ウクライナは現代地政学において鍵となる国家=フランシス・フクヤマ
23日、米スタンフォード大学のフランシス・フクヤマ氏がキーウ(キエフ)安全保障フォーラムのオープニングおいて演説を行なった。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
フクヤマ氏は、「ウクライナは、現在のグローバルな地政学にとって、また、世界中の民主主義の将来にとって鍵となる国家である。ウクライナが民主主義機構の建設と汚職との闘いで成功を収めれば、地域の他の国もそれを達成できることになる。同時に、ウクライナは自由で民主的な社会に暮らしたがっているその他の人々を鼓舞することができる」と発言した。
フクヤマ氏は、「ロシアは、隣国の内政や米国含む民主的国々の政治に干渉している。ロシアは、世界中の民主主義を不安定化させるための新しい手段を複数身につけた。ロシアは、インターネットを武器に変え、ハイブリッドという新しいタイプの戦争を作り出し、それにより軍隊を外国に送りながら、同時にそれを否定するということを可能とした」と指摘した。
同氏は、プーチン露大統領は強固な基盤を有しておらず、強力な国家形成の道を選択しなかったと指摘し、その理由として、ロシア連邦が経済の近代化に失敗し、競争力を得ていないこと、現在もエネルギー資源とエネルギー輸送価格に依存していることを挙げた。
そして同氏は、「プーチンは、その弱点を政治的メリットに変えるという、巨大なリスクのある方向へと進んだ。彼は、ウクライナとジョージアへと侵攻し、ベネズエラやその他の地域の権威主義体制を支持している。そしてそれにより国際的孤立と制裁を招いている」と強調した。
他方で、フクヤマ氏は、ロシアよりも中国の行動の方がグローバル的展望ではより大きな脅威をもたらしていると指摘した。
同氏は、「中国は、現時点では、ウクライナにとっては直接的脅威は小さいかもしれないが、長期的展望では、ロシアよりグローバルな民主主義にとって大きな脅威をもたらしている。中国の経済はロシアのそれより大きく、更にダイナミックである。中国企業は、21世紀の技術開発、例えばAIや機械学習の面でリードしている。中国は、自らの影響力拡散のための強力な手段を持っている。例えば、『一帯一路』イニシアティブの一環でのインフラ建設などだ。ポテンシャル増強とともに、野心も伸びている」と発言した。