ラヴロフ露外相、前提条件なしでウクライナと交渉する準備があると発言
中国外務省広報室がリオデジャネイロでのBRICK首脳会談の会場内での中露外相会談につき報告した。
発表によれば、会談時、ラヴロフ外相は、王外交部長に対して、「ウクライナ危機」(編集注:中国によるロシアの対ウクライナ侵略戦争の呼称)情勢の最近の展開などについて報告したという。
発表には、「同氏は、ロシアはあらゆる前提条件なしでウクライナと和平交渉を実施する準備があり、『危機』の根本的原因を解決したがっていると発言した」と書かれている。
またラヴロフ氏は、5月9日の対独戦勝記念日に合わせて、ロシアが3日間の「停戦」を予告したことを報告した。
王氏は、平和の保護と紛争解決のための交渉促進という中国の原則的立場を繰り返したという。
なお、「ウクライナ危機の根本的原因の解決」というナラティブ(言説)は、ロシアのプロパガンダによって作られた表現である。この表現は、ロシアのプーチン氏や政権代表者によって、対ウクライナ侵略戦争の正当化のために繰り返し使われている。ロシアがこの「危機の根本的原因」という言葉で何を意味しているのかは完全には明らかにされていない。ロシア政権関係者は、この概念を具体的に説明しないことで、個々の人々に自由に解釈させている。
また、「ロシアは無条件にウクライナと交渉へ向かう準備がある」とのラヴロフ露外相の主張もプロパガンダナラティブである。3月初旬のトランプ米政権が提案した停戦に対しても、ロシアは複数の条件を提示するばかりで停戦には同意しなかった。
これに先立ち、ロシアの首脳プーチン氏は28日、ロシアで祝われる対独戦勝記念日に合わせて、5月8日から11日にかけて、「停戦」を行うと一方的に発表していた。
ウクライナのゼレンシキー大統領は同日、プーチン氏が一方的に予告した停戦について、そのためには5月8日まで待つ必要はなく、停戦は即時実行できるはずだと発言している。