
クレーバ外相、露シベリア在住ウクライナ人に「アイデンティティ維持のために努力する」
13日、クレーバ外相がオンライン記者会見時に同地のウクライナ人に呼びかける形で発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
なお、シーリー・クリンとは、シベリア南西部・カザフスタン北部の地域の非公式名称。同地は、19世紀末から20世紀初頭にかけて多くのウクライナ人が入植している。別名「灰色のウクライナ」。
クレーバ外相は、「親愛なるシーリー・クリンのウクライナ人、その他のロシア領に暮らすウクライナ人よ。私たちは、あなた方皆をウクライナの民の不可分の存在だとみなしている。私たちは、あなた方に対するロシアのあらゆる違法行為を注意深く追っており、あなた方がウクライナの伝統、ウクライナ語、ウクライナの文化、ウクライナ・アイデンティティを発展させる権利を維持できるよう、私たちはあらゆる努力を行っていく。あなた方は、物理的にはウクライナから遠いが、しかし私たちはいつもあなた方のそばにいるし、あなた方を助けるべく、存在するあらゆる手段を利用していく」と発言した。
外相はまた、ロシア政権がシベリア・ウクライナ文化センター「シーリー・クリン」解体の決定をしたことは、ロシアによる同国のウクライナ市民団体に対する弾圧政策が継続されていることを示すものであると指摘した。外相は、2010年には、ロシア国内の連邦ウクライナ民族文化自治が閉鎖され、2012年にはロシア・ウクライナ人団体が閉鎖、2017年にはモスクワのウクライナ文学図書館が閉鎖、2019年にはロシアにて世界ウクライナ人会議が「望ましくない団体」に指定されたことを喚起した。
その上でクレーバ外相は、「私たちは、これら弾圧行為に断固として抗議していき、ロシア連邦に対して、本件において、国際法の規範と定められた民主的規範を遵守するよう要求していく」と発言した。
これに先立ち、ロシア政権が、オムスク市のシベリア・ウクライナ文化センター「シーリー・クリン」の解体手続きを始めていた。オムスク州裁判所が、同国司法省による「シーリー・クリン」の解体を求める声明を受理していた。
本件に関する裁判審理は、8月28日に開かれることが予定されている。