クリミア「裁判所」、ベキロフ氏の拘束を継続 弁護士は同氏の生命の危機を指摘
10日、市民団体「クリミアの連帯」がフェイスブック上で伝えた。
発表には、「(ベキロフ氏関連の)裁判が終わった。裁判所は、第一審の判決を変えなかった」と伝えられている。
同発表によれば、「裁判」審議の際、「検察」は、「医師の診断書がないため」、拘置所での拘束は合法的だとして、控訴内容に反対したとのこと。
一方で、ベキロフ氏の弁護を務めるイスリャム・ヴェリリャエフ氏は、ベキロフ氏の容態は生死の境にあると述べたと記されている。ヴェリリャエフ氏は、第一審時に診断結果等は提示していたが、裁判所が考慮しなかったと述べた。
また、弁護士は、ベキロフ氏がメメトフ氏を通じて11.5キロの火薬とマカロフ用9ミリ口径の弾薬等192個をクリミアに持ち込んだとする、「メメトフ氏の証言」なるものを否定し、障がいを有し、歩行補助機を使うベキロフ氏は物理的に計14キロの荷物を運べないと主張した。
弁護側は、本件に同氏の健康状態を示す診断書と居住証明書を加えることを要請したところ、検察は反対したが、裁判官はこれを認めたとのこと。
ベキロフ氏自身は、「裁判」時、自身が第一種障がいを抱えており、恒常的治療を要することを主張するとともに、拘置所にて体調が悪化しているとともに、足の傷が膿んできていると指摘した。また、ベキロフ氏は、20年間病を抱えており、彼に対する「有罪判決は、死刑に匹敵する」と述べた。
ラジン弁護士は、ベキロフ氏が毎日16種の投薬とガーゼの交換が必要であるが、拘置所には包帯すらないことを指摘し、「シンフェローポリの病院でベキロフ氏が診察を受けた際、医師は同氏の健康状態に驚き、親族に対して同氏の昏睡状態に陥るおそれを警告した」と述べた。
これまでの報道では、昨年12月12日、(へルソン州)チョンハルからクリミアへの入域の際、へルソン州ノヴォオレクシーウカ在住のウクライナ国民、クリミア・タタール人のエデム・ベキロフさんがロシア連邦保安庁(FSB)に拘束されていた。ベキロフさんはクリミアに暮らす78歳の母親と親族に会うためにクリミアを訪れるところだった。ベキロフさんは、第1グループの障がいを持っており、2018年1月には冠動脈バイパス手術をしており、その際、4か所の血管が繋がれたとのこと。拘束の際にベキロフさんが持っていた薬の入ったリュックサックが押収されており、以降ベキロフさんには適切な医療行為が与えられていない。
12月13日、被占領地クリミアの「裁判所」は、ベキロフさんを拘置所に2月11日まで逮捕する判決を下した。罪状は、14キログラムの弾薬や武器を保有・譲渡だと言い渡された。なお、「裁判」時には、ベキロフさんは2回にわたり体調が悪化し、救急車で病院に運ばれており、病院では血糖値と血圧の低下だと診断されている。
これまで、アメリカやEUがベキロフ氏の解放を要求している。1月10日にも、EUは、クリミア・タタール人活動家のエデム・ベキロフ氏の解放を要求した。