デニス・カザンシキー三者コンタクト・グループ・ドネツィク州代表
ロシアの操り人形たちは、国内避難民が協議に参加していることでしばしばヒステリーを起こす
28.07.2020 11:16

ドネツィク出身の記者でありブロガーであるデニス・カザンシキー氏は、最近、ウクライナ、ロシア、欧州安保協力機構(OSCE)からなる三者コンタクト・グループ(TCG)の政治問題作業部会に入った。彼がドネツィク出身者の中で最も活躍している人物であり、影響力を持つ者の一人であることは疑いがない。ウクルインフォルムは、彼に書面でいくつかの質問をして、回答を受け取った。


カザンシキーさん、あなたはどういう形でTCGに招待されたのですか。事前協議があったのですか。あったのであれば、誰と協議したのですか?

私を招待したのは、レズニコウ氏(副首相兼一時的被占領地域再統合問題担当相)です。彼がTCGに加わるよう提案しました。状況とレッドラインに関して、私たちの認識が一致すると理解したため、協議参加に同意しました。

諮問評議会なるものを設置するというアイデアがありました。その後、そのアイデアは、TCGを拡大し、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域代表者を加えるというものに変わりました。諮問評議会設置アイデアは、社会の愛国的な層に強く批判されました。あなたは、そのアイデアを生産的なものだと思っていましたか。

あのアイデアは、私は失敗だと思っていますし、社会の反応は正しかったと思います。政権には、適切な評価をしなければなりません。政権が人々の意見を聞き、諮問評議会設置を断念したのです。

ヴァディム・ホラン、コスチャンティン・リブステル、セルヒー・ハルマシュという、その他のTCG新参加者と連携していますか。やり取りをすることがありますか。

私たちは、しばしば会っており、TCG会合前にどうするかにつき議論しています。誰かが何らかの重要な情報を協議の場で伝えたいとか、何かをOSCEに対して証明したいという場合、誰でも会合中に発言することができます。その点に問題はありません。

そのような会合では、あなたは分離主義者を見ながら話すわけですよね。それは精神的にどれほど辛いものですか。あなたの印象は?

今のところ、全ての会合はビデオ会合なので、敵を見るといってもモニター越しに見ているに過ぎません。その場合は何らかの特別な精神的苦痛というものは感じませんし、私は、彼らが何者であり、彼らから何が期待できるのか、ずっと前から理解しています。ロシアの傀儡の人物たちによって呼び起こされる感情は、怒りではなく、笑いです。しばしば彼らは、会合に国内避難民(編集注:カザンシキーら)が参加していることに対してヒステリーを起こすのですが、そういう数分間は特に、彼らがみじめに見えます。

あなたはTCG会合にて数時間の対立があったと書いていましたが、それを読んで、私は他のある状況を思い出しました。2008年、ロシアとウクライナの作業部会がクリミアへのロシアの黒海艦隊駐留問題を審議していた際、彼らは5時間に渡り「インベントリ」という用語の意味について議論していました。ウクライナにとっては結果が重要でしたが、ロシアにとっては過程が重要だったのです。あなたもTCG会合で似たような印象を抱きませんでしたか。

ロシアとその代表者の協議における立場は、「我々の条件を飲むか、さもなければ平和も再統合も一切あきらめよ」というものです。彼らは、自分たちにとって都合の良い項目で、私たちに対してミンスク諸合意の履行を要求するのです。他方で、彼らにとって都合の悪い項目では、彼らは違反しています。例えば、ミンスク諸合意に従えば、コンタクト・ラインは、2014年9月時点に確認されたものでなければなりません。しかし、現在ロシア人たちは、2020年1月1日時点のラインを確認することを要求しています。つまり、彼らは、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域にウクライナ領を追加的に1800平方キロメートル譲渡することを要求しているのです。(ミンスク)合意に従えば、それらはウクライナ政府がコントロールするはずの土地なのです。彼らは根拠も一切ないまま要求しているのですが、それは彼らが単にそうしたいからに過ぎません。もちろん、ウクライナにとってはそのような条件も言動も受け入れられません。そのために協議が袋小路に入り込むのです。ロシア側の非建設的な立場が原因です。

デバリツェヴェ問題も会合では提起されていますか。(編集注:ミンスク諸合意によれば、ドネツィク州デバリツェヴェ市は、コンタクト・ラインによりウクライナ政府コントロール地域に位置するが、2015年2月に締結された合意(ミンスク両合意履行のための方策パッケージ)が発効した直後にロシア占領軍により占領されている。)

ええ、定期的に提起されています。デバリツェヴェだけではなく、ミンスク諸合意に違反して奪取された1800平方キロメートルの領土全てについて提起されています。

特別地位法を見直す意味はあるのですか。見直せば、ロシア連邦がまたドネツィク・ルハンシク両州一部地域の地位を憲法に記載しろと主張すると考えられています。

ミンスク諸合意に従えば、ウクライナは(ドネツィク・ルハンシク両州)一部地域代表者と特別地位法について合意しなければなりません。この合意に署名したのは私ではありませんから、その点に関するクレームは、それに合意した人に向けるべきです(編集注:ミンスク諸合意はポロシェンコ前大統領政権下で署名されている)。ただし、ミンスク諸合意には、ウクライナがロシアとその代表者の条件を全て飲まなければならないなどとはどこにも書かれていません。もちろん彼らは、私たちの法律を変えたがっています。他方で、私たちは、彼らの願望は受け入れられないと考えています。ドネツィク・ルハンシク両州一部地域の特別地位の憲法への記載に関しては、「記載しない」というのが、すでに発表されているウクライナ大統領府による公式な立場です。

最近ロシアからの侵攻可能性が警告されています。対外情報庁からトゥルチーノウ元国家安全保障国防会議書記まで、様々な人物や機関が述べています。あなたは、それを真の脅威だと思いますか。

ロシアによる侵攻は6年前に始まっています。もし情勢が激化する脅威のことでしたら、もちろん、そのような脅威は存在します。

しばしば(ドンバス)被占領地をロシア連邦領に「編入」するという話が上がります。武装集団構成員やザハール・プリレーピン(編集注:ドンバスの武装集団を支援するロシア人作家)のような人物が述べていますが、ロシア連邦の公人はそれを否定しています。あなたは、ロシア連邦はどのような長期計画を有していると思いますか。戦争でしょうか、それとも紛争凍結でしょうか。

ロシアにとって、その領土は必要ではありません。ロシアは、そのことをシニカルな形で繰り返し述べています。ロシアは、ドンバスを「ウクライナの鼻の上の重し」だと捉えており、それを道具として使っているのです。彼らに必要なのは、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域ではありません。必要なのは、ウクライナ全体なのです。彼らは、情勢を利用してウクライナを脅迫するために、東部を恒常的に緊張させ続けているのです。

被拘束者交換についてです。現在の交換者リストは不透明なやり方で作られていると、しばしば批判が聞かれます。私たちには分離主義者や理解し難い経歴の人物が渡され、本質的な被拘束者は拘束され続けている、と。

私は、交換には携わっていません。それはTCGの人道問題作業部会が扱う問題です。私は政治問題作業部会です。私も、その質問の回答に興味があります。

被占領地住民たちの考えについて教えてください。彼らの考えは変化しているのでしょうか。

私たちは、どのような考えを人々が抱いているか、完全には知ることができません。世論を調査することが不可能だからです。しかし、住民の過半数が普通の生活を望んでおり、しかし「DPR・LPR」のフォーマットの中ではそれが不可能だと理解している、ということは、確実にわかっています。

ドネツィク・ルハンシク両州一部地域に今も暮らしている住民の大半は、おそらく、ロシア連邦の一部になることを望んでいるのでしょう。しかし、それは実現しません。彼らはロシアにとって必要ないのですから。

そこで残るのは、ウクライナだけです。もしウクライナと非承認の犯罪的ゲットーの二択で選択するのであれば、当然、大半の人がウクライナを選びます。そのことは、住民の避難の行き先からも確認できます。毎年、数万の人々がドネツィク・ルハンシク両州一部地域からウクライナ政府管理地域へ避難しています。他方で、反対側(編集注:ウクライナ政府管理地域から両州一部地域)へ向かう者の数は、一桁なのです。

ラーナ・サモフヴァロヴァ、キーウ(キエフ)

写真:オレーナ・フジャコヴァ、アリーナ・スムトコ、ウクライナ・カトリック大学ジャーナリズム・コミュニケーション学校

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