ウクライナ外務省、東部被占領地住民をロシア議会選挙に参加させる決定に抗議
23日、ウクライナ外務省広報室が声明を公開した。
声明には、「一時的被占領地クリミア自治共和国とセヴァストーポリ市における国家院選挙の違法組織と並び、ロシア側のそのような行為は、国際法、ウクライナ憲法・現行国内法の規範と原則への著しい侵害である」と書かれている。
外務省はまた、被占領下にあるウクライナ領での選挙組織や、その選挙に強制的にロシア国籍を付与された地元住民を参加させることは、その選挙の結果の合法性に疑義をもたらすものであると強調している。
また声明には、「ウクライナが紛争圏の情勢安定化に向けて様々な試みをしているにもかかわらず、ロシア側は、ロシア・ウクライナ武力紛争を国際法とウクライナの主権への尊重にもとづいて解決するための、ノルマンディ・フォーマットと三者コンタクト・グループ(TCG)における効果的手段の模索の努力を無視している」と指摘されている。
加えて外務省は、紛争圏においてロシア占領軍による恒常的な停戦違反によって治安情勢が徐々に悪化しており、一時的被占領下ウクライナ領における人道、社会・経済状況がさらに悪化する中で、ロシアの最近のその行為は特にシニカルだと批判した。
外務省はその上で、国際社会に対して、ロシアの行為を非難し、一時的被占領下にあるウクライナ領における選挙の結果を認めないよう呼びかけ、さらに、ロシア連邦によるウクライナの主権・領土一体性に対する違法行為を停止させることを目的に、同国に対して政治・外交圧力を強めるよう要請した。
また声明には、「ウクライナは、ロシア連邦に対して、一時的占領地に関する違法な決定を全て無効化し、一時的被占領下ウクライナ領の住民をロシア連邦の政治、社会・司法空間へと更に統合することを目的とした方策を止めるよう要求する」と書かれている。
なお、2020年9月30日、ウクライナ最高会議(国会)は、ロシア占領政権が9月13日に被占領下クリミアで「実施」したいわゆる「地方選挙」を違法と認定する決議を採択している。
また、在ウクライナ日本大使館は、2016年と2018年、ロシアがクリミアで選挙を「実施」した際に、「日本は2014年3月のロシアによる違法なクリミア『併合』を認めていない」ため、選挙の正当性もその結果も認めないという声明を出している。