ヴォルカー米国特別代表からロシアへの、「真の外交」のレッスン

ヴォルカー米国特別代表からロシアへの、「真の外交」のレッスン

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Ukrinform
ヴォルカー・アメリカ国務省ウクライナ問題担当特別代表は、ロシアの「モスクワのこだま」の多くの視聴者に対して、ドンバス地方情勢を説明する際にロシアをはっきりと占領国、侵略国、うそつきと呼んだ。

カート・ヴォルカー・アメリカ国務省ウクライナ問題担当特別代表は、好んでひんぱんに記者と対話をする。インタビューの多さは驚くに値しない。先日(編集注:9月24日)は、例えば、ロシアのラジオ「モスクワのこだま」の編集長アレクセイ・ヴェネジクトフとヴォルカー特別代表の対話が掲載された。ただ、ここには小さな驚きがある。ウクライナ、ドイツ、アメリカのマスメディアがヴォルカー特別代表の言葉を伝えることはあるが、ロシアのマスメディアが報じるとなると、話はまったくもって別である。ロシアのテレビ局「ドーシチ(雨)」がヴォルカー特別代表からインタビューを得たことがあったが、はっきり言って、ドーシチは視聴者の多いテレビではない。しかし、「こだま」の視聴者は、非常に多い。

ロシア・クレムリン内の誰が、どうして、「モスクワのこだま」に対して、「ロシア嫌い」発言者のカート・ヴォルカー特別代表を出演させる許可を与えたのかは、考えないでおこう。もしかしたら、ヴェネジクトフ編集長の自発的な行動だったのかもしれない。何であれ、今回の例外をクレムリンの政策における何らかの変化の証と見るべきではなかろう。そう考えるための十分な根拠はない。

重要なのは別の点である。ミンスク諸合意履行の米露間協議に直接関わるアメリカ外交官のヴォルカー特別代表は、ロシアの多くの視聴者に対して、ドンバス情勢をかなり詳細に説明し、直接かつ一義的に、ロシアを占領国、侵略国、うそつき国家と呼んだ。これはまったく予想できたことである。簡単に言えば、ロシアを、5年間続く、数百万の人々に被害のおよんでいる悲劇の唯一かつ無条件の罪人であるとし、この悲劇が終わらない理由として、ロシアがそれを望んでいないからだと説明したのである。

ヴェネジクトフ編集長は、もちろん、ヴォルカー特別代表の発言を否定しようとしたが、うまくいかなかった。編集長が、会話が「外交的」に進むことを期待していたのは明白であった。つまり、同編集長は、自身とヴォルカー氏がほのめかしながら話をし、激しい見解の対立を避けつつ、言葉と比喩で綱渡りをして、そして、意見が食い違う時でもいくらかの同意を示し、相手にとって明らかに不快な話題については沈黙することを期待していたのである。どうやら同編集長は、真の外交官はそうであるべきで、外交倫理がそう求めていると考えていたようである。

しかしながら、ヴォルカー特別代表は、最初から断固としてそのようなインタビューを拒んだ。同特別代表は、ヴェネジクトフ編集長が口にするロシアのプロパガンダ的発言に対して、簡単に「そうではありません」、「そうは思いません」、「全てまったく反対です」、「あなたの意見は正しくありません」と回答した。ヴォルカー特別代表は、ウクライナ東部ドンバス地方にロシア軍が存在することについてや、(ロシアに拘束されるウクライナ人映画監督)センツォフ氏について、ウクライナ正教会の独立付与問題や、マレーシア航空機MH17撃墜問題の話題に関して、そのように話したのである。ヴォルカー特別代表が、このように自分の考えに沿って物事を述べる以上、双方の意見が等価値となることはありえなかった。そして、最終的には、ヴェネジクトフ編集長がしびれを切らし、このように指摘した。「あなたは、直接的な言い方をしますね。それは外交とは言えないでしょう。」その時、ヴォルカー特別代表は、同編集長にこう返したのである。「あなたの意見は正しくありません。外交とは、戦闘の代わりに行う対話なのです。あなたが皆にとって意味のある決定を見つけようと思っているなら、あなたはそのことについて正直かつ明確に話すべきなのです」。

例えば、ヴェネジクトフ編集長がウクライナ正教会への独立付与について質問した際に、同編集長がウクライナ正教会キーウ(キエフ)聖庁のフィラレート総主教とのやり取りを曲解して伝えて、その問題の政治的性格を強調しようとした場面があった(同編集長は、「私とフィラレート総主教は、この問題が政治的問題で、宗教的問題でないことに同意しました」と述べた)。同編集長が、ヴォルカー特別代表の口を滑らせ、この問題が政治的意図で進められている、と彼に言わせたがっていたのは明白であった。しかし、ヴォルカー特別代表は、簡潔かつ非常に明確に、こう答えたのである。「私は、この問題が政治的なものとしてみなされていると考えています。その理由は、ロシアが本件を政治的な問題にしたがっているからです。なぜなら、ロシアは、ウクライナが独立した教会を得ることを望んでいないからです。それはロシアの側から生じている非常に政治的な決定なのです」と。

ところで、非常に興味深いことに、ヴェネジクトフ編集長は、この独立付与問題が政治的である限り、この話題がヴォルカー特別代表とスルコフ・ロシア大統領補佐官の議題となることは「100%」間違いなかろうと発言していた。彼の発言からわかることは、ロシア側には、アメリカに対してこの問題を提起し、アメリカを通じてこの独立付与プロセスの停止を試みる意図があるということである。もちろん、ロシア側には、アメリカがこのプロセス停止に同意するなら、何らかの妥協をする用意があるということであろう。つまり、ヴェネジクトフ編集長は、実質的に、アメリカにこの件でロシアと交渉する用意があるかどうかについて、ヴォルカー特別代表の反応を試したのである。その時、ヴォルカー特別代表は、こう答えた。「私は、本件がスルコフ氏との協議の議題になるとは思いません。なぜなら、私たちは、本件に何の関係も有していないからです」。

まとめると、こうである。ヴォルカー特別代表は、ヴェネジクトフ編集長と「こだま」の多くの視聴者・読者に対して、重要なことは正直かつはっきりと話さなければならないということを伝えるための、レッスンを行ったのである。彼らがこのレッスンをモノにできることは考えにくい(ましてや、クレムリンにはなおさらであろう)。同時に、ロシアのプロパガンダが、自らの利益にかなう形でこのインタビューを利用すること(反対の意味に解釈できるような引用をしたりすること)は、不可能である。ヴォルカーは、そのような可能性を与えることはなかったのである。

ユーリー・サンドゥル、キーウ


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