米国はロシアの対ウクライナ侵略の対価を変えられる=元米特別代表
このような考えを、カート・ヴォルカー元米国務省ウクライナ問題特別代表(2017〜2019)がウクライナ国営ロシア語テレビ局「家」へのインタビュー時に発言した。
ヴォルカー氏は、何よりもまず、米国がウクライナ問題を担当する新しい国務省特別代表を任命し、同人物が協議プロセス全体の作業を調整するべきだとの考えを示した。
同氏は、「紛争解決に関する全てのことに責任を持つ全権を任命すべきだ。私の時は、フランス、ドイツ、北大西洋条約機構(NATO)、欧州安全保障協力機構(OSCE)、欧州連合(EU)、ロシア、カナダ、英国との連携作業を行っていた。しかし、現在、一定の空白ができており、その状況が数年続いている。私は、米国が本件をより積極的に扱うことが非常に重要だと思っている」と発言した。
加えて同氏は、米国がノルマンディ・フォーマットに加わるためには、現参加国の独仏宇露4国全てがそれを支持する必要があると述べた。同氏は、「ノルマンディ・フォーマットは、ウクライナとロシアとともに、フランス、ドイツにより作られたものだ。私は、ウクライナ以外の国に尋ねたら、いずれの国も米国のノルマンディ・フォーマット入りを望まないのではないかと思う。ロシアは確実に望まないだろうし、フランスも望まないだろう」と指摘した。
同時に、同氏は、ウクライナの領土一体性防衛支援の問題には、米国がそのフォーマットに入るか入らないかは重要ではないと述べ、「真の課題は、ロシアの試算を今すぐ変えることにある。ロシアは現在、損失が相対的に小さく、フランスとドイツからは抵抗がなく、協議の変更もないなら、対ウクライナ侵略は継続できると思っている。だからこそ、ロシアはそれを継続しているわけだ。米国がすべきことは、ロシアに、状況が変化、悪化しているというのを実感させるべく、フランスとドイツとNATOとEUと英国とカナダの皆を説得し、彼らをロシアの侵略に抵抗させるべく、外交上の牽引的役割を担うことだ。今のように単に侵略が継続でき、支出も損失もないというのではいけない」と強調した。
さらに同氏は、圧力をかければロシア国内状況は悪化していくのであり、そうすればロシアは効果的な協議に応じざるを得なくなると指摘し、「そして、ロシアが『解決策』を求めるその瞬間には、私たちは、すでにその『策』をテーブルの上に出しておかなければならない。ミンスクの文書がその基本を作ることになる」と指摘した。
同氏は、ウクライナ政府は、ウクライナの平和のために合意を履行する準備が常にあると指摘しつつ、「反対に、ロシアは履行を全く望んでいない。そのため、ロシアにとっての試算と対価を変えなければならない。だから、問題はフォーマットにあるわけでは全くないのだ。話は、そのような政策は高い対価を払わざるを得ないということをロシアに理解させるべく、ロシアに対する圧力を動員することにある」と説明した。