ヴォロディーミル・ゼレンシキー・ウクライナ大統領
EUに向かう中、私たちは「ゴールの旗」を目にしなければならない。(ポリティコ・ヨーロッパへのインタビュー)
09.10.2020 16:51

ヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領のニュースサイト「ポリティコ・ヨーロッパ」へのインタビューのオリジナルはこちら。2020年10月3日に実施されたもの。


欧州連合(EU)は、とりわけクリミアとドンバスの占領を受けてロシアに対して制裁を科すことで、ウクライナの主権と領土一体性の防衛を支援しています。あなたの考えでは、欧州はまだウクライナをサポートできると思いますか。ブリュッセルにおけるウクライナEU首脳会談にて何を期待していますか。

非常に正しい質問です。制裁が、第一の問題です。EUによるウクライナの主権と領土一体性へのサポートは、ロシア連邦の侵略に対する強力な制裁にかかっています。ご存知のとおり、ウクライナ東部では戦争が続いていますし、望むならそれについても詳細に話します。制裁は、ウクライナにとって地政学的レベルの大きなサポートです。そして、制裁は経済と結びついています。制裁は第一に重要なことです。

第二は、ウクライナのワクチン製造への参加です。私はEU諸国に対して、ウクライナには、残念ながら今のところワクチンはないけれど、私たちはそれを手にしたい、私たちはワクチン生産なら、準備ができていると言うつもりです。私たちのところには、ワクチンを渡してもらったら、(生産面で)支援する準備のある企業はあります。私たちは、ワクチンの大量生産にてEUの国々を支援する準備があるのです。ウクライナは、COVID-19の困難な時でも抗体製造、供給の面で支援を示してきました。

次の問題は、市場へのアクセスです。長年にわたるウクライナ経済のロシア向け輸出入の時代が終わった今、EUの経済サポートが非常に重要となっています。戦争が始まると、ウクライナの輸出のほとんどがEU諸国へと方向転換しました。その中で、EUが私たちを完全なパートナーとして感じるためには、私たちには自由で公正な市場へのアクセスが必要です。

EUへ向かうこと、EU加盟国になるというウクライナの方針は不変です。私たちは、特に今、COVID-19と危機の中、EUがその点で私たちを支持することを望んでいます。それは、市場のアクセスだけの話でなく、産業面での査証免除についての話でもあります。

EUには、私たちが真面目なパートナーであることを示しています。私たちは、そのことをEU諸国の専門家とともに汚職対策システムを築くことで示しています。私が大統領に就任してから、1年間で私たちは多くのことを行いました。EUが、それらを5年前に築いて欲しかったと思っているのは、わかっています。どうしてそれが当時築かれなかったのかも私にはわかっていますが、しかし私たちは未来志向の人間ですから、過去や過去の人について多くを語るのはやめましょう。1年間で、私たちは国家汚職対策局(NABU)に完全な独立を付与しました。NABUは、私たちの国の主要な汚職対策機関です。また、反汚職裁判所を始動させました。同裁判所は現在活動しており、完全な技術的準備があります。そして、残念ながら私たちの国にはまだ汚職犯罪者たちがいますが、私たちは過去半年で彼らに対する判決を得ています。

私たちはEUのパートナーとして、戦略的に重要なウクライナEU首脳会談に向けて、非常によく準備してきたと思っています。私たちは、電子コミュニケーション法、血液ドナー法を採択しました。水上交通法案ももう審議されています。私たちは、重要な、コンセッション法、規制緩和法も採択しました。それらはポピュリズム的な法ではありません。また、農地法のようなEUのサポートする複雑な改革も採択されています。農地改革の履行がどれだけ困難か、ご存知ないでしょう。30年間、私たちが独立してからの間ずっと、誰もその改革を採択できなかったのです。

私は、私たちはその首脳会談への準備があると思っています。

私は、パリのマクロン(仏大統領)とプーチン(露大統領)の参加した会議を取材しました。彼らは、ウクライナは憲法を変えねばならないと言っていました。マクロンとプーチンに、ウクライナ憲法を変えることを要求する権利があると思いますか。プーチンはロシア連邦大統領なのですよ。彼は自国憲法のことを考えるべきでは?

ノルマンディ・フォーマット(編集注:ドンバス情勢解決の協議を行なうドイツ、フランス、ウクライナ、ロシアの4国からなる協議フォーマット)の問題は、三者コンタクト・グループ(編集注:ウクライナ、ロシア、欧州安保協力機構(OSCE)の3者からなる協議フォーマット)のミンスク・プロセスで技術的に解決されています。私個人は、ミンスクのそのフォーマット、署名された(編集注:ミンスク諸合意の)複数項目の順序、その記述に対して不満があります。私個人は、そのフォーマットの構成に不満です。(しかし)それは、私たちが現在作業をしている唯一のフォーマットなのです。その作業は、間違いなく、領土一体性回復に向けた対話のために行われています。ミンスク(諸合意)の項目の一つである、特別地位の付与、あるいは、あなたの言うような、マクロン氏とプーチン氏の述べた憲法改正というものについてですが、私ははっきりと言いましょう。その(ミンスク諸合意の)項目が定めているのは、非中央集権化にのっとった憲法改正のことです。私たちは、非中央集権化の改正を行うのであり、重要な法案を採択し、その際に憲法も変え、そこで彼らの求める可能性をドンバスに付与するのです。

私は、重要なのは各項目の機能だと思っています。その(非中央集権化)項目は、そういった決定を定めています。それが最も重要です。そして、もう一つの質問への答えですが、ウクライナの人々以外、誰もウクライナ憲法の変更に影響力は行使できません。

「はい」か「いいえ」でシンプルに答えてもらえますか。ドンバスの非政府管理地域における選挙の可能性はありますか。

いいえ。そして、もっと詳しく回答できます。私が、マクロン大統領にも、メルケル(独)首相にも、プーチン大統領にも言ったことですが、監視員がおらず、(ウクライナによる)国境管理もなかったら、私たちは選挙プロセスをコントロールすることができません。西側の監視員は誰も現地を訪れることができません。ですから、そこで選挙は絶対にできません。治安情勢により、政党の自由なアクセスが生じません。ウクライナ国民が自由に選択できなえればなりません。治安機関も活動できません。私たちは、ウクライナ・ロシア間国境にウクライナの国境管理がなければ、何が起こるか予想できません。ウクライナ国境は、ウクライナ政権がコントロールしなければなりません。私はそれらのことをオープンに話しています。私は、それ以外では(選挙は)あり得ないと思っています。

ミンスクの項目の一つには、全ての違法軍部隊の(ウクライナ)領からの撤退があります。彼らをどのように撤退させ、どこに彼らは出て行くべきか…。そして、その後国境のコントロールの引き渡しもあります。そしてその時になってはじめて、私たちは、もう何も起こらない、もはやどんな武装集団もいなくて、そいつらは戻って来ることはない、と理解するのです。

EU首脳会談があった際、リトアニア大統領がマクロン仏大統領に向けてメッセージを発表しました。彼は、ロシアとの関係再開の議論の際に、ナワリヌイ氏(毒殺未遂)問題を考えて、ロシア大統領に殺人をしてはならないと伝えるべきだと述べました。殺人がなくならなければ、関係回復などあり得ない、と。あなたは、プーチン氏が殺人をしていると考えていますか。

現在、世界中がとても注意深く、ドイツ側が発表することになっているナワリヌイ氏の事件の捜査の詳細と結果を待っています。私たちは、それを見なければなりません。私たちは社会として、あなたはジャーナリストとして、私は、大統領としてではなく、一人の人間として、ナワリヌイ氏の出来事に関して何らかの結論を出すために、詳細を必要としています。そのような複雑な問題についての政策はどんなものも、その政策に関わる人々に脅威をもたらす可能性があると思います。そのような悲劇的で困難な政策を今後起こさないためにも、私は、全ての首脳が、表現や制裁の政策において、団結して、あらゆることを行うべきだと思っています。

比較のために言うと、私たちにも、ノルマンディ・フォーマットで良い結果が出ています。私は、ウクライナ国民140人の被拘束者の帰還は、プーチン大統領との(直接)対話がなければ、生じ得なかったと思っています。ノルマンディ・フォーマットだけでは不十分なのです。ノルマンディ・フォーマットでは審議されていない問題があります。それは、ウクライナの海軍軍人返還問題であったり、多くが牢屋に拘束されているクリミアの人々の人道問題であったりします。そのような問題は、ロシア大統領と解決しなければなりません。

ロシアのハバロフスク市の状況や、ナワリヌイ氏の状況を考えると、それらはクレムリンの弱体化の徴候だとみなすこともできます。ベラルーシやナゴルノカラバフの状況にも注意を向けてみましょう…。思うに、クレムリンには、何らかの破綻があり、彼らはイライラしているか、何らかのパラノイアを感じているのではないか。そのせいで、ウクライナにとっての更なる脅威があるとは思いませんか。

ハバロフスクでは現在、抗議に出ている人々がとてもはっきりと立場を表明しています。彼らには自分の考えがあります。最も重要なことは、ロシアの情報政策が、彼らに影響力を及ぼすこと、彼らを洗脳することができていないということ、そしてどんな時でも社会の爆発はあり得るということです。また、同様のことがベラルーシでも起きています。人々は、過去の政治に疲れています。そして人々が疲れているというのは、何というと正しいのかわかりませんが、器官が弱っている、あるいは器官に問題が生じていることは確かです。今ベラルーシで起きていることがロシアでも今後起きる可能性があるか。それは私には判断できません。しかし、私は、ベラルーシの人々がこれまでの政治を維持することはもはやない、と思っています。政権は、人々の声を聞かなければいけない。そして最も重要なことは、警棒などを使って異なる意見の人を排除したところで、人々との対話は築けないということです。それはどんな国にも言えることです。対話しなければならない。人々の声を聞かねばならない。もし人々が変化を欲しているのであれば、それはつまり変化の時が来ているということであり、その変化はもっと前に行われるべきのものだった、ということです。

(編集注:ベラルーシのブロガーである)チハノフスキー氏は、クリミアに行き、「ロシアの世界」の考えに支持を表明したことがあります。それは、ウクライナ、ロシア、ベラルーシは、一つの民であるべきだという考えです…。

クレムリン内には、ソ連を復活させるという願望があります。私たちは、そのことをとてもよく理解しています。情報政策というのは、いつも「二つの弱点」に立脚しています。それは、宗教と言語です。この二つは、社会を、団結させるか、あるいは分断させるものです。それがロシア連邦の政策です。チハノフスキー氏に限らず、多くのロシア語を話す人々が、一つの国の下に団結すべきだと述べています。

ウクライナは、民主的で、リベラルで、単一の国家です。国家語はウクライナ語です。しかし、信じて欲しいのですが、私たちの国には、ロシア語もあります。多くの人が、ポーランド語、ハンガリー語、ルーマニア語、ブルガリア語も話します。私たちは、このような豊かで大きな国なのです。誰も言語を中心には統一しません。それは戦争が始まった時、ドンバスが占領された時に、すでに言われていたことです。誰もが、例えば、ドニプロ市、ドニプロペトロウシク州という、大半の人がロシア語を話す地域では、人々がロシアの政策、紛争の激化、ウクライナの分断に加わるだろうと考えていました。

その地域(ドニプロペトロウシク州)は、私の出身地です。その地には偉大なウクライナの愛国者たちが暮らしています。それは、私たちの国に関してクレムリンが犯した大きな悲劇的な過ちです。(編集注:ウクライナとロシアの)人々の間の関係を再生することは…、何年かかるかわかりませんし、そもそもそれが現時点で可能なのかすらわかりません。人々は、かつて(編集注:ロシアに対して)愛情を示していたのに、それを嫌悪状態にまで持っていかれたのです。それが、ソ連復活を望むという間違った政策のもたらしたことです。私は、絶対にそんなこと(ソ連復活)は実現しないと確信しています。ウクライナが自らの独立を変えることは絶対にありません。

現在米国では選挙が行なわれています。あなたがトランプ氏と話した際、おそらく彼は、あなたから何かを欲していたでしょう。電話会談の際、彼は、誰が対抗馬になるかまだ知りませんでしたが、それでも彼はバイデン氏について話していました。現在、バイデン氏は彼の対抗馬となりましたが、すると(息子の)ハンター・バイデン氏とブリスマ社の問題が出てきます。あなたは、彼らに、法執行機関が目にするような何らかの罪があると思いますか。あなたは、彼らが何らかの罪を犯したと思いますか。そして、それが米国の選挙に影響を及ぼす可能性があると思いますか。

何よりまず、私たちにとって非常に重要なことは、ウクライナはどんな国の選挙にも介入しないということです。現在私たちは米国について話していますが、ウクライナは私たちの戦略的パートナー国の政治に介入はしていません。なお、私たちには、共和党からも民主党からも、上下院で支持があります。彼らは、クリミア併合とドンバス戦争に関する制裁を支持しています。米国、同国の主要な政治的決定である大統領選挙への最大限の敬意を払いつつ、私にとって特に重要なのは、他国の選挙よりも、戦争問題の解決です。あなた方は私を理解すべきです。私はウクライナ大統領であり、他の国の大統領ではないのです。

私たちは、選挙に介入しませんし、後で介入だとして利用される可能性のあるあらゆることを行いません。刑事捜査に関しては、それはウクライナの治安機関が扱うものです。私は、情報を扱いたくもありませんし、そもそも私の権限では、国内刑事捜査の情報を扱うことはできません。

あなたは自分のアパートに住んでいますか。それとも大統領邸宅に引っ越しましたか。

私は、どこにも引っ越しません。自分のアパートがあります。私は、自宅は出ました。キーウの近くに家があったのですが、そこはコロナによって仕事ができなくなりました。その家は売りました。それで私は一時的に(大統領)邸宅に引っ越しました。現在、その邸宅は私にとって単なるホテルです。それ以外の用途では使いません。ただし、ウクライナの法律によれば、私は(邸宅を使う)権利があるのですが、しかし私は自分の家に住みたいのです。現在、妻と新しい住居を探しています。家を建てるか、借りるか。ウクライナではこういう風に言うのですが、「自分の家族の巣」を得ることが、私たちにとって大切なことです。

最近、メディアを大きく騒がせる報告書が出ました。それは、コロモイシキー氏が米国にて多くのビル、マンションを建てた、彼は実質的にプリヴァト銀行から持ち出した金を使った、という内容でした。何らかの捜査が行われていますか。

私は、その人物が、どんなお金を使ったのか、どの国で何を買ったのかといったことを、正直に言って、知りません。私たちは、それを報道でのみ聞いています。現在、プリヴァト銀行は国営銀行です。同銀行は、すばらしい収益があり、ウクライナの最高の銀行の一つであり、銀行システムの安定性を保っています。そして、私はそれに満足しています。その件の捜査に関して、私が知っているのは、ウクライナでも米国でも治安機関が捜査を行っている、ということです。治安機関間で情報が交換されているか? 交換されているとは思いますが、しかし、私はそのことを知りません。

原子力発電の発展、新しい原子力の建設を支持していますか。

ウクライナの原子力発電は、非常に発展してます。私は、原子力発電を支持するべきだと思っています。再生可能エネルギーと火力発電との間のバランスも必要です。ウクライナの火力発電も悪くはないのですが、他の国と同様、先進性を失っています。私たちは、ウクライナで安全なフ形での原子力発電の発展を計画しています。それはチョルノービリ(チェルノブイリ)発電所の悲劇とは一切関係ありません。ウクライナが独立してから、多くの原子力発電所が機能してきました。その中には、フメリニツィキー原子力発電所やリウネ州の発電所があります。現在、私たちは、米国やフランスの企業といった西側のパートナーとともに、原子力発電所、水力発電所などの建設について話しています。現在の最新技術を用いれば、原子力発電所は安全ですし、何より環境にも良いです。私は、原子力発電を支持しています。なぜなら、ウクライナは自国のためだけでなく、隣国のためにも発電しており、輸出もできます。水力発電に関しては、フランスや中国の企業のパートナーが参画したがっています。

スロバキア、ハンガリー、ルーマニアなどと違い、ウクライナの人々はマイダンでEUの旗の下で死を経験した唯一の国民です。1万4000人のウクライナ人が亡くなり、6年が経過しました。ウクライナ人は本当に今も欧州へ向かいたがっていますか。

ウクライナ人は、欧州へ向かいたがっています。しかし、それは、人々が外国のように暮らしたがっているという意味ではありません。ウクライナ人は、欧州ウクライナで生活したがっているのです。人々は、そのためにEU加盟の道を進んでいるのだと理解しています。言い方は悪いかもしれませんが、私たちは、いくつかのEU加盟国よりも、精神的にヨーロッパ人です。あなたが言及したマイダンのことを思い出せば、私たちは(他の国より)ずっとヨーロッパ的なのです。ウクライナ人は、EUの主要な原則、主要な価値を防衛しています。私たちは、経済的にも、天然資源の統計によれば、欧州で最も資源の豊富な国の一つです。私は、EUに、欧州コミュニティの一員になりたがっているウクライナの能力を見て欲しいと思っています。

ウクライナ人がドンバスで何年にもわたり、欧州的考えのために自らの命をかけて戦っていること、そのことを欧州は覚えておくべきだと思います。私は、それはマラソンに似ていると思っています。ウクライナ人は、偉大なマラソンランナーになれるし、42キロでゴールだということもわかっています。私たちは、EUへ向かって歩んでいますし、いくつかの法律(採択)の際は「走っている」ことすらあります。それは、自らの願望を示すためです。あとどれくらいで、具体的にあと何をしたら、ウクライナがEUへ招待されるのか理解するために、私たちは「ゴールの旗」を目にしなければなりません。EUの全ての国が、それを理解すべきです。

セルヒー・レシチェンコ氏(編集注:ジャーナリストからマイダン後に最高会議議員に転じ、昨年またジャーナリストに戻った人物)が議会に入った時に私は彼と話したんですが、その際彼は、「今は、何で政治家がウソをついているのか、わかる」と言っていました。彼は、政治家のウソを攻撃する生活を長年してきた人物です。彼は、政治家は多くの問題を目にして、問題を解決しようと思うが、同時に、解決の答えはしばしば存在しないのだと言っていました。そして、そんな時、政治家は、誰にもそのことがわからないよう、嘘をついたほうが良いと考えるのだそうです。そこで私はレシチェンコ氏にこう言いました。「もし私が、人々にウソをつかなくて良い手段を見つけたら、私も議会選挙に出馬する」と。しかし、ご覧のとおり、私は今もジャーナリストをしています。あなたには、人々に伝えられる答えが見つからないという状況がありましたか。私が報道の世界に残っているように、あなたもテレビの世界に残りたかったのでは?

いいえ。もし私が大統領になりたくないと思っていたなら、あの時大統領選に出馬はしなかったし、大統領にはならなかったでしょう。私は、ウクライナを根本的に変えてみたいと思ったのです。私は、それができると信じ続けているし、そう行動しています。時々、答えの見出せない問題はあります。例えば、時々、あなたの前に、子どもを亡くした母親が来て、「いつ戦争を終わらせるのだ?」と尋ねるとします。一方で別の母親は、「あなたはドンバスに行って戦わなければいけない。でなければ、私たちの子どもは何のために死んだのだ?」と言うとします。彼らは、戦争で自らの子どもを亡くしたウクライナの母親たちで、全く同じ痛みを感じながら、異なる言葉を述べるのです。あなたは、彼らのための答えを見つけなければならない。私は、彼らにウソはつきませんが、答えを見つけなければいけない。例えば、「2021年の何月31日に私は絶対に戦争を終わらせ、領土を取り返す」というような答えは、私にはありません。しかし、彼らは答えを待っている。彼らは、大統領から、「どうなるかわからない」とか、迷っている、といった返答は聞きたくないのです。だから、あなたは何らかの「答え」を述べる。そういう場合には私も時々そうしますが、しかしそれは、質問した人々を応援するために「答えて」いるのです。

でも、もしかしたら、人々はあなたにそのことであまり感謝していないかもしれません。なぜなら、彼らが望んでいるのは、あなたが戦争を止めることですが、他方で、あなたがロシアと話を始めるという話を聞いたら、彼らはあなたを裏切り者だと思うでしょう。

私は、その点については、非常に正しい考えを言おうと思います。どうなればウクライナ大統領がロシア大統領と話したがらないような状況があり得るのか。「ウクライナはロシアと話すべきでない」とマスメディアに広めているのは誰でしょうか。もしロシアと話そうとしなければ、私たちは絶対に戦争は止められない、私はそう確信しています。もう一つ重要なことは、西側パートナーのサポートです。しかし、私たちがプーチン大統領と話さなければ、私たちはウクライナを完全に再生することも、私たちの領土全てを取り返すこともできないでしょう。

残念ながら、マスメディアは、あらゆる対話の可能性を破綻させるために、行動しています。ノルマンディ(フォーマット)でも、ミンスク・プロセスでも同じです。巨大資金機構に属すメディアや、旧政権にいて、何らかの要職についていた政治家が所有するメディアの話です。彼ら全員がメディアを所有しています。非常に残念なことですが、メディアは彼らに属しているのです。私たちは、決して諦めませんし、どんな時でも戦争終了の問題においては、私たちは前に進み続けるし、パートナーともロシアとも話をしていくつもりです。人々と領土を取り戻すために。

写真:大統領府

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