マレーシア航空機MH17撃墜裁判の運営面・財政面作業は主にオランダが担う

マレーシア航空機MH17撃墜裁判の運営面・財政面作業は主にオランダが担う

ウクルインフォルム
2014年7月17日のマレーシア航空機MH17の撃墜事件の刑事捜査の裁判における運営面や財政面の作業は、オランダが担うことになっている。

ウセヴォロド・チェンツォウ駐オランダ・ウクライナ大使が、ウクルインフォルムのハーグ特派員に伝えた。

チェンツォウ大使は、ウクライナ政府が最近、マレーシア航空機撃墜事件の捜査裁判への支出に関する各国政府間覚書案を支持したことに関しコメントし、「支出覚書への署名は、同航空機撃墜の罪人の刑事責任を負わせるメカニズムを形成する上での、最後のステップとなる」と指摘した。同覚書への署名は、チェンツォウ大使が権限を有しているとのこと。

同覚書の署名は、国際共同捜査チーム(JIT)に治安機関を派遣している5か国(オーストラリア、ベルギー、マレーシア、オランダ、ウクライナ)の代表により、1月末に行われる予定。

チェンツォウ大使はまた、2017年7月時点で、JIT参加5か国が、マレーシア航空機撃墜捜査の刑事責任追及をオランダの法体系の中で行うことで決定したことを喚起し、「そのため、基本的な運営面と財政面での作業は、オランダが担っていくことになる。同時に、裁判審議プロセスでは、本件の特殊性、国際性を考えると、追加的支出が必要となっていくのは明白である。例えば、証言者の保護や、被害者遺族の裁判プロセス参加、通訳・翻訳作業、追加的調査などで追加支出が必要になるであろう」と説明した。

そして、大使は、ウクライナはオランダに、2017年7月7日付二国間合意にのっとり、刑事捜査権を移譲済みであるが、他方で、オランダでの裁判時には、両国の治安機関や裁判所の間の集中的協力は行われていくし、それにも追加的なロジスティック面や財政面でのサポートが必要となっていくであろうと指摘した。

覚書は、本件捜査のための共同支出に関する合意に関しても記されているとのこと。また、今回の覚書は、2017年9月20日、第72回国連総会の際に上記5か国の外務大臣により署名された、MH17撃墜の罪人の刑事捜査への政治サポートについての相互理解に関する覚書を、発展させる形で作成されたものとなっている。

これまでの情報では、ウクライナ閣僚会議(内閣)が、マレーシア航空機MH17撃墜事件刑事捜査裁判への支出に関する政府間覚書案を採択していた(2018年12月27日に、政府ポータルサイトに掲載済み)。

マレーシア航空機MH17撃墜事件とは、2014年7月17日、ウクライナ東部ドンバス地方上空にて、アムステルダム発クアラルンプール行きのマレーシア航空機ボーイング777MH17便が撃墜され、乗客・乗員計298名が全員死亡した事件を指す。

2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させていた。

同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。

2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。


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