EU、クリミア制裁に続き、セクター別対露制裁の延長を決定
プレーベン・アーマン欧州理事会報道官がツイッター上で発表した。
なお、同日、本件とは別に、欧州連合(EU)理事会がクリミア関連の対露制裁を1年間延長している。
同報道官は、「ミンスク諸合意の履行が欠けているため、対露制裁が満場一致でさらに6か月間延長された」と伝えた。
Russia sanctions unanimously extended for another six months because of a lack of Minsk Agreements implementation. #euco
— Preben Aamann (@PrebenEUspox) June 20, 2019
また、同決定につき、ミコラ・トチツキー在ベルギー・ウクライナ大使がツイッター上でコメントした。
大使は、「本日、二つ目のEUの決定である。EUの首脳たちは、セクター別対露制裁を2020年1月まで延長することに合意した。首脳会議までに法的手続きが全て終わることを期待している。国際共同捜査チーム(JIT)の結論もまた、ロシア連邦によるMH17撃墜と対ウクライナ侵略の責任を認めた」と指摘した。
なお、EUによるウクライナ問題に関する対露制裁は、4種類ある。
1.対個人制裁:当初、2014年3月に21名の個人に対して科されたもの。これらの個人は、クリミア占領開始というウクライナ領土一体性の侵害を行なった人物。現在、この対個人制裁は、170名の個人と44の法人に拡大されている。内容は、EUへの渡航禁止とEU内資産の凍結。この制裁の延長は、半年毎、3月と9月に更新されている。
2.セクター別制裁:2014年7月のマレーシア航空機MH17撃墜と同年9月のドンバス情勢の更なる激化を受けて、ロシアによる対ウクライナ不安定化(ロシアの対ウクライナ軍事侵略)に関連して科されたもの。この制裁パッケージは、ロシア経済に影響をもたらす分野においてEUとロシアの協力を制限するものであり、金融、軍事産業、エネルギーの分野に及んでいる。同制裁の解除条件は、ロシアによるミンスク諸合意の完全履行と定められている。EUは、同制裁を、半年毎、1月と7月に見直している。
3.クリミア関連経済制裁:ロシアによるクリミア一時的占領の開始に関連し、2014年6月に発動されたもので、EUとクリミアの間の貿易、観光、投資を停止する内容となっている。クリミア制裁は、1年毎、毎年6月に更新されている。
4.ウクライナの国家資産乱用に関与した人物に対する制裁:2014年3月に発動されたもので、ウクライナの旧政権(ヤヌコーヴィチ政権)に属していた12人の元高官に対して科されたもの。毎年3月に更新されている。