ヴァディム・チェルニシュ一時的被占領地域・国内避難民問題相
国家は、社会における、批判的思考の発展を促進すること、情報を確認し、分析する能力を与えることに責任を負っている
05.12.2018 15:37

2016年4月に一時的被占領地域・国内避難民問題省が設置されてから、同省には、ロシアからウクライナへのあらゆるハイブリッド脅威を分析する個別の部局が置かれている。ウクルインフォルムは、同省のチェルニシュ大臣に対し、ロシアの「トロール工場」の活動実態、なぜウクライナの専門家の中に親露的発言をする者がいるのか、偽情報という罠に引っかからないためにウクライナ国民は何をすべきなのか等といったことにつき、質問した。

チェルニシュ大臣、あなたの考えでは、何がクリミアとドンバスの占領をもたらしたと思いますか。私たちは、被占領地域に住む人々と情報面での繋がりを失ったのではないですか。

占領の始まる前、ロシア連邦はウクライナのあらゆる分野に影響を及ぼそうとしていました。それはクリミアとドンバスに限った話ではなく、ウクライナ全体がその影響下にあり、それは単なる「プロパガンダ」と呼べるものでありませんでした。特に、経済面の影響です。また、ロシア大統領が常に言い続けていた、「(ウクライナとロシアの)共通の文化」なる言説も同様の影響行使です。宗教や歴史を題材にしたマニピュレーションも行われていました。

もちろん、個別には、東部やクリミアに対する影響行使も行われていました。常に、例えば、「クリミアにおけるロシアの歴史」だとか、社会経済的なテーマ「ドンバス地方がウクライナ全土を食べさせてやっている」等の言説が拡散されていました。

占領開始以前のウクライナにも、もちろん問題はありました。しかし、その問題は、隣国の影響を受けて誇張され、小さなコミュニティから国家レベルに至るまでの、社会対立の要素にされていました。

ロシアは、以前から現在まで活動しています。その結果、私たちの社会は不安定になっています。議論という民主主義の利点が、問題解決のためではなく、対立へと変貌し、しばしば暴力のレベルに至ってしまうことすらあるのです。

影響を受けやすい状況というのは、ロシアが影響力を行使し、ウクライナ中枢の政治的立場を変え、社会に混沌と対立を撒き散らし、国家全体を占領しやすくするため、あるいは、何らかの「仲介者」にとって利用しやすくするために作られたものです。ここでいう「仲介者」とは、実際にはロシアの利益を代表しているけれど、あたかも独立した存在であるかのように自らを名乗る者のことです。

今日、ウクライナ政府コントロール地域においても影響は行使されていますか。

政治家の中には、ドンバスやクリミアと断絶し、忘れ去ってしまえば、すぐに楽になる、等と言う者がいますが、そのような考えは、現在ウクライナで起きていること全てに逆らうものです。ウクライナに対して行使されている影響は、小さくなっているのではなく、形を変えているだけです。確かに現在、軍事力がウクライナ全土に対して行使されるようなことはありません。しかしながら、覚えているでしょう、現在ロシアがコントロールする被占領下にいる「人物」達は、ハルキウやオデーサでも暴動を起こしていましたし、いくらかはキーウ(キエフ)市内でも「反マイダン」の中で暴動を起こしていました。

ロシア連邦は、感情的で政治的な復讐を求めており、その復讐を、何とか法的な手段で固めようとしているのです。

かつてソビエトという国があり、世界はその国に対して配慮をしていました。当時は、その国は世界の陸地の6分の1を支配していると言われてました。ロシアが理解するところの「復讐」が意味するのは、当時の状態を取り戻すこと、旧ソ連構成国に対する完全な影響を得ることです。そして、もう一つは、世界がロシアに対して再び「配慮」するようになることです。

ロシア大統領個人やロシアのエリートは、このようなシステムへ回帰することは「ソ連邦の継承国として当然の権利」だと考えています。彼らは、実質的に新たな帝国を希求しているのです。

そのため、私たちの理解では、ロシアの政治エリート達にとっては、彼らが真に欲していること、つまり、「ソ連が有していた立場」へ回帰することと比べれば、彼らにとってドンバスとクリミアは小さな物でしかない、ということになります。

テレビから頻繁に、「ウクライナ情勢の不安定化」といった言葉が聞こえてきます。それはどのように現れるものなのでしょうか。

不安定化とは、ロシアのプロパガンダ拡散主体が関わるところに出現します。その役割を担っているのは、ロシア国内にてCIS諸国やロシアの隣国の「面倒を見ている」様々な非政府機関や、半非政府機関です。これらの機関だけでも、数億ドルの資金が投入されています。

加えて、ロシアのメディアに割かれている資金もあります。また、国家予算内では確認できない資金もあります。それは、オリガルヒ(富豪)が出している資金であり、その支出先は、ウクライナで起きている情勢分析・評価や、「トロール工場」運営、ソーシャル・メディア上のキャンペーン、そして、民間の傭兵派遣企業への支払いにまで至ります。

あるオリガルヒがロシア現体制に近い、あるいは、現体制の一部を構成している場合、その人物は国家予算から何らかのサービスの対価として資金を受け取る権利を有しています。そして、このオリガルヒの所有する企業が国家予算から資金を得たら、それはもう「民間企業の資金」であり、国家財政の外に出たものであり、どんな活動、どんな影響行使キャンペーンにでも資金を投入することができてしまうのです。

そして、重要なのは、オリガルヒのそれぞれが、ロシア連邦からの義務の割り当てを受けており、彼らがそれを実行していることです。

大臣は、ソーシャル・メディア上でどのようなキャンペーンを見かけたことがありますか。

拡散と情報影響力という観点で言えば、RussiaToday,NTV,ロシア24は、全て普通の拡散機です。また、架空の専門家なるものも存在しており、彼らは一定のテレビ局で、ロシアのレトリックを復唱します。例えば、ウクライナは連邦化しなければならないとか、欧州路線を変えるべきだとか、ユーラシア路線に向かうべきだとかです。

彼らの基本命題は何ですか。

メッセージはこうです。「西側諸国との協力を止めて、完全にロシアとその周辺国側に方向転換すべきである」。

もし、ある番組で、誰かが直接的にそのようなことを発言したとても、そのような発言に対する信頼はかなり低いのではないでしょうか。

直接的に話されていますよ。少なくとも、2つのテレビ局では、ウクライナは連邦化すべきである、ということが言われているのを私は見かけました。

ウクライナの連邦化を呼びかけても、社会の多数派が拒否するでしょう。通常は、そういう発言はわかりにくい形で述べられているのではないですか?

そうですね。ほとんどの場合、このようなキャンペーンでは、事実と「目的のために必要な内容」を混ぜて、利用されています。

具体例を出しましょう。(ドネツィク州)スロヴヤンシク市において、ロシアの侵略が開始する直前、住民の間で、同市にはシェールガスが大量に埋蔵されているといった情報が様々な手段で拡散されました。同市とその周辺の住民の間では、同市が「第二のアラブ首長国連邦」になれるのではという議論が起こりました。これを背景に、住民達に対し、分離主義的感情があおられ、独自「共和国」設立の機運を刺激したのです。

シェールガスが同市にあるという情報が事実であったか否か。そして、それがどの程度あるか。そのガスをどうするか。それを調べる必要はないでしょう。

大臣、あなたはある演説の中で、ウクライナには、いわゆる「反射的コントロール・システム」が作用していると発言したことがありますね。それはどのようなシステムですか?

反射的コントロール・システムというのは、ソ連時代に開発されたもので、意図する者が影響を行使した際に、落胆や、不満といった否定的感情を起こしやすくするものです。情報空間では、目的の集団の間に前述のような感情を呼び起こさせるために、事実と偽情報を混ぜたメッセージが生み出されています。このメッセージは、非公開資金によりコントロールされ、広められていきます。資金投入は、誰が資金拠出者なのかわからないようにして行われます。

このメッセージは、ソーシャルメディアやテレビ空間に広まっていき、国民に影響を与えていきます。そして、生じた不満を背景に、民主的な国では、国民が政府の方向性の変更や、政府自体の交代を求めていきます。もちろん、ソーシャル・メディアを通じてその不満は人工的に拡大されます。

現在、このような手法は、ウクライナ社会全体に用いられていますし、私たちは、占領の始まる前、現在の被占領地でも同様の手法を観察していました。

被占領地では、このシステムは、ロシア国内システムと同じように作動しています。私達のいる、ウクライナ政府コントロール地域では、幸運なことに、別のメディアがあり、その大半が民主的基盤のもとで運営されています。それは、いわゆる「オリガルヒ系メディア」ですらそうです。(政府コントロール地域では、)ジャーナリズム、編集者、テレビ・スタジオ、これらは、ロシアや被占領地とは全く異なる活動をしています。

ウクライナのメディアには、代替があるということです。ただし、インターネット空間やソーシャル・メディアに関して言えば、(従来型メディアよりネット空間の方が)ロシアのトロールにとって若干「自由」でしょうが。

「トロール工場」についてです。政治家がしばしば注意を向けるこの「工場」は、実際にはどのように活動しているのでしょうか。

3種類のメッセージについて説明しましょう。一つ目は、ロシアとの結びつきが明らかなものです。これらは、ロシア外務省の公式サイトにリンクを張っていたり、公式発表を用いているものです。これは、ロシア政府の公式立場です。

二つ目は、「半公式」と言えるものです。これは、ロシア国家院副議長であったり、議員であったりが、アゾフ海の情勢にコメントしたりするようなメッセージです。私たちは、それも、ロシア政府の立場を「伝えている」ことを知っていますが、それはその場面では「公式」と呼べないものです。もちろん、これらの発言内容は調整されているのですが、常に「いや、公式ではない」と言えるようにしてあるものです。

三つ目は、秘密のルートを通じて拡散され、ロシア政府からの発信かどうかを証明できないものです。例えば、アメリカ合衆国で警察による暴力事件があったとします。殴られた者の一人が、黒人だったとします。実際には、警察が権限を乱用し、肌の色とは無関係に、アメリカ国民を殴った、という出来事なのですが、しかし、こういう場合、すぐにロシアのトロールが動き出し、「これは人種差別的犯罪である」といったメッセージを拡散し始めるのです。警察の権限乱用が、人種的サブコンテクストを加味された上で伝えられるのです。

シリアで化学兵器が使用された時、ロシア・トロールはその活動レベルを通常の何十倍にも上げて、実際に起きたことを歪めて伝えようと試みていました。

ウクライナでも、この手法が使われており、私たちは当省から、類似の出来事を確認しています。例えば、小さな自治体で、反テロ作戦で亡くなった兵士の記念パネルが汚された時、地方自治体は2時間後にはこのパネルをきれいに元の状態に戻したのですが、ロシアのマスメディアにこのテーマが現れると、何万人もが閲覧し、それがウクライナのソーシャル・メディア側にも伝わっていくのです。

パネルを汚すためにかかったお金は、ペンキ一缶分に過ぎません。夜中に、小さな町で、ペンキをかけるなんて造作もないことです。しかし、ソーシャル・メディアで、「ウクライナでこんなことが起きている」と、しかも、「見てみなよ、ウクライナ人は東部で国を守った人達にこんなことするんだぞ」といったほのめかしを含めた上で何十万回も拡散されるのです。このような例を、私はいくらでも挙げることができます。

しかし、このような「トロール工場」には、何百人も座っているわけでなければ、皆が同時にクリックするわけでもないですよね?

人によっては、人々が軍服を着て一列になってある建物に入っていき、コンピューターの前に命令を受けて座り、インターネットでの活動を始めるというようなものを想像するかもしれませんが、実際はそんな原始的なものではありません。

ここで登場するのが、またもオリガルヒ(富豪)です。トロール工場は、主に、産業、言うなれば、犯罪集団からの資金で成り立っています。そして、その活動は非常に幅広く、ネット上の政治的迫害行為から、影響力拡散キャンペーンまで行います。

そして、作業をするのは、高い給料を受け取る民間人であり、あたかも政府の人間は関係ないかのように活動しているのです。

大臣の言うとおり、ロシアがウクライナに対して影響行使モデルを非常に積極的に用いているとして、その場合、どのように対抗すべきなのでしょうか。

私たちは、非常に多くのことを社会と協力して行うべきです。これは国家だけの課題ではありません。社会は、国家のレベルだけでなく、日常コミュニケーションやソーシャル・メディアでの議論のレベルでリスクがあるということを認識しなければなりません。

例えば、ある情報があり、あなたがその情報の真偽を確認できていないとしたら、それを拡散してはいけません。特に、それがウクライナの評判を決定的に落とすものである場合はなおさらです。様々な視点から、なぜそのような情報が存在するのかにつき、関心を抱くべきです。

批判的思考…

そうです。批判的思考は、社会そのものの防護に関わるものです。そのような思考法の発展を促進すること、情報を確認し、分析する能力を与えることにこそ、国家は責任を負っています。

私たちには、多くのすばらしいイニシアティブがありますし、ビジネス界も、ネットワークから意図的に作り出された偽情報を排除するべく、自発的に独自の努力をしています。私たちが、このような活動をウクライナ保安庁(SBU)だけの課題だと考えているとすれば、それは全くの誤りです。

私たちは国家の中で活動し、ロシアは私たちを不安定化させるために国家の外で活動している、とも言えます。

私たちは、またソーシャル・メディア上のロシア人が利用する空間に積極的な影響を及ぼすことはしていません。仮に私たちが、ロシア国内に一定のアクションを起こすよう、真実の情報を拡散できるようになれば、ロシアの社会の半分に衝撃をもたらすことができるでしょう。しかし、今はこれは私の夢でしかありません。

ロシアでは、野党勢力のアカウントが削除されたり、別の考えを述べるものは非難されたりします。同国では、ロシア国内で起きていることについて真実を議論することや、ロシア首脳陣が何を欲しているかについて話すことは受け入れられていません。

複数の国で、選挙実施後に、ロシアがハッカー攻撃を行い、投票結果に影響を与えようとしたという発言が出ていました。ウクライナも選挙を前にしています。どのようなことが起こりうるか予想ができますか。

できます。サイバー空間というのは、情報キャンペーンを行う場所だけではありません。ロシア連邦は、常に情報を集めており、ハッカーはメールボックスを破壊したりしています。

選挙に関しては、ロシアは、鍵となる政治プレイヤー全ての情報、とりわけ選挙に出馬する可能性のある人物の情報を意図的に集めており、後になってから、どのタイミングでその情報を公開して影響力を行使するかを決めます。その情報が1年前のものであっても問題ありません。そして、その後、その情報をしっかりとまとめて、適切なサイト、あるいはマスメディアやソーシャル・メディアを通じて拡散していくのです。DCleaklsやKoмпромат.leaksのようなウェブ・リソースが存在しており、現職幹部の破壊されたメールボックスから得られたとする情報データベースが掲載されています。今後、誰の情報がそこに掲載されるかはわかりません。

そしてまたしても、その情報を見た者に、書いてあること全てを真実だと信じさせるために、この情報が「混ぜ物」となっている可能性もあるのです。こういうものは、実際には、事実と嘘の上手な混合物であったりするのです。

キャンペーン最中、どのようにこのようなサイトが利用されるのかは、誰にもわかりません。必要なタイミングで、これら情報が適当な形で流れ出ていくのです。そして、ロシアの主な目的は、「全員対全員」の戦争をウクライナ社会で起こすことであり、ロシアにとって最も邪魔な人物を弱体化させたり、政治プレイヤーを脅迫したりすることです。

「全員対全員」の戦争が生じると、その全員に関してロシアがインターネットに不利益な情報を拡散し、ネットワーク上で皆がそれについて議論し、当選者に対して疑念が沸くような試みが行われ、「あなたは勝利していない」、「当選者は選挙キャンペーン中に犯罪を行った」、といった数多くの国民が信じかねない「伝説」を投げかけるのです。その結果、国民の一部が、誰が勝ったとしても、その合法性に疑念を持つことになるのです。

現在では、情報面だけでなく、国家有権者登録を管理する機器への物理的脅威も存在しています。ご存知のとおり、各投票所の有権者リストは、有権者登録から形成されます。考えてみてください、機械的に、投票所に来る人一人一人の誕生日が変更される事態を。一人ずつ2年なり1年たり誕生年を足されたり、月日を変えられたりすることを。あなたが身分証明書を持って投票所に来ても、誕生日だけ情報が合致しない。そうすると、投票所の選挙委員会の人は、あなたの投票を認められなくなるのです。

選挙のための物理インフラも、外部干渉から然るべき形で保護されなければなりません。

国家が100%やらなければならないことは何でしょうか。

防衛です。強調しますが、インフラは守られなければなりません。多くの治安機関代表が述べていますが、選挙プロセスは確保されなければなりません。私たちは、リスクを認識しなければなりませんし、国家警護隊、警察、SBUが物理的に存在するだけでは解決できない、サイバー空間で生じることについても、話しておく必要があります。

メディア関係者にどのように行動すべきかと説明することは、検閲に関わるのではないですか?

私たちは、検閲はできません。それは正しくないし、民主的でありません。しかし、この分野で働く人に対して、説明することはできますし、この分野で働く人は非常に多いです。ジャーナリスト、メディアの所有者、活動家、市民社会代表者等です。今日、メディア・リテラシーなるものについて話すことは普通となりました。しかしながら、私は、少し別の文脈でリテラシーについて述べたい。脅威についてです。

勧告はあります。作成済みですし、具体的にメカニズムについて記載されています。いわゆる偽情報をどう扱うか、人権・自由の保護と国家安全保障のラインを踏み越えないためにはどうするか。国家の安全を守ると言いつつ物理的暴力に至らないためには、どうするか、等です。

現在、物理的暴力を伴う事態は、すぐさま拾われ、ロシアのメディアにより、世界中に拡散されます。ウクライナ社会における全ての問題は、ロシアによりフォローされているのです。

最近、貴省は、ウェブサイトに対するハッカー攻撃に対する不満を伝えています。

フェイスブックを例にしましょう。ルハンシク州の私たちの省のトップがおり、彼が私たちの公式サイトから、政府による特定の人、市民・政治活動家への支援提供の情報を発信したとします。そんな時に、フェイスブック運営者により、そのメッセージが凍結され「この発表は、コミュニティの規範に違反していることが判明しました」という警告を受けるのです。一体どんな規範でしょう。想像できますか?

なお、欧州議会議員がポロシェンコ大統領と会談する際に、ウクライナにフェイスブックのオフィスを開設すべきと強調したのは偶然のことではありません。

批判的思考を発展させるという考えを客観的に推進することは可能ですか?どのようにフェイクや偽情報を認識すればいいのでしょうか。特に、現在選挙前であることも考慮する必要があります。

第一に、一般ユーザーのための利用心得、のような、一つ一つ問題を説明する文書のようなものを広める必要があります。

第二に、国家のレベルで、明らかに偽情報の発信源となっていることが判明しているものに関する議論を行わなければなりません。そのような情報源の一部は、私たちはアクセスをブロックしています。しかし、クリミアやドンバスには、あちら側がブロックしていて閲覧不可能となっているウクライナ発情報発信源もあります。私たちは、民主的国家としては、全てを単純にブロックしてしまうことはできません。

そのため、責任問題に戻りますが、私たちは、発展した民主的な社会に暮らしたいと考えている以上は、明日どこかから情報が入った場合、その発信源を信頼の得ないリストから調べ出すことが必要である、と私たちは言わねばなりません。

バルト諸国にも類似のメカニズムがあります。国民の数は多くないですが、非常に多くのやる気のある市民がおり、彼らが悪意のある情報源の摘発に加わっています。彼らが、自らの個人的な努力でもって、信頼できない情報の拡散を防いでいるのです。

例えば、もしあなたが、一人でニュースを見ていて、信頼できない発信源にたどり着いたとして、あなたはそれを専門のサイトに投稿します。そうすると、その情報源は、適切なリストに掲載されるのです。

類似のアプローチとしては、制裁があります。もしあなたが制裁に反する形で、被占領下のクリミアを訪問したとします。あなたが国際的な輸送業者であったり船舶保有者であったりした場合、私たちは、あなたの名前を公開し、それにより誰もあなたとビジネスができなくなるようにします。このようなアプローチは、世界では「name and shame」と呼ばれ知られています。

被占領地域省は、政府のコントロールの及ばない地域の住民と連絡を維持していますか。

私たちは、インフラの再生に努力していますし、新しいレベルでの情報発信を進めており、進展はあります。

強力な発信源なのは、引き続きソーシャル・メディアです。また、ウクライナ東部では、コンタクト・ラインが1年間で1100万回横断されています。人々は、(政府)コントロール地域に来て、近親者や、物売り、銀行従業員、公務員、郵便局員と対話しています。そして、これらの場所すべてが、一定の情報を提供する場所として利用されています。

情報空間が閉鎖されており、被占領地域での情報発信が制限されているのであれば、私たちは、政府コントロール地域において利用可能なことを全て利用するだけです。

大臣の考えでは、(一時的被占領下の)領土が解放された後、住民の信頼が回復するまで、どれぐらいの時間が必要だと思いますか。

それは、誰がそれに従事するかによって左右されるでしょう。解放された地で仕事をする人は、国政を知り、それを実現できるものでなければなりません。

私たちは、キーウ工科大学にて関連の専門家の育成をしています。同大学では「紛争解決とメディア」という修士課程プログラムが始まっています。また、私たちは、複数の大学と提携を結んでおり、これらの大学では、類似の専門家の育成、あるいは、学生のための関連教育モジュールが始まります。

現在、多くの政治家が、インフラについて話をしています。道路や、橋を復旧させなければいけないと。しかしながら、例えば、サラエボには、「スナイパー通り」と名付けられていた道があり、その道を通らなければ行けない場所があるために毎日人が通り、彼らが銃撃され、殺されていた場所があるんですが、現在その場所に、戦争の跡は見当たりません。

つまり、インフラは、数年で復旧できたのです。教会、モスク、インフラ、自動車、路面電車、水道管、電力網も復旧されています。その国を始めて訪れた人は、そこで戦争があったなどと想像できないでしょう。

しかし、そこを訪れた際、そこに暮らす人々と対話をすると、戦争が残した傷跡は、一人一人の心の中に残っており、誰にも癒すことが出来ないということを、知ることになります。恐ろしい出来事の記憶は、どこにも消えようがありません。人々の意識は、現在でも25年前に起きた出来事の影響下にあるのです。

最も困難なのは、多くの人が考えるようなインフラの復旧でも経済の復興でもない、ということです。これについては、私たちは外国の経験を利用します。紛争を生き延びた人々の魂の傷を癒すのは、非常に難しい仕事になると思っています。

オレクサンドラ・ジャルコヴァ、キーウ

写真:ミンチェンコ・ヘンナジー

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