「ウクライナにロシア軍はいない」「リトアニアはファシズム国家」:EU専門家、露マスメディアによる過去1週間の偽情報を報告

「ウクライナにロシア軍はいない」「リトアニアはファシズム国家」:EU専門家、露マスメディアによる過去1週間の偽情報を報告

ウクルインフォルム
ロシアの政権に近いマスメディアが拡散する偽情報を分析するEUの専門家は、あたかも「ウクライナにロシア軍はいない」とする言説を「今週のトレンド」に加えた。

17日、欧州対外行動庁の創設した戦略的コミュニケーション作戦グループ「East Stratcom Task Force」の運営するプロジェクト「EUvs偽情報」が発表した。

発表には、「月曜日(14日)、親クレムリン・メディアは、『ロシアはウクライナの紛争の当事者ではない、なぜなら、そこでは内戦が起きているからである』と主張した。彼らは、ウクライナ『南東部』にロシア軍はこれまでも、現在もいない、と述べた。悲しいことだが、この言葉が真実となり得るのは、親クレムリン・メディアがタイムマシーンを開発し、それを大規模に使ってみた場合のみである」と書かれている。

さらに、EU専門家は、ウクライナが昨年のロシア発偽情報の主要な対象であったことを喚起しつつ、今年に入ってからも同国に対する偽情報攻撃が継続しそうだと指摘した。過去1週間だけで、ロシアのマスメディアは、ウクライナを同国東部ドンバス地方やケルチ海峡における「侵略者」として紹介するといった偽情報を流していたことが伝えられている。

また、ロシアのメディアがまた「ウクライナは破綻国家」という有名なロシア発の言説を流していたことも報告された。特に、「ウクライナがウラン不足で自国の原子力発電所を閉鎖しようとしている」、「ウクライナ外務省がオリガルヒ(大富豪)の利益を代弁しているとして非難されている」、「ウクライナは間もなく世界最大の負債を抱えることになる」といった言説が拡散されていたことが指摘された。報告には、「これらの言説が真実のように写るのは、クレムリン系メディアの中だけであろう。それ以外では、これらは、証拠なき断罪、として写っている」と強調した。

また、EU専門家達は、ロシア・メディアは、ウクライナ正教会に関する偽情報拡散も続けていると指摘する。偽情報は、ウクライナ正教会が独立のトモス(公布文書)を受け取ったことを「選挙前のトリック」であるとし、そのトモスは完全な本物ではないかもしれないとの疑問を投げかけていたとある。報告には、これらの偽情報の目的は、ウクライナ正教会統一プロセスを破綻させるとともに、ウクライナ大統領選挙の信頼失墜を狙ったものであろうと指摘されている。

また、同報告には、今週のロシア発偽情報がリトアニアに対しても攻撃していたとして、「ファシズム・スペシャル」と題する説明をしている。1月13日、リトアニアでは、1991年同日にソ連軍が殺害した国家の独立回復運動に参加した者14名を追悼する行事が開かれた。これにつき、ロシアのマスメディアは、この時亡くなった14名はリトアニア人自身の手で殺害されたと報じていたとのこと。加えて、ロシアのメディアが、ソ連占領政権と戦ったバルト諸国のパルチザン「森の兄弟」がリトアニアで称えられていることをもって、リトアニア全体を「ファシズム国家である」として断罪し、さらに、「森の兄弟」はナチスの共犯者であるだけでなく、テロリストでもあるとも報じられていたことが報告された。

なお、報告では、ロシアのメディアが「スターリン体制は、血塗られていたわけではなく、非常に人間味があった」と報じていたことを指摘しつつ、スターリン体制の行為により、ロシアでも2000万人近くの市民が亡くなったことを喚起している。

また、新しい偽情報言説として、新しい北マケドニア名称問題が報告されている。ロシアのマスメディアは、同国の名称が圧力によって変更されていると伝え、この圧力は「他国」からのもので、同国をNATOに無理やり入れようとしているのだと報じていたとのこと。そして、マケドニアでは新名称に対して「大規模抗議運動」が生じていると伝えていたと指摘された。

その上で、EU専門家は、マケドニアに関して「西側の操り人形」という表現を使って断罪する手法は、これまでにウクライナに関してロシアのマスメディアが何度も使ってきた表現の再来である、と説明した。


Let’s get started read our news at facebook messenger > > > Click here for subscribe

トピック

ウクルインフォルム

インターネット上の全ての掲載物の引用・使用に際しては、検索システムに対してオープンであり、ukrinform.jpの第一段落より上部へのハイパーリンクが義務付けてられています。また、外国報道機関の記事の翻訳を引用する場合は、ukrinform.jp及びその外国報道機関のウェブサイトにハイパーリンクを貼り付ける場合のみ可能です。「宣伝」のマークあるいは免責事項のある記事については、該当記事は1996年7月3日付第270/96-BPウクライナ法「宣伝」法第9条3項及び2023年3月31日付第2849ー9ウクライナ法「メディア」の該当部分に従った上で、合意/会計を根拠に掲載されています。

© 2015-2024 Ukrinform. All rights reserved.

Website design Studio Laconica

詳細検索詳細検索を隠す
期間別:
-