憲法裁判所、最高裁判所の名称変更による旧裁判官解任を認めないとする判決
2月19日、憲法裁判所は、ウクライナ最高裁判所裁判官が要請していた、2016年6月2日付「裁判機構と裁判官地位」法(第1401)の個別条項の合憲性に関し、判決を公開した。
憲法裁判所は、とりわけ、「ウクライナ最高裁判所」の「最高裁判所」への名称変更は、旧称時の裁判官の名称変更後の最高裁判所への移籍を伴わずに行なわれてはならないとし、その理由として、両者の裁判官の法的地位に差異はなく、名称から国号「ウクライナ」を除外することが、最高裁判所の裁判官全員を解任することや、下位裁判所をはじめ、他の裁判所へ移籍させることの根拠となってはならないと発表した。
その上で、憲法裁判所は、旧称「ウクライナ最高裁判所」で裁判官をしていた者は、現在の最高裁判所でも裁判官としての権限を行使し付けることができると指摘した。
加えて、憲法裁判所は、「ウクライナ最高裁判所」から「最高裁判所」への名称変更は、前者の解体を示すものとなはならないとし、旧称「ウクライナ最高裁判所」は現行「最高裁判所」として活動を継続しているものとすると決定。
憲法裁判所は、審議した法律の移行規定第7項(編集注:旧称「ウクライナ最高裁判所」の活動停止を規定する箇所)と第14項(編集注:旧称最高裁の裁判官が新設最高裁判所の裁判官への公募に参加する権利について記載されている箇所)を違憲と判断した。
違憲と判断された項目は、同決定採択の日に効力を失うと書かれている。
憲法裁判所は、最高会議に対して、今回の決定に従った法改正を行なうことを勧告。更に、この決定が拘束力を持ち、最終的で、控訴のできないものだと指摘している。
これに先立ち、2016年6月2日、最高会議は、司法に関する憲法改正を本採択し、更に、「裁判機構と裁判官地位」法(第1401)を採択していた。同法は、新設の「最高裁判所」の形成を規定し、それまで存在した3つの特殊裁判所を廃止した上での、刑事、民事、商業、行政の案件についての破棄控訴審議のための機関を統合する裁判所の創設を定めていた。
その際、同法は、旧「ウクライナ最高裁判所」の裁判官は、その他の応募者と平等に、公募を通じてのみ、新設の最高裁判所の裁判官となれると定めていた。
旧「ウクライナ最高裁」裁判官は、この司法改革の内容に反対を表明し、法律内の複数項目につき、憲法裁判所に合憲性の審議を要請していた。
現時点で、旧「ウクライナ最高裁」の裁判官だった人物9名が、裁判官職を失ったままでいる。