露政権ウクライナ担当のスルコフ氏からコザーク氏への交代は政策変更を意味しない=ヴォルカー元米特別代表
10日、アトランティック・カウンシル主催のドンバス情勢に関するオンライン会議の際に、元米国務省ウクライナ問題特別代表であるカート・ヴォルカー氏が発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ヴォルカー氏は、「私は、ウラジスラフ・スルコフ氏からドミトリー・コザーク氏への交代が、ロシア政策における何らかの変更を示しているとは思わない。ロシアの政策はプーチンが定めている。そのプーチンは、ウクライナ政府に圧力をかけるべく、ウクライナ国内にて低烈度の侵略を維持し続けている」と指摘した。
ヴォルカー氏はまた、ロシア政権は常にウクライナ問題をウクライナ抜きで解決したがっていると述べし、先月ドミトリー・コザーク氏がドイツ訪問時に行おうとしたことも、その一例であると指摘した。その上で、ヴォルカー氏は、「その点で、ロシアの政策は変わっていない」と強調した。
同時に、ヴォルカー氏は、ロシアの政策におけるウクライナ担当がスルコフ氏からコザーク氏へと代わったことは、プーチン周辺の内部対立と関係があるとの考えを示した。
ヴォルカー氏は、「私は、スルコフ氏とプーチン氏との間の距離が徐々に大きくなり、ある時に、スルコフ氏はすでに、以前のようにプーチン氏と近い距離で話のできる人物としてはみなされなくなっていたと思っている」と指摘した。
同氏はまた、自身が米国の特別代表としてロシア側と対話していた際、コザーク氏がロシアのウクライナ問題における立場形成への影響力をどんどん増しているのに気付いていたと指摘した。
その上でヴォルカー氏は、コザーク氏は今のところプーチン氏と近しい対話チャンネルを有している可能性があると指摘しつつ、「しかし、それは(ロシアにウクライナ東部の)真の情勢解決を達成するという何らかの新しい関心が生じたという徴候ではない」とも述べた。
同氏は、「そして、私が情勢解決という場合に明確にしておきたいのは、それが意味するのがロシアによるウクライナからの撤退、ということだ」と強調した。
なお、ヴォルカー氏は、2019年9月に米国務省ウクライナ問題特別代表を辞任している。同氏は、特別代表職を担う間、ロシアのスルコフ(当時)大統領補佐官とウクライナ問題について協議をしていた人物。