クレーバ外相、クリミア人権決議採択の意義を説明 クリミア・プラットフォーム実現促進も
ドミトロー・クレーバ外相の声明がウクライナ外務省ウェブサイトに掲載された。
クレーバ外相は、「同決議は、被占領下クリミアにおける人権保護問題を扱う5年連続採択の総会決議であり、ロシアによるウクライナ領併合の試みへの国際対応としては、9本目のものとなる。採択された決議は、とりわけ、クリミア・プラットフォーム設置というウクライナのイニシアティブの実現を促進するものだ」と発言した。
外相はまた、今年の決議の内容は大きく強化されているとし、一時的被占領下クリミアにおける大規模な人権侵害の事例が反映されていると伝えた。
外相は、「決議は、国際的なクリミア併合の試み不承認政策強化の文脈で、クリミアにおけるロシア連邦の機関・高官が違法であることを明記している。国連レベルで初めて、それら高官を『ロシア連邦占領政権』の人物とのみ呼称すべきであることが確認された」と伝えた。
さらに今回の決議には、ロシアが人権分野、国際人道法分野における国際的義務を履行しておらず、クリミアにおける人権遵守の水準が占領開始以降著しく低下していることが記載されたという。
また外相は、今回の決議には初めて「市民記者」という用語が記載されたと伝えた。外相は、それはウクライナ外務省による、占領下で活動する記者や活動家の保護を呼びかけるキャンペーンの重要な結果だと指摘した。
加えて外相は、決議には、ロシアが新型コロナウイルス感染症の世界的拡散をクリミアにおける不当な制限措置の実施に利用しているとし、ロシア連邦保安庁(FSB)を関与させつつ、住民に対する弾圧を強めていることが記されていると伝えた。
その他決議には、ロシアの政治囚となっているウクライナ国民全員の解放が不可欠であると記されているとし、具体的に、エミル=ウセイン・クク氏、セルヴェル・ムスタファイェフ氏といった人物の名前が記載されていると説明された。
また外相は、決議にはロシアによる破壊的経済活動の詳細が説明されており、クリミア半島の天然資源の枯渇が説明されていると指摘した。
同時に今回の決議には、ロシアがクリミア住民のウクライナの教育システムへのアクセス妨害や、信仰の権利の侵害といった問題も指摘されているという。外相は、「ロシアは、民族アイデンティティを維持する機会を意図的に奪い、土地所有権を制限するなどして、国籍変更を強制している。これら全てが、占領国によるクリミアの人口構成を変更することを目的とした意図的な政策であり、戦争犯罪である。今回の国連総会決議では、国連ウクライナ人権監視団や欧州安保協力機構(OSCE)特別監視団(SMM)をはじめとする国際監視団のクリミアへの障害のない完全なアクセスを保障するよう、ロシア連邦に要請されている」と説明した。
外相はまた、決議では、占領政権であるロシアに国際人道法に従った自らの義務を履行させるべく、国際機関での連携を強化することが呼びかけられていると伝えた。
これに先立ち、16日、国連総会にて昨年から内容の更新された「クリミア自治共和国とセヴァストーポリ市(ウクライナ)の人権状況」決議が採択されていた。投票結果は、賛成64か国、反対23か国、保留86か国となった。日本は、これまでのクリミア決議の投票時と同様、賛成票を投じている。