ヴァシーリ・ボドナール外務次官
ルブリン・トライアングルは拡大できる。4つ目の席はベラルーシのために空けてある。
02.02.2021 11:27

2021年年初から、ウクライナ・ドイツ関係が活発だ。1月中には、ノルマンディ・フォーマット(編集注:ウクライナ・ロシア紛争解決を協議する独仏宇露4国からなるフォーマット)の補佐官級協議の一環で、ウクライナ大統領府、政府、外務省の代表者がベルリンを訪問した。1月25日には、ドイツ外務省にて、次官級政治協議も開催された。

今年は、ドイツや他の隣国との間で他にどのような出来事が予定されているのか。これらの国とは、どのような機微な問題があるのか。ウクルインフォルムは、ドイツ訪問団の団長を務めたヴァシーリ・ボンダール外務次官から話を聞いた。

聞き手:オリハ・タナシーチューク(ベルリン)


2021年のウクライナ・ドイツ関係の予定は充実

ボンダール次官、今年、感染状況が改善されるとして、二国間(ウクライナ・ドイツ)の行事として、何が予定されていますか。

この二国間には、複数の主要な行事議題があり、それに向けて作業をしています。一つは、ウクライナ独立30周年であり、(ウクライナへ)メルケル独首相を招待しています。それから今年は、バービン・ヤール(バービー・ヤール)の悲劇から80年経過の年であり、そこにシュタインマイヤー独大統領も招待したいと思っています。また特に重要なのは、ウクライナ・ドイツ経済フォーラムの開催で、3月19日、ウクライナ首相とドイツ首相の参加で予定されています。

全体的に、かなり真剣な予定です。さらに、私たちは、関係省庁間の体系的な協議を行えるようにしたいと思っています。

今日、私たちはベルリンにて、何がまだ解決していないか、何をしないといけないか、どこにさらなる努力が必要か、といったことを話し合い、「時計の針合わせ」をしました。

1月25日、ベルリンではどのような問題が提起されたのですか。

二国間連携と国際問題です。前者では、ハイレベルでの行事の準備、貿易経済協力、ドイツからウクライナへの技術支援の拡大、いくつかの領事関連のこと、共同の歴史のページに関する分析といった文化・人文分野の協力が該当します。後者では、欧州・欧州大西洋統合、欧州の安全保障問題、黒海地域の安全保障問題、被占領下クリミアの状況、クリミア・プラットフォームの開始、国際機関での連携、COVID-19対策、ワクチン接種が入ります。

ウクライナにコロナワクチンが早く届くよう、仕事をしている

ワクチンに言及がありましたが、その問題は現在最も喫緊のものでないかと思います。コロナワクチン接種をすでに始めている欧州諸国から、ウクライナがワクチンをもらえるチャンスはどれぐらいありますか。

ゼレンシキー大統領個人も、メルケル独首相との電話会談時に首相に対してワクチン問題を提起しています。

本件で重要な役割を担うのは、保健省であり、外務省は、コンタクトの調整を促す役割です。私たちは、ウクライナがワクチンをできるだけ早く得られるように非常に積極的に仕事をしていますし、複数のソースを利用しています。

外務省は、欧州全ての国のウクライナ大使に、余剰ワクチンに関してサポートが得られないか相手国と議論するよう指示を出しています。有料、あるいは人道支援の枠を使ってです。ウクライナの医療従事者やリスク・グループに属する人たちがワクチンを接種できるようにです。

現在すでに欧州連合(EU)の他の国から、もしかしたら余剰を提供あるいは売却できるかもしれないというポジティブな反応を得ています。ただし、詳細はまだお答えできません。

3月に第4回ウクライナ・ドイツ経済フォーラムを実際に会って開催することは、どれほど現実的ですか。現実的でないなら、同フォーラムをオンラインで開催することに意味はありますか。

私たちは、そのイベントはオフラインで開催すべきだと見ています。フォーラムは、ドイツ・ベルリンにて3月19日に開催される。そう期待しています。

オンライン協力は、私たちはすでに準備してきました。もちろんそれは一時的な手段であって、最善は、直接のコミュニケーション、目と目で話して、今ある問題を解決することです。ウクライナに進出しているドイツ・ビジネスの問題や、連合協定実現における連携、法改正などに至るまでです。

これまで通り、「ノルド・ストリーム2」(編集注:ロシアとドイツの間に建設されている天然ガスパイプライン)問題も提起し続けますか。もはや米国の制裁によって、全てが解決しそうになっていますし、制裁がノルド・ストリーム2プロジェクトを無に帰すまで待ちますか。

その問題は、様々なレベルの対話における喫緊の問題の一つです。ウクライナの立場は明確で、ノルド・ストリーム2は政治的プロジェクトであり、欧州のエネルギー安全保障に否定的な影響をもたらすもの、というものです。私たちにとっても、ドイツにとっても、そのプロジェクトは有益ではありません。私たちはまた、その問題がドイツにとってどれほど機微なものかも理解しています。

私たちにとっては、ドイツがどのような決定を行うかが重要です。なぜなら、その決定は、ウクライナのガス輸送システムにも、欧州エネルギー安全保障にも影響をもたらし得るからです。

ウクライナは、ドイツと歴史的テーマでも協力

あなたは、歴史問題も議論していくと発表していました。ドイツにて、バービン・ヤールの悲劇80周年に向けた啓蒙イベントのようなものは予定されていますか。

もちろんです。そして、ドイツだけで計画しているのではありません。幅広い国際的な情報キャンペーンを予定しており、私たちは、多くの国際パートナーを関与させ、キーウでのバービン・ヤールの悲劇80周年行事へと招待しています。

私たちは、ドイツとの間で、ホロコーストなど多くの歴史テーマでも協力しています。特に、私たちは、ドイツがホロコーストをウクライナ民族に対するジェノサイド(大量虐殺)として承認することを期待しています。また、ドイツに第二次世界大戦犠牲者追悼メモリアルを設置することに関係する話もあります。なぜなら、800万以上のウクライナ人が命を落とし、何百という街が破壊されたのであり、ナチズムへの勝利におけるウクライナの貢献はきちんと称えられるべきです。

これらの問題が議題にあり、主に歴史家委員会が活動しています。私たちには、独自の国益があり、それを防衛します。アンドリー・メリニク駐独ウクライナ大使がその点で非常に活発です。

同時に、二国間関係を過度に「歴史化」することは両国とも望んでいません。私たちは、連携のアクセントを歴史には置きたくありません。歴史問題での協力は、歴史家や学者が扱うべきです

ノルマンディ・フォーマットの火が消えないようにすべき

今回の協議(25日にベルリンで行われた次官級会議)は、外務省間の2国間政治協議としては6年ぶりのものです。なぜこれほど時間が空いたのでしょう。

ドイツ側との協議・交渉は、実際には常に行われています。しかし、彼らの優先的な注意は、ロシア・ウクライナ紛争解決を扱うノルマンディ・フォーマットに向けられています。今回、私たちは、二国間の幅広い議題について扱うことに合意することができました。

現在の協議の中で、ノルマンディ・フォーマット上の協力は、大きな役割を担いましたか。(ノルマンディ4国)首脳会談の前には、4国外相級会談も行われなければなりませんが。

外務省間連携の一環でその問題も提起しました。私たちは、実質的結果を出して、外相級会談を行い、さらにその後に首脳会談を行うためには、今後どのような行動をとるべきか、ということを話しました。

具体的日程に言及するのは難しいとは思いつつも、外相級会合がおよそいつ頃開催されるか予想できますか。

向こう数か月以内に開催されるよう、それが会談のための会談になるのではなく、そこで具体的な合意ができるよう、私たちは作業をしています。

ウクライナ側が解決のために具体的な日程を示したところで、ロシア側からの回答に繋がるわけでないことは、誰にとっても明らかなことです。ロシアこそがウクライナ領を占領しているのであり、同国は戦争終結への政治意志を示していないのですから。私たちだけ新しい通過検問地点を作り、ロシアからの回答はないままで、結果、一時的被占領地の国民は今もウクライナ政府管理地域へと渡航できていません。

(編集注:ドンバス情勢解決における)私たちの主張は明確で、わかりやすいものです。何よりもまず治安、それから政治や社会・経済面(の問題解決)へ移行する、というものです。

ロシアは、私たちといわゆる「LPR・DPR」代表者を一緒に交渉テーブルに着かせたがっており、それによってその者たちを合法化したい、そして自分は交渉プロセスから抜け出したい、と思っています。しかし、私たちはそのロシアの提案には乗りません。紛争の当事者はロシアであり、ロシアと交渉しなければなりません。そのことは、私たちの国際パートナーたちもよく理解しています。

米新政権との間で、米国による紛争解決関与の話をもう一度始めることは可能ですか。

もちろんです。ゼレンシキー大統領は、(バイデン氏の)選挙勝利の直後、フォーマットの再稼働と米国の協議プロセスへのより積極的な参加という案を提示しました。それは、米国側との議論における重要な問題の一つとなっています。

ミンスク・プロセス(編集注:ドンバス紛争解決プロセス)では、特に、ノルマンディ・フォーマットにおいて、私たちは、ロシア人とも話さざるを得ません。現在、前述の枠組み以外の場所でも、何かしらのやりとりがされていますか。

2014年まで、いつもそのようなコミュニケーション(ロシアとの直接対話)が行われていました。しかし、その結果がどうなったかは、皆が知っています。今日、ロシアを信じることは私たちにはできません。そのため、国際パートナーたちが参加すること、ドイツやフランスといった、合意達成、合意履行を支援することのできる仲介者がいる状態が最善なのです。

ベラルーシ関係は、政治化すべきではない

最近、あなたは「ウクライナと欧州全体にとっては、ベラルーシが主権ある独立国家であり続けること、ロシアの影響から距離を取っていくことが極めて重要だ。ウクライナは、ベラルーシの政治危機解決を促すために、様々なフォーマットで協力する準備がある」と発言していました。どのようなフォーマットのことを指していますか。また、ロシアによるベラルーシへの影響を最小化することはどれほど現実的なのですか。

ウクライナの立場は、非常に明確です。私たちは、ルカシェンコを大統領として認めていませんし、私たちは欧州のベラルーシ政策と連帯し、対個人制裁に参加してきました。

同時に、私たちは、弾圧強化によってベラルーシから出てきたベラルーシ国民に対し、彼らがウクライナで快適でいられるよう助けようともしています。

私たちは、ロシアがベラルーシの現体制を孤立させる試みによって、自らのゲームを押し付けよう、ミンスクに対する影響力を強化しようとしていることを理解しています。私たちは、外交上の連絡チャンネル、専門家のコンタクトは維持しており、何より経済面での現存の喫緊の課題を実際的に解決するための準備はあります。

私たちにとって極めて重要なことは、互恵協力を発展させること、友好的で善隣的で安全なベラルーシを得ることであり、それはロシアがベラルーシに対してしようとしていることとは違います。

昨年、ルブリン・トライアングル(編集注:ウクライナ、ポーランド、リトアニアの3国による協力フォーマット)が立ち上げられました。そのフォーマットは、ベラルーシ危機の解決を促進できますか。ウクライナは、この国際協力フォーマットをどのように使うつもりですか。

基本は、地域の安全を保障する上での国家間の連携のためのものです。外相率いる外務省の連携フォーマットであり、また、地域の安全維持のための行動調整の議題を作る、特別全権が活動していきます。さらに、欧州統合、偽情報対策、ベラルーシ情勢についても議論していきます。

そのフォーマット立ち上げの際、私たちの大臣は、現在はトライアングルだが、将来、私たちはそのフォーマットを拡大できる、と発言しました。「4つ目の席」は、今のところ空席ですが、それは、もしかしたら参加するかもしれないベラルーシのために空けてあります。そのためには、同国国内情勢が解決し、私たちが地域協力の展望を落ち着いて話せるよううにならなければなりません。

黒海経済協力機構(BSEC)事務総長ポストを巡る闘い

ボドナール次官、ウクライナは昨年、1992年の黒海経済協力機構(BSEC)創設以来初めて、同機関の事務総長ポストの候補を推薦しました。その際、推薦されたのはあなたです。現在、プロセスはどうなっていますか。

ウクライナからの候補者は、昨年中頃に推薦されました。BSECの事務総長は、今年の7月1日に空席となります。そのため、選挙は、幹部委員会と外相理事会の会合が開かれる5、6月、に行われます。その理事会が、BSECの決定を採択する最高の機関です。

現在、候補者は5名、13か国が推薦しています。勝つためには、9票得なければなりません。極めて困難な課題です。私はすでに大半の国と協議を行い、各首都を訪れました。ある種のサポートはありますが、競争のレベルは非常に高いです。

一方で、私たちには、この機構を再起動したい、BSECをもっと効果的で生産的にしたいという願望があります。同機構はもともと経済的な機構ですが、加盟13か国の間あちこちに紛争があります。そこで、私たちが考えている最大の課題は、互恵的で最も対立のない分野を見出すことです。それは、ビジネス連携、IT分野、輸送問題、代替エネルギーの発展可能性です。

政治から少し距離を取る、ということですか。

完全に距離を取ることは不可能でしょう。なぜなら、この機構を最も政治化してきたのは、ロシアだからです。ロシアがウクライナを侵略し始め、黒海地域の中心であるクリミアを奪取したのです。

パンデミック後の今日、私たちは、地域のために新しい可能性、具体的な条件を模索しなければなりません。それは、例えば、中国から欧州への商品の流れが黒海地域を迂回するのではなく、黒海地域を通るようにすること、などです。

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