イラン大使、同国が国連総会のクリミア決議に賛成しなかった理由を説明
5日、駐ウクライナ・マヌーチェフル・モラディ・イラン・イスラーム共和国大使が記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
モラディ大使は、「ウクライナ・ロシア間の紛争の開始時から、私たちは、常に国際法の規範を守り、ウクライナの領土一体性を支持してきたし、現在も支持している。私たちは、イランのビジネス界代表者に対して、ウクライナ関連機関の同意なくクリミアへ渡航しないようにと、繰り返し喚起している。政治的には、私たちは、ウクライナの主権を侵害するような行為は一切行っていない。私たちは、ロシア連邦と緊密な関係を有しているが、しかし、対露関係は、イランとウクライナの良好な関係には一切影響を及ぼしていない」と発言した。
国連総会にてウクライナが提案した、クリミア・アゾフ海・黒海軍事化問題の決議へのイランの投票行動については、同大使は、「ウクライナが、過去15年間、アメリカとカナダが作成した反イラン的な人権問題の決議案に賛成してきたから」とコメントした。同大使によれば、アメリカとカナダは、「多くの国の人権問題には目をつむりながら、イランの問題だけを見ている」と主張しつつ、ウクライナがこの反イラン決議に賛成票を投じ続けていることを残念に思っていると表明した。
同時に、同大使は、ウクライナの立場を理解しているとも述べる。「しかしながら、私たちは、ウクライナがこれらの国々と有している関係の大きさを理解しているし、(ウクライナ・イラン)二国関係では投票問題にアクセントを置くことは一切せず、この件が両国関係の障害にならないように努力している。2018年12月の私たちの投票行動は、私たちがウクライナに反対しているというわけではなく、単に、国際条理におけるこの手の行動に対する私たちの立場の発露なのである」と説明した。
同大使は、国連総会での同決議の投票が行われた後にイラン代表部はウクライナ側に対して、投票行動に関する説明を行ったと伝えた。そして、「私たちは、このような説明は、友好国にのみ伝えている」と強調した。
クリミア軍事化決議とは、昨年12月18日に国連総会にてウクライナが提案した決議であり、クリミア、アゾフ海、黒海にてロシアによる軍事化が進められている問題に関する決議のこと。同決議には、66か国が賛成、19か国が反対、72か国が棄権票を投じた。
この決議に反対した国は、アルメニア、ベラルーシ、ボリビア、ブルンジ、カンボジア、キューバ、北朝鮮、イラン、ラオス、ミャンマー、ニカラグア、ロシア、セルビア、南スーダン、スーダン、シリア、ウズベキスタン、ベネズエラ、ジンバブエであった。
写真:@IranembUkraine