クリミア占領5年と露メディアの偽情報=EUvs偽情報特集記事

クリミア占領5年と露メディアの偽情報=EUvs偽情報特集記事

ウクルインフォルム
ロシア国営通信のサイト「リア・ノーヴォスチ」は、世界が「クリミアをロシアの一部」と認め始めている、との印象を作り出そうと努力している。

ロシアのマスメディアは、クリミア違法併合から5年経過を、プロパガンダ満載で祝っているが、実際にはその内容は脆弱なものである。

欧州連合(EU)が創設した作戦グループ「East Stratcom Task Force」の運営する分析サイト「EUvs偽情報」は、ロシアが如何にクリミア違法併合5年を報じているかを伝えた

EUvs偽情報の記事には、こう書かれている。「フランスの観光客がクリミアへ旅行に訪れたそうだ。すると、驚くべきことに、ロシアはその旅行者訪問により、クリミアが全く占領されていないことが示されたと言うのである。さらには、2014年の住民投票は民主的手続によって行われたという、古くからの主張もそれに続く。いやいや、それは間違いである。国連総会が、その住民投票が無効であったことを示す決議を採択している。しかも、ロシアのプーチン大統領でさえも、クリミア併合計画はそのいわゆる『住民投票』の数週間前に開始したと公の場で発言しているではないか。ロシアの部隊が『人々が意見を表明するのを助けるために』展開されたのである」。

EUvs偽情報は、嘘は何年繰り返そうと突然に真実に変わることはないと説明する。

また、ロシアのマスメディアは、このいわゆる「住民投票」がウクライナ憲法にのっとって行われたと定期的に拡散しているのだが、EUvs偽情報は、それを「不器用なこと(maladroit)」と指摘する。実際、ウクライナの憲法裁判所は、異なる視点を維持しており、2014年のクリミアでの「住民投票」は直接の憲法違反であった、と指摘している。EUvs偽情報は、さらに、ロシアによるクリミアの違法併合は国際法への違反であり、欧州の安全と秩序の破壊であり、ロシアが負うウクライナ領土一体性尊重という義務への違反であることを改めて指摘している。

加えて、ロシアの偽情報メディアは、視聴者に対して、他国の領土を違法に強奪することを、あたかも尊厳ある行為かのように説得しようとしてるらしい。例えば、あるメディアは、クリミアの住民がクリミア併合を「素晴らしいこと、良いこと」と述べ、「私たちには、お金も十分にあるんです!」と述べたと報じる。しかし、この発言は、ロシアのメドヴェージェフ首相のクリミア訪問時の名言「金はないが、あなた方はそこでがんばってくれ!」に反するものだと指摘されている。なお、EUvs偽情報は、ロシアの公式統計データを参照しつつ、具体的に、クリミアの違法併合以降、物価が293%上昇、公共料金の額が205%上昇したことを指摘し、医療費も占領前と比べて168%高くなったことを説明している。

また、EUvs偽情報は、ロシアの偽情報メディアはウクライナの行為をもって、ロシアによるクリミアの併合を合法化しようと試みていると指摘する。例えば、ロシアのメディアは、ウクライナがクリミアに電気や水を供給しないことをもって、ウクライナはもうクリミアの返還を求めていないのだと喧伝している。しかしながら、EUvs偽情報は、現実は全く反対なのだと指摘し、具体的に2016年12月19日付国連総会決議第71/205によって、ロシアは占領国となっており、それにより、被占領地の住民の基本的必要の保障に責任を負うのは、ウクライナではなく、ロシアなのだということを喚起している。

さらに、EUvs偽情報は、別の記事において、「ロシアの国営通信の『リア・ノーヴォスチ』は、世界が『クリミアをロシアの一部』と認め始めているという印象を作ろうと努力しており、そのことで非常に低い方向へ落下していっている」と指摘する。

欧州の専門家は、違法クリミア併合から5年経過する頃、ロシアが国営通信の「リア・ノーヴォスチ」が「ドイツの複数メディアがロシアのクリミアにおけるルネッサンスについて伝えている」という記事を掲載していたことを喚起する。リア・ノーヴォスチ通信は、ロシア支配下にあるウクライナ領クリミア半島において起きていることをドイツが支持しているのだと示そうと努力していたそうである。

しかし、ロシアの「インサイダー」通信は、「リア・ノーヴォスチ」が使っていた情報源は実際には「複数」ではなく1つだけであり、しかもそれは2か月未満しか存在していないサイトで、さらにサイト所有者、編集部構成、財源などの情報が一切掲載されておらず、住所すら不明なサイトであることを明らかにした。

インサイダー通信は、リア・ノーヴォスチの引用した記事は、さして大きくなく、主にフィリピン、ロシア、ウクライナからアクセスのあるポータルサイト「EU Reporter」に掲載されていた英語のオリジナル記事から、ドイツ語へ「自分勝手に翻訳」された内容のものであると指摘した。そして、そのドイツ語に翻訳されたのも、オリジナルから部分的に取捨選択されて訳されたものであり、元の記事の内容を歪ませる形になっているのだと説明した。

面白いことに、その後、ドイツ語のサイト「Globus Deutschland」にこの「歪んだ翻訳」が掲載され、それが今度は完全にロシア語に翻訳されて「イノスミ」通信に掲載。この「イノスミ」は、ロシアの国営通信「ロシアの今日(ロシア・セヴォードニャ)」の一部である。「ロシアの今日」は、ご存知のとおり、有名な「スプートニク」や「リア・ノーヴォスチ」を抱える企業である。こうして、このニュースが「一巡」したわけである。なお、EUvs偽情報は、「ロシアの今日」社の社長は、EUの制裁リストに入っている、ロシアのプロパガンダ伝道者として有名なドミトリー・キセリョフ氏であることを喚起している。

ドミトロ・シュクルコ、ブリュッセル


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