍をウクライナ国内に配備するという、漠然とした計画だと指摘した。
その他同氏は、米露首脳会談で生じ得る結果の1つとして、「準備不足の停戦」を挙げ、その後ウクライナに対して、それに同意するよう圧力がかけられる可能性があると推測した。同時に同氏は、「しかし、プーチンを知る者なら誰でも、それがせいぜい一時的な停戦であることを理解している。問題は、プーチンが攻撃を再開するまでに停戦がどれだけ続くかということでしかない」と指摘した。
同氏はまた、ウクライナ国内のゼレンシキー大統領の政敵や他の勢力が、そのような停戦を利用して戒厳令の解除や選挙の実施を試みる可能性があると指摘した。
同氏はその際、ゼレンシキー氏の交代という展望は「トランプとプーチンにとっては、完全に好ましいものかもしれないが、それは非常にデリケートな時期に、ウクライナの外交的・軍事的立場を損なう可能性が大きいものだ」と説明した。
加えて同氏は、どのような領土交換もウクライナ議会の承認、あるいは国民投票さえも必要となるだろうと述べた。
その他同氏は、米露首脳会談の開催場所としてアラスカが選ばれたことにある種の皮肉があると指摘した。その際同氏は、アラスカは、米国が1867年に有利な価格で購入するまで、ロシアの領土だったことを喚起し、「一部のロシアの民族主義者は、ロシアは売却協定を無効にして、アラスカを自国に取り戻すべきだとすでに示唆している。一部の政治コメンテーターは、アラスカも今、何らかの取引に巻き込まれる可能性があるのではないかとユーモアを交えて疑問を提示するかもしれない」と冗談交じりに指摘した。