調査グループ「べリングキャット」、ウクライナ東部武装集団参加者のロシア国内での偽名を特定
べリングキャットが「どのようにロシアはウクライナの作戦実行者に偽パスポートを発行しているのか」という名の記事を掲載した。
記事には、「ベズレルは、ロシア特殊機関により、ウクライナでの作戦遂行中に偽パスポートを渡された、多くのロシア作戦実行者の一人である。リークされたロシアのデータベースを利用すると、いくつかの基本的経歴詳細を追うだけで、実行者の偽の個人情報がわかる。これは、もう一人のロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)職員のオレグ・イヴァニコフ(アンドレイ・ラプテフ)についても同様である」と書かれている。
べリングキャットのメンバーは、ベズレル氏に対してロシアの国内用パスポート(身分証明書)が「ベレゴヴォイ」という姓で発行されていること、またパスポート上の誕生日、名前、父性といった全ての情報はシンフェローポリ在住の実在人物と同じものになっていることを判明させている。
記事には「オープンにアクセスのできる、2014年のロシア航空機の活動を示すオンライン・データベース上にて明らかになったことは、ベズレル/ベレゴヴォイは、ロシアとウクライナの渡航のためにこの旅券を利用していたことである」と書かれている。
メンバーは、ロシア・パスポート内の発行場所、発行年月日、発行番号を特定するアルゴリズムを示しつつ、「ベレゴヴォイ」のパスポート(番号:4513078492)がモスクワで発行されたこと、2013年に印刷され、発行自体は2013年か2014年だと説明している。
ラプテフ/イヴァニコフのパスポート番号は4513078464だとし、これがベレゴヴォイのパスポート番号と最後の2桁しか違わないことを指摘。また、この偽パスポートの番号と一致する人物が納税者データベースに存在しないこともわかったとの説明がある。
べリングキャットは、これまでに類似の手段にて、民間傭兵派遣企業「ワグナー(ヴァグネル)」の傭兵に対してGRUがパスポートを発行したことも特定したことがあると指摘した。そして、その時のパスポートも今回と同じ場所で発行されており、発行されたパスポートの番号がそれぞれ近いものであり、これらが偽パスポートが同じ時期に作られたことを示していると指摘されている。
なお、武装集団戦闘員イーホル・ベズレルは、ウクライナの活動家イーホル・ジャキウシキー、ユーリー・ポプラウコ、ヴォロディーミル・リバクの意図的殺害の容疑で、ウクライナ検事総局により指名手配を受けている人物。また、GRU将校のオレフ・イヴァニコフしは、2014年のウクライナ東部上空でのマレーシア航空機MH17撃墜事件への関与の容疑がかけられている。