ボレルEU上級代表、ウクライナ訪問を総括

ボレルEU上級代表、ウクライナ訪問を総括

ウクルインフォルム
ジョゼップ・ボレル欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表は、ウクライナ訪問の総括を発表した。

欧州対外行動庁のウェブサイトにボレル上級代表の9月22日のウクライナ訪問についての総括テキスト「ウクライナ:改革は続けられねばならない」が掲載された

ボレル氏は、「ウクライナ東部の前線ラインは、約2か月間にわたり平穏であり続けている。これは、戦争開始から最長である。2014年以降、EUは、ウクライナの最も強力なパートナーだった。私たちのサポートは継続されるが、それは法の支配と汚職との闘いの緊急強化の必要性と関連付いている」と伝えた。

同氏は、訪問時にゼレンシキー大統領、タラン国防相、クレーバ外相、市民社会・NGO代表者、欧州安保協力機構(OSCE)ウクライナ特別監視団(SMM)やEUウクライナ助言ミッション(EUAM)の人員と会談したと喚起した。

また同氏は、訪問の中で最も心を動かされたのは、2014年の尊厳革命(マイダン革命)の犠牲者追悼碑を訪れた時だとし、また「次の日には、ロシアの侵攻が始まり、同国はクリミアを違法に占領した」と喚起した。更に同氏は、ウクライナ東部戦争にて1万3000の人名が失われ、240万が自分の家から避難したことを伝え、「(追悼碑の)訪問は、私にウクライナ人が体験したことについて広範な理解を与えることになった」と発言した。

その上でボレル氏は、EUは闘いのはじめからウクライナのそばにおり、経済統合、改革サポート、主権・領土一体性の防衛の問題における理想的なパートナーとしてあり続けたとし、またEUとウクライナが連合協定を締結したことを喚起した。同氏は、連合協定は現在もEUが第三国と締結する文書の中で最も先進的な文書であり続けていると指摘し、締結時からウクライナが140億ユーロの支援をEUから受け取っていると伝えた。

更に、同氏は、連合協定と自由貿易圏における協力の全てのメリットを完全に利用するための多くの作業をせねばならないと指摘した。また、同氏は、ゼレンシキー大統領にEUは慈善団体でもATMでもないと伝えたと述べ、「私たちにとっての最善の道は、国内改革支援の提供だ。しかし、その改革を行うことができるのはウクライナ人だけ。安定し、強固で民主的なウクライナの出現が、私たちの近隣を安定させるための最善の道なのだ」と強調した。

同氏は、新型コロナウイルス危機によるウクライナの社会・経済情勢の悪化、2020年のGDPの落ち込み、9月にはウクライナ国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の一日の感染数が3000件を超えたことを指摘し、感染速度がこのまま収まらなければ、病院が患者で埋まってしまうと述べ、EUはこの危機の克服のためにウクライナにすでに1億9000万の支援を供与したと伝えた。

同時にボレル氏は、ウクライナの困難はコロナウイルス問題のみに関わっているわけではないとも指摘した。同氏は、ゼレンシキー大統領の就任は、汚職との闘いとオリガルヒの影響力の除去を求めるウクライナ人の意思が示されたものだと述べた。その上で、同氏は、新政権誕生の当初は、長らくブロックされていた改革が次々と採択される「ターボ体制」だったと指摘しつつ、同時に、連合協定上の義務の履行を含め、現在は改革のテンポが鈍化していると評価されていると発言した。更に、今年の3月はじめの内閣再編と改革者たちの辞任は民間の利益との闘いに向けた意思に不安を抱かせるものだと指摘している。

同時にボレル氏は、「その中で、ゼレンシキー大統領は引き続き希望の源泉であり続けている。国民はまだ彼から公約にあった改革と変化を期待している。そのために彼は選出されたのだ。今年の5月、彼は、農地改革と銀行対立の解決に関するほう採択を含む、決定的に重要で困難な改革を前に進めることで、リーダーシップを発揮した」と強調した。

更にボレル氏は、汚職問題に取り組むNGO「汚職対策センター(ANTAC)」の勇敢な活動に感銘を受けていると述べ、代表のシャブーニン氏に言及しつつ、彼の自宅が7月に放火にあったことを喚起し、「あのような攻撃はていねいに捜査されねばならない」と述べた。加えてボレル氏は、「プリヴァト銀行の50億ドル以上の詐欺が生じた事件に関してまだ捜査が行われていないことを残念に思う。オリガルヒたちは、決定的な影響力をいまだに維持している。彼らは、全国テレビの大半の局をコントロールしている。情報の自由は、民主主義における酸素であり、独立したメディアはウクライナが情報空間の強靭性を維持する上、先進的な市民社会を作る上で決定的に重要だ」と強調した。

また同氏は、EUとウクライナが7月に12億ユーロのマクロ財政支援プログラム相互理解覚書に署名したことを指摘し、「私は、ゼレンシキー大統領にその覚書はいくつかの条件を伴うことを喚起した。それは何よりまず、法の支配と反汚職改革の強化に関係するものだ。私は、汚職対策機関の透明で、成果にもとづいた、非政治的な選考プロセスを保障することが不可欠であると主張した」と発言した。

更にボレル氏は、ウクライナ東部の紛争とそのロシアとの関係にも触れつつ、ゼレンシキー大統領の意図がダイナミズムを変更したと指摘した。同氏は、政府管理の及ばない地域(編集注:被占領地)の住民を含む、東部の全ての人々にアクセスしようとする試み、また、ミンスク諸合意履行を再起動しようとする努力が概して支持されていると述べた。同時に、昨年12月のパリでのノルマンディ4国(独仏宇露)首脳会談から9か月が過ぎた中、達成された進展は限定的であるとも指摘した。

同氏は、7月27日にから続いている新しい停戦を支持していると述べつつ、他方で、それによって協議の肯定的ダイナミズムは生み出せていないとも指摘、加えてパンデミックが状況を更に悪化しているとも述べた。とりわけ、ウクライナ東部のコンタクト・ラインの実質的閉鎖により、信頼回復や地域再統合の努力が著しく困難となっていると発言した。

その上でボレル氏は、「私は、EUによるウクライナの主権・領土一体性へのサポート、特に、私たちのクリミア違法併合不承認政策の継続を再確認するとともに、柔軟性と善意を示したウクライナの肯定的な役割を強調する。ロシアは、相互主義にもとづいて対応せねばならない。ロシアは、ミンスク諸合意プロセスの当事者であり続けている」と強調した。

なお、ボレル氏は、9月22日にウクライナを公式訪問していた。


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