高等裁判官選考委員会再編問題 ウクライナの裁判改革は前進したのだろうか

高等裁判官選考委員会再編問題 ウクライナの裁判改革は前進したのだろうか

ウクルインフォルム
ウクライナ最高会議(国会)は、ウクライナ大統領提案の裁判改革パッケージに入る、高等裁判官選考委員会の再編を定める法案第3711ーdを採択した。

執筆:ミロスラウ・リスコヴィチ(キーウ)

6月29日、最高会議議員293名が高等裁判官選考委員会(HQCJ)の委員選出を新しい手続きで行うことを定める重要法案を採択した。HQCJとは、裁判官の選考、評価、任命に向けた推薦を行う主要機関である。同法によれば、今後その選考手続きは2段階で行われていくことになる。

第1段階では、HQCJ委員の選考は、別の機関「公正選考委員会」が行うことになる。公正選考委員会は、6名の委員からなり、内3名が現職(あるいは休職)裁判官、3名が独立外国専門家となる。同法案採択の前に採択された法案修正案第453のおかげで(編集注:ウクライナの市民団体、米大使館、欧州連合(EU)代表部、ベニス委員会が以前からその修正案の重要性を強調していた)、HQCJ委員候補選手の際に決定的な投票権を持つのは、外国専門家となった。簡単に言えば、外国専門家の同意がなければ、HQCJ候補者の推薦はできない、ということである。

次に第2段階である。公正選考委員会が優秀な候補者のリストを確定した後、そのリストの中から、16人のHQCJ委員の最終的構成を確定するのは、高等司法評議会となる。

現在、採択された同法案は、最高会議議長と大統領の署名待ちの状態である。その間に、私たちは、司法専門家に対して、同法案をどう評価しているか、その法案に100%満足しているか、忠告は100%考慮されたか、批判や懸念はもう全くないのか、ということにつき質問した。

汚職対策センター(ANTAC)にて司法部門の代表を務めるハリーナ・チジク氏は、ウクルインフォルムへのコメントで、議会が採択した法案は、HQCJを公正なメンバーで編成するチャンスをようやく生み出すものだと指摘した。同氏は、最高会議議員は、そのための鍵となる、HQCJ委員選考時に外国専門家に決定的投票権を与える修正案(第453)を支持したことを喚起した。

他の専門家も類似の指摘をしている。

司法問題を専門に扱う市民団体「デユーレ」のステパン・ベルコ弁護問題専門家は、「私たちは、慎重な楽観主義を持って同法案の採択を歓迎している。HQCJ編成問題は、ずっと前に解決すべきであったものだが、議会は1年以上の遅れを持って採択した」と指摘した。

同氏は、外国専門家に優先的投票権を与える修正案により、ウクライナの裁判官はHQCJを変革しようとする候補者を拒否することはできなくなると指摘した。

デユーレ代表のミハイロ・ジェルナコウ氏は、「国際専門家がHQCJ候補者選考の際の決定的な投票権を受け取った。そのメカニズムは、高等反汚職裁判所の裁判官選考の際にも運用されたもので、その際に良い結果を出してきたものだ。それは良いことだ。そのような手段においてのみ、私たちは、司法界マフィアが2000以上のポストへの裁判官任命に影響を及ぼすのを遮ることができるのだ」と説明した。

汚職対策センター(ANTAC)代表のヴィタリー・シャブーニン氏は、今回の採択を「非常に大きな前進だ」と指摘する。

同氏は、現在特別汚職対策検察(SAP)長の選考が行われていることを喚起しつつ、「司法評議会が送ってきたいわゆる『ウクライナの独立した専門家』なる人物たちは、選考に政治的に独立していない候補者を送り込んでいる。その際、他の公正で独立した候補者をひどい手段で葬り去ろうとしているのだ」と指摘する。同氏は、そのような状況を回避するための唯一のチャンスが、外国専門家の存在であると述べ、外国専門家が選考の際に政治的に独立していない候補者をふるいにかけることを可能にしていると説明した。同時に、SAP選考においては、外国専門家に「決定的投票権」がないために、最善の候補者を選考に勝たせることは難しいとも指摘した。

シャブーニン氏は、HQCJ編成法案の採択をめぐっても、その外国専門家の「決定的投票権」をめぐって闘いが行われていたと説明した。「その結果、国際専門家は、その投票権を得たのだ。つまり、公正で独立したHQCJを得られるチャンスが生まれている。」

同氏は、HQCJがメンバー構成問題をクリアできれば、それはつまり、ウクライナの裁判システム全体を公正で専門性のある人物によって根本的に再生することが可能となる、と指摘する。同氏は、「今日、裁判システムには、2000の空席がある。年内に、1752名がまた退任の年齢を迎える。(中略)HQCJは、約3、4年で裁判システム全体の約半分を刷新することができるのだ」と説明した。

同時に、今回の法案採択後もまだ懸念はあるという。腐敗した高等司法評議会が、状況を操る余地が存在するのだという。司法問題の専門家たちは、公正選考委員会は、HQCJの候補者として32名を高等司法評議会に提出しなければならず、そこから同評議会が16名をHQCJ委員として選出するのだと説明する。

ジェルナコウ氏は、「腐敗して改革されていない高等司法評議会が、HQCJに、最も能力がある人物ではなく、(評議会に)最も忠誠心のある候補者を選ぶことは間違いない。高等司法評議会の中には、たとえば、ソ連時代の1989年に民族主義者イヴァン・ホンチャルーク氏への銃殺判決を下した裁判官の娘である。彼女は、裁判官大会にて、父を誇りに思っていると述べ、彼が銃殺判決を下したことについては『単にそういう時代だったというだけだ』と述べていた。HQCJがこのようなスターリン主義の『司法専門家』で埋まることを想像してみて欲しい」と指摘した。

なお、高等司法評議会そのものに関する法案も最高会議に登録されている。同法案の登録番号は第5068。

チジク氏は、「最高会議議員が(同法案の)投票を遅らせないことが重要だ」と述べる。

ジェルナコウ氏は、「高等司法評議会の改革の上での課題は、同様に、外国専門家に決定的役割を持たせることにある。それが、裁判改革を生かす上で極めて重要だ」と強調した。

シャブーニン氏は、「懲戒手続きを通じて裁判官を解任できる権利を持っている唯一の機関が高等司法評議会である。仮に現在の司法評議会メンバーに1ミリでも誠実さや良心があれば、悪名高いキーウ区行政裁判所の問題など生じていなかったはずである。司法評議会は、パウロ・ヴォウク同裁判所裁判長やその一味をはるか昔に解任することができていたのだが、代わりに彼らは、その裁判悪党たちを擁護しているのだ。しかも類似の出来事は何百とある。正にそれがゆえに、高等司法評議会の浄化法案(第5068)が、HCQJ編成法案と同様に重要なのだ」と説明した。


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