独与党幹部、シュレーダー元首相に対してロシアとのビジネスを止めるよう呼びかけ
6日、独ターゲスシュピーゲル紙が報じた。
ヴァーデフール氏は、「ゲアハルト・シュレーダー元首相は、ロシアにおける自らの義務と職を速やかに放棄すべきだ」と発言した。
ヴァーデフール氏は、たとえロシア政権が、これまでの殺人事件への批判に対してと同じように、今回のナワリヌイ氏服毒への責任を否定したとしても、ドイツ元首相は政治的にも倫理的にもこの事件を無視することはできないと指摘した。同氏は、「シュレーダー氏にまだ政治的良識と価値への感受性があるなら、そのような政府(ロシア政府)に依存する企業や機関との今後の協力は、彼にとって不可能なはずだ」と発言した。
同氏はまた、ロシア政府との協力は「少なくともシュレーダー氏が非人間的行動を受け入れる」ことを意味すると指摘した。
この見方には、緑の党のオミド・ヌリプール議員も賛同している。同議員は、「ドイツ社会民主党幹部が本件についてロシアに対する新しい制裁協議を控えている中、今シュレーダー氏が社会民主党にどの程度影響力を持っているのだろうか、という疑問が沸いてくる」と発言した。
その中で、シュレーダー氏は、本件についてコメントしていないという。シュレーダー氏は、ロシア政権傘下の3つの大企業、ロスネフチ社、ノルド・ストリームAG(第1、第2)の役員となっており、同氏はドイツ国内においてプーチン露大統領の利益を擁護する活動を行う主要人物の一人として知られている。同氏は、ロスネフチ社からだけで年間60万ドルを得ているという。
現在までで、シュレーダー氏のロシアのエネルギー関連企業の役員を務めている期間は、自身の独首相在任期間の2倍となっている。ターゲスシュピーゲル紙は、「その期間に彼が自らの義務履行で得た金銭がどれほどなのかは不明だ」と指摘。また、同紙は、シュレーダー氏は自らをロシアとの対話の仲介者だと見なしていると指摘し、例えば、シュレーダー氏は、これまで、対ウクライナ戦争やロシア国内外の政権批判者の殺害についてはおろか、ロシア連邦のプーチン大統領について批判的な発言を一度も口にしたことがないという。同紙は、シュレーダー氏が好むテーマは「ロシアのウクライナ情勢介入によりEUが科した対露制裁の解除」「ロシアはエネルギー供給における理想的なパートナー」「欧州の平和と安全はロシアと共にでなければあり得ない」といったものであるとしつつ、その際、同氏がウクライナ東部におけるロシアの攻撃的役割について思い出すことはないと説明している。
これに先立ち、8月20日、ロシアの野党政治家アレクセイ・ナワリヌイ氏の体調が航空機の中で悪化し、航空機はオムスクに緊急着陸、ナワリヌイ氏は病院へ搬送された。8月22日、同氏は特別機でベルリンに移送。ナワリヌイ氏は現在まで昏睡状態であり、容態は依然深刻だと伝えられている。
9月2日、ドイツ政府は、検査によりナワリヌイ氏の体内からソ連時代製造の神経剤「ノビチョク」系が見つかったと発表した。