シュミハリ新内閣:慎重な共感や懸念 専門家の見方
ヴォロディーミル・フェセンコ(政治学者、政治研究所「PENTA」所長)
残念ながら、私たちは、大きな挑戦と潜在的問題の流れに入ろうとしている。世界経済に危機が生じれば、ウクライナに対するダメージも避けられない。もしダメージが大きければ、誰が首相であるか、誰がどの省を率いているかは重要ではなく、その危機は政府全体を沈没させることになる。
新内閣が効率的となるかどうかは、見てみなければわからない。ただいずれにせよ、新内閣の構成は、若さと経験の間の利益のバランスが見られる。新首相個人にもそれは見られる。彼は十分に若く(44歳)、しかし同時に経験も有している。ただし、その経験は、主に中間管理のレベルであり、中央政権での経験は1か月しかない。そのため、潜在的リスクの存在は強調すべきである。しかし、新閣僚の大半は既に閣僚経験者である。その点で、この内閣は経済の現状や個別分野の状況をよく理解しているであろう。どちらかといえば、この内閣は、理論家というよりは、実践者、プラグマティストであろう(もちろん全員ではないが)。
個別の閣僚には、肯定的イメージを抱いている。例えば、新財務相(イーホル・ウーマンシキー)は、様々な時期に政府で働き、2008年の経済危機下での業務経験もある。それは非常に重要だ。何より、前任のオクサーナ・マカロヴァと異なり、彼に対しては様々な勢力が好意的な姿勢を示しており、(任命は)最適な決定である。その他の閣僚についてはコメントが難しい。例えば、イッリャ・イェメツ。医師としては、肯定的意見が聞かれる。他方で、多くの者が、イェメツ氏がアザロウ内閣(ヤヌコーヴィチ政権下)で数か月仕事をしていたことへの懸念を表明している。もう一人は、イヴァン・プラチコウ氏のエネルギー相の任命(案)だ。強力な専門家で、悪くないマネージャーであり、ユシチェンコ政権下で勤務経験がある。彼は(オリガルヒ(大富豪))アフメトフ氏との関連付けられている。しかし、同省周りには複数のオリガルヒの利益がある。彼に状況を回り、均衡を見つけられるかは、見通せない問題だ。
ボリス・クシュニルーク(経済専門家)
私個人にとっては、新内閣の構成はかなりシンパシーを覚えるものだ。新閣僚の名前の大半は、受け入れられるものである。彼らは、前任者よりはるかに専門的な人物だ。同時に、私たちは、彼らの本当のビジョンは全く知らない。それがある種の未確定の雰囲気を生み出している。私は、彼らが実直な、気難しい性格を有していることを知っている。そして、それは実は全くわるいことでない。専門家がフレキシブルであることはまれなのだ。
ゼレンシキー大統領やホンチャルーク内閣に対する場合と違って、新内閣には「最初の100日間」のような一定の信頼が維持される期間はないだろう。新内閣に何らかの結果を出す能力があるか、彼らに現状の対応に関して理解があるか、という点は、残念ながら不明だ。誰も自らの立場を公に示していないのだから。そのため、最初は、彼の見解を聞かねばならない。もし彼らが現状の問題の解決だけを行うならば、重要な結果を達成することはないだろう。
リリヤ・ブルドニツィカ(政治専門家)
ホンチャルーク内閣の総辞職は非合理的であった。複数の閣僚(保健、外務、社会政策、教育等)の交代だけで十分であった。新内閣の構成は、前内閣より効率が落ちるであろう。ホンチャルーク内閣が、一致団結したチームと調整された仕事を示していたのに対して、シュミハリ内閣閣僚はまず互いに、知り合うことから始め、協力の仕方を学ばねばならないのだから。
ヴァレリー・ペーカル(経済専門家)
新内閣は、これまで同様に、社会という「斧」と政権という「金属作業台」の間を生きることになる。そして、そのことは内閣の効率を促すものではない。内閣が効率よく作業するためには、彼らには議会と大統領からのサポートが必要で、戦略的な目的を実行するための時間があることや、事物の詳細や、複雑な問題を直ちにシンプルな方法で解決せよなどという要求に取り込まれることがないということに、確信を持てなければならない。前内閣は、これらの条件が満たされていなかったのだ。そして、同様のことが新内閣を待ち受けていることは、言うまでもない。
ミロスラウ・リスコヴィチ、オクサーナ・ポリシチューク/キーウ