ウクライナ大統領府、ベラルーシ政権に対してユダヤ教巡礼者をだまさないよう要請
16日、大統領府が声明を発出した。
発表には、「私たちは、ベラルーシ政権に対して、私たちの国との間の国境にて追加的緊張を生み出すことを止めるよう、また巡礼者に対して希望を与えるような誤った、発表を拡散しないことを要請する。その発表によって、巡礼者の間に、ウクライナの国境が外国人にとって開くかもしれないという感情を生み出すおそれがある」と強調した。
大統領府は、現在、ベラルーシ・ウクライナ間国境(編集注:両国国境検問地点間緩衝地帯)には最大2000名の超正統派(ハシディズム)巡礼者が滞在していると指摘した。
そして、発表には、「彼らの大半がイスラエルから到着したもので、ベラルーシとウクライナの国境があたかも開いているかのような噂を信じて渡航したものである。ベラルーシ政権は、複数の十分に考えられていない発表により、故意にか偶然か、その噂を加熱させている」と書かれている。
大統領はまた、外国籍者に対する国境の閉鎖の決定は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大によって採択を余儀なくされたものであり、また国内にも厳重な防疫措置が施行されており、宗教的なものを含め、大規模行事の開催はできないと喚起した。
更に大統領府は、「加えて、ベラルーシの実質的に活動している政権の内部の複数人物による個人的侮辱が本日、残念ながら、国家間関係の領域にて拡散されていることを、指摘せざるを得ない。本年8月9日のベラルーシ大統領選挙における疑わしい形で組織された投票により生じた政治的危機に関して、ウクライナが中立的立場を取ってきたことを喚起する。私たちは、欧州大陸において広範に認められている民主的価値を支持しており、それぞれの国は国際条約と、ベラルーシにも少なくとも形式的には存在する関連国内法にて保証されている人々の権利と自由を100%保障する義務を遵守せねばならないと考えている」と指摘した。
大統領府は加えて、各国が新型コロナウイルス感染症拡大期において、感染拡大を止め、隣国における感染状況発展の否定的なシナリオ発生を防ぐため、透明かつ責任ある政策を行わねばならないのだと強調した。
なお、今年のユダヤ教の新年ロシュ・ハシャナは9月18〜20日に該当する。ラビ・ナフマンの墓のあるチェルカーシ州ウーマニ市には、例年この時期ユダヤ教超正統派(ハシディズム)の巡礼者が訪れているが、今年は、ウクライナ政府が、新型コロナウイルス感染(COVID-19)対策の一環で、9月末まで外国籍者の入国制限を実施している。
しかし、15日の国境警備庁の発表によれば、現在、ベラルーシ領からウクライナ領へと入国しようとする数百人のユダヤ教超正統派の巡礼者が、両国の国境検問地点間の緩衝地帯に到着している。