ウクライナ外務省、米国の領空解放条約からの離脱表明にコメント
23日、外務省ウェブサイトにコメントが掲載された。
外務省コメントには、「ウクライナは、この条約の維持と今後の履行に最も関心を抱いているが、ただし、それは全ての締約国が例外なくその条約を良心的に履行する条件下においてのことである」と書かれている。
外務省は、ウクライナは調印(1992年3月24日)時から常に領空解放条約にコミットしてきたとし、同条約が欧州安全保障と軍備管理の分野における基本的国際条約の一つであり、欧州諸国、米国、カナダなどの34の締約国を統べるものであると指摘した。
また、外務省は、「領空解放」体制は、国連総会「クリミア自治共和国とセヴァストーポリ市(ウクライナ)、黒海・アゾフ海の一部の軍事化問題」決議の履行を促すものだと指摘し、とりわけ、米国をはじめとする多国籍査察チームがクリミア自治共和国の北部沿岸を飛行することにより、この水域でのロシア連邦の行動の正常化を促してきたと喚起した。
同時にコメントには、2015年以降、領空解放条約の実効性は全体として徐々に下がってきていると指摘されており、その理由として、ウクライナの安全保障にとって最重要地域である、クリミア自治共和国、セヴァストーポリ市、ドネツィク・ルハンシク両州の一時的被占領地について、ロシアがこれら領土を占領し、この占領地やロシア領内のウクライナ国境に隣接する地域の上空を飛行禁止対象としたことで、ロシア連邦の軍事活動が航空査察できなくなっているためだと書かれている。
その上で、コメントには、ウクライナが、「領空解放」の査察体制を維持することを目的に、全ての締約国に対して、現状の出口を模索するべく最大限の努力を行うよう呼びかけていると書かれている。
なお、領空解放条約(オープンスカイズ条約)は、1992年3月24日にヘルシンキにて調印され、2002年に発効した国際条約。締約国が相互の領空に査察用航空機を受け入れることで、軍備管理の透明性を高めることを目的としている。