オレクシー・レズニコウ副首相兼一時的被占領地再統合問題担当相
私たちはロシアのあらゆる行動に対する準備ができている。
04.06.2020 15:00

6月2日、ウクライナ代表団がベルリンを実務訪問した。同代表団には、ドンバス和平問題に直接携わる政治家が4名入っていた。ベルリンでは、二国間協力から、ミンスク・プロセスをどう進展させるかに至る、広範な問題が議論され、またクリミア脱占領問題にも特別な注意が割かれた。

ウクルインフォルムは、ウクライナ代表団に加わっていた4人の政治家のうちの1人、ミンスクでのロシア側との協議フォーマット「三者コンタクト・グループ(TCG)」にてウクライナ第一副代表を務めるオレクシー・レズニコウ副首相に短時間インタビューを行い、同日のドイツ側との協議を中心に質問した。


私たちは6年間、もう十分に恐れたのだ

オレクシーさん、ウクライナ側はクリミア脱占領協議の場を作るというイニシアティブを提示しています。ドミトロー・クレーバ外相もベルリンにてそのイニシアティブについて言及しました。その案は、現在どのような段階にありますか?

その案は、私だけでどうにかできるものではありません。私たちは、その問題を提起しています。私たちは、単独で行動するのは難しく、パートナーたちの支援が必要だということを理解しており、あらゆる案を検討しています。私たちにパートナーはいます。パートナーたちは私たちを支持しています。しかし、時期やフォーマットについて話すのは時期尚早です。

私は、ベルリンで非常に良い意味の衝撃を受けました。どの会合でも、ドイツの様々な幹部から同国の立場が明確に述べられたのです。彼らは、ロシア連邦との武力紛争にてウクライナを支持しています。

最近、ウクライナ代表団がミンスクの三者コンタクト・グループ(TCG)にて、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域のいわゆる「招待された代表者」たち(編集注:武装集団構成員)が実はロシア国籍を所有していると発表したことは、皆が良く記憶しています。しかし、クレムリンがそれに対して何かしらの反撃をしてくるのではないかと、多くの人が恐れています(編集注:ウクライナ代表団メンバー内の二重国籍所有者を探すという意味)。あなたには、それが恐ろしくないですか?

私は、現在ミンスクにてウクライナを代表する代表団メンバーを全員知っています。私には、その中の誰かが、ウクライナ国籍以外の身分証明書を持っているというような情報は持っていません。私にも、代表団に加わる最高会議(国会)議員にも、TCGウクライナ代表のレオニード・クチマ氏にも、あるのはウクライナ国籍だけです。私たちの国は一つ、国籍も一つ、その国籍を変える必要はありません。

ウクライナの政治家は、あなたを含め、占領が終わらない限り、クリミアへの水の供給はしないと、再び発言しています。

そうです、それは原則的立場です。クリミアの完全な脱占領化が行なわれてから、水の供給を再開します。私たちは、ロシアの占領政権を助けるつもりはありません。

プーチンが水源獲得のために、軍事手段、武力を行使して電撃的進攻をする可能性を恐れてはいませんか?

恐れていません。私たちは今日、(ロシアの)あらゆる行動に対する準備ができています。私たちは過去6年間、もう十分に恐れたのです。現在の戦闘準備の状態は、過去とは全く異なるものとなっており、敵に反撃する準備のできている全く異なるウクライナ軍があるのです。

諮問評議会のことは忘れられた。もう次へ向かっている

三者コンタクト・グループ政治問題作業部会傘下に諮問評議会を設置するという話は、ウクライナ社会にて拒否反応が示されました。私たち記者には、諮問評議会設置案は、今回ベルリンで議論されなかったと説明されました。あなたは、同評議会は今後設置される可能性があると思いますか?(編集注:3月11日、ミンスクのTCG会合にて、出席したイェルマーク・ウクライナ大統領府長官とドミトリー・コザークロシア大統領府副長官がTCG政治問題作業部会傘下に、ドンバス被占領下地域の出身者を参加させる「諮問評議会」を設置する案に仮合意していた。しかし、その後、同案に関して、ウクライナ社会代表者や最高会議与党議員らから、TCGに武装集団構成員を正式に参加させるような案は認められないとして、強い批判が表明された。)

(諮問評議会設置の可能性は)ないと思います。ドイツ側からもフランス側からも欧州安保協力機構(OSCE)からも(設置案について)回答がないのです。そのため、本件はもう目的に適いません。(同案は)忘れられたものであり、私たちはもう次に進んでいます。

別の案についてです。ドネツィク・ルハンシク両州一部地域(編集注:被占領地)出身者が、ミンスクにてウクライナ側からの招待者としてTCG会合への出席するという案については、進展がありますか?(編集注:TCGでは、ウクライナ、ロシア、OSCEの3者の代表の他、ロシア側が武装集団代表者を招待者として出席させていることから、ウクライナ側も同様に同地出身者をTCG会合に招待し、出席させるという案。)

私たちは、TCG協議の際にウクライナ側からの招待者となり得る候補者との協議と面接をほぼ終えました。

招待者数は10人となりますか?

なぜ10人ですか? 8人かもしれないし、16人かもしれません。それは議論の内容によります。TCGには、4つの作業部会があります。重要なのは、数ではなく、質です。

最近、ブダペスト覚書が、その署名国との協議開始の根拠になり得るという案がまた聞かれています。ブダペスト覚書署名国は、その署名にて、ウクライナの領土一体性を保証しました。ロシアを除いて。今回ベルリンで、あなたたちウクライナ代表団は本件に言及しましたか?

私たちは、ベルリンにて多くのことに言及しました。ただし、ドイツは同覚書の参加国ではありませんから、そのことを話すのに完全に適した場ではありません。しかし、ドイツ側との協議の際、私たちは米国、英国、その他の文明世界の国々との潜在的なパートナーシップについては話し合いました。

しかし、「バーバ・ヤガーが反対」するかもしれない…、つまりロシアが全て妨害することでしょう…。

ロシアがウクライナに対し軍事侵略を行なったのであり、ロシアの立場は自明です。私が言っているのは、私たちの同盟国との間の協議を開始しなければならない、という話です。

大学は被占領地からの入学生を待っている

人文系の質問です。ドネツィク・ルハンシク両州一部地域では、被占領地在住ウクライナ国民向けの(国営ロシア語テレビ放送)「家」局の番組が見られていますか? 視聴に関するデータはありますか? 現地の子供たちは、大学入学試験の準備のために、ウクライナの教育番組を視聴できていますか?

私には今、どれくらいの人がテレビを見ているかのデータはありません。

ご存知でしょうか。残念ながら、信号が符号化されたのです。私たちは、欧州の機関の決定を受けて、信号を符号化しました。それにより本件の複雑さが増してしまいました。

しかし、私たちは、全国統一入試を受けることができない子供たちに、彼らにも大学入学の機会があるということ伝えるために、情報をあらゆる手段で発信しています。現在ウクライナ国内の91の高等教育機関にて、教育センター「クリミア・ウクライナ」「ドンバス・ウクライナ」が運営されており、そこには、全国統一入試を受けなくても、彼ら(編集注:被占領地在住の入学希望者)を受け入れる準備があります。特別な措置として、彼らは、両親のうち1人いれば通過検問地点を通ることができ、その際2週間の監視施設滞在や自主隔離は必要ありません。

最後の質問です。あなた個人は、ドンバス平和的情勢解決にて、近い将来に重要な進展を達成する可能性があると信じていますか?

私は、楽観主義者です。もし自分の行なっていることを信じられないのであれば、それを行なう意味などありません。

去年パリで(4国)首脳会談が開かれれ、ミンスク・プロセスが再び動き出すなどと、誰が信じていたでしょうか? 信じていた人はほとんどいませんでした。ウクライナ人被拘束者が解放されると、しかもロシア領内で拘束されていた人さえ解放されるなどと誰が信じていたでしょうか? 私たちが海軍軍人を取り戻せるか、ということについてはどうだったでしょうか? 艦船の返還については? ほとんど誰も信じていませんでした。しかし、それらは実現できたのです。ですから、私は、物事が良くなる方を信じます。後になって「あれをしなかった」と後悔しないためには、今全てのことを行なわねばならない、私はそう確信しています。

オリハ・タナシーチューク(写真含む)、ベルリン

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