ウクライナ汚職対策機関への次の攻撃は両機関幹部更迭の試みかもしれない=機関トップ
クリヴォノスNABU局長とクリメンコSAP長が記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
クリヴォノス氏は、法執行機関職員へのどのような圧力も刑法違反だが、しかし、そのような圧力は恒常的に様々な形で行われていると指摘した。
その際同氏は、「圧力が止んだことは一度もない。秘密だったり、直接だったり、様々な形でだ。それは、法改正だったり、様々な直接、間接の脅迫だったりする。私たちは過去数日間真剣な挑戦を経験した。しかし、重要なことは、機構を維持することだ」と発言した。
また同氏は、NABUが保有する情報によれば、次の攻撃は機関の幹部を更迭させる試みとなる可能性があると指摘した。
その際同氏は、「次の攻撃は、幹部個人への攻撃となるかもしれない。NABUとSAPの幹部をあれやこれやの口実で入れ替えようという試みだ。私は、誰がそれを組織しているか知っているし、誰がそれを計画しているか知っている。すでに、そのようなキャンペーンの兆候を目にしている」と発言した。
そして同氏は、機関幹部に対するメディアキャンペーンはもう始まっているとし、「昨日もまた、直接幹部を対象にしたメディアキャンペーンが同じテレグラム・チャンネルで始まっていた。私たちはそれに対して準備ができているし、それについて話しており、関連情報を得ており、ウクライナ社会ときちんとコミュニケーションをとっていく」と指摘した。
クリメンコSAP長は、NABUの立場への支持を表明した上で、汚職対策機関幹部更迭の試みは両機関の独立弱体化を目的としたものかもしれないと発言した。
その際クリメンコ氏は、「社会は両機関が法制上で明らかに依存状態に置かれることを望んでいない。そのため、次の一手は、幹部を更迭し、依存した幹部を据えること、それでおしまいだ。それがある者たちにとっては状況を楽にするのだ」と指摘した。
そして同氏は、現在汚職対策機関幹部に関する否定的な情報が拡散されているとし、それは両機関から幹部を分離し、更迭を正当化するためだとの見方を示した。
同氏はその上で、「そのような試み、そのような考案者は、(これまでの)NABUとSAPに対するコミュニケーションキャンペーンに関わってきたものと同じである。考案者も発注者も同じだ。私たちは全て把握している。それらナラティブはしっかりと確認できる」と指摘した。
これに先立ち、7月31日、ウクライナ最高会議は、汚職対策機関の独立性を回復する法案を採択し、その後ゼレンシキー宇大統領が同法案に署名していた。
また、最高会議は同月22日、NABUとSAPの権限を縮小する法律を採択していた。
同採択後、クリヴォノスNABU局長は、ゼレンシキー大統領に対して、同法が発効すれば「2つの独立機関、NABUとSAPは、事実上、完全に依存状態に置かれてしまう」ため、同法に署名しないように呼びかけていたが、同日、ゼレンシキー大統領は、同法に署名した。
キーウなどウクライナ各地では、連日最高会議が採択した汚職対策機関の権限縮小を定める法律に反対する市民が抗議集会を開催し、ゼレンシキー大統領に同法案への拒否権を発動するよう要求。
23日、NABUとSAPは、前日採択された両機関権限制限法により、両機関の独立が著しく制限されると表明していた。
24日、ゼレンシキー大統領は、最高会議に両機関の権限を回復し、独立を確保する新しい法案第13533を提出。NABUとSAPは同日、ゼレンシキー大統領が提出した法案第13533は両機関の独立性のあらゆる保証を回復するものだと表明した。
31日は、朝から最高会議近くの広場で、同法案採択を要求する市民が抗議集会を開催していた。