ポロシェンコ大統領の国連総会演説要旨

ポロシェンコ大統領の国連総会演説要旨

ウクルインフォルム
26日、ペトロ・ポロシェンコ・ウクライナ大統領は、第72回国際連合(国連)総会で演説を行った。同演説の要旨は以下のとおり。

ロシアの侵略

モスクワは、ウクライナの子ども達を孤児にし、ウクライナ人愛国者を拷問している。150万人以上の国民が国内避難民(IDP)となった。ロシアは、ウクライナの地を毒し、環境災害を引き起こしている。それは被占領下のクリミアだけでなく、ドンバス地方においても同じである。

過去4年の間、ウクライナ国民にとっては、ロシアの侵略は日々の現実である。何千の人が亡くなり、破壊、避難、苦難をもたらした。ウクライナは、民主的価値とルールの上に作られる自由な世界へ向かうという主権的決定を下した。ロシアは、それに対して、ウクライナを罰し、殺害し、建物を破壊しているのである。

ロシアは、ウクライナやジョージア(グルジア)が自分で自分を攻撃しているかのように説明する。ロシアの隣国のうち、次はどの国が『自分で自分を攻撃』する国となるのであろうか。世界は、これからも、『私は次ではないだろう』と期待しながら、『心地よい睡眠』を続けるのであろうか。

私たちは、ウクライナの大地と私達の自由な選択を防衛している。私たちは、復活しつつあり、世界を新たに分割したがっている新帝国主義的国家と対峙している。つまり、私たちは自由世界を防衛しているのである。国連憲章と国際法原則が定めた価値と原則が、拒否権を持つ国により違反されている中、国連は沈黙してはならない。これは単なる挑戦なのではなく、私たちが国連を全ての人に役に立つ機関へと変化させるチャンスなのである。

クリミア

ロシアがクリミアとセヴァストーポリ市の併合の試みを行い、占領してから、約4年が経過した。クリミアは、ロシアによる被占領下で軍事基地へと変貌し、黒海地域全域の安全と安定に脅威をもたらしている。ロシアの侵略政策は、致死性武器の使用と並び、脅威を高めている。私達は、クリミアの軍事化が進んでいることは細心の注意を向けるべきで、国連総会が緊急の対応をとるべきものだと確信している。まさにそのために、ウクライナは、今回総会会期中、関連決議に対する皆さんの積極的支持を期待しているのである。

ドンバス地方への国連平和ミッションの展開

ウクライナは、国連事務総長のコンセプト『平和維持の行動』にもとづく国連平和維持活動へのアプローチを完全に共有する。これは、国連加盟国と国連幹部、が国連平和維持活動に真の変化をもたらすことを目的とする方策である。ウクライナは、2015年4月には、国連に対して平和維持ミッションの展開を要請している。国連は対ウクライナの侵略を予防することができなかったが、それ以降も、私たちはまだ国連による国連多国籍平和ミッションの被占領下ドンバス地方への展開を通じた紛争解決支援を期待している。ウクライナに平和を回復するためには、この平和ミッションが強力な権限と幅広い責任を持たなければならない。紛争を凍結したり、侵略国や同国傀儡者のプレゼンスを強化したりするミッションであってはいけない。ウクライナは、この重要問題の解決に進展があることを真剣に期待している。

ロシア拘束の政治囚

今日、被占領下のクリミア半島においては、ウクライナ人あるいはクリミア・タタール人でいること自体が刑事犯罪とみなされるようである。クリミア農家のヴォロディーミル・バルフは、ウクライナ国旗を自宅に掲げたことで逮捕され、5年の拘禁刑が言い渡された。クリミア映画監督のオレフ・センツォフは、ロシア北部の収容所で拘束され、でっち上げの断罪により、20年の拘禁刑が言い渡されている。オレフもヴォロディーミルも、抗議のためにハンガーストライキを行っており、現在二人とも生死の境にいる。私は、彼らを解放しようとする全世界の支持と団結を高く評価している。残念ながら、クレムリンは、国際社会の呼びかけに無関心であり続けている。私は、国連加盟国に対して、国連総会の関連決議採択を通じて、一時的被占領下クリミアで人権状況が尊重されるよう、より多くの努力を行うよう呼びかける。

加えて、2014年のロシア侵略開始から、ドンバスにおいても何十人のウクライナ人が拘束されている。その中には、3.5年間捕虜となり、自らの娘に一度も会えていないウクライナ兵、セルヒー・フロンダルも含まれる。ロシアは、拘束者交換のウクライナ側提案を無視し続けている。

国際司法裁判所命令

2017年初頭、国際司法裁判所(ICJ)は、ロシアに対して、クリミア・タタール民族代表機関「メジュリス」の被占領下クリミアにおける活動禁止を解除するように命じた。しかしながら、ロシアは、この決定を無視し続けている。自らの国際義務を無視しているだけでなく、ICJ自体を軽視しているのである。

2014年のマレーシア航空機MH17撃墜、そしてこの悲劇へのロシアの関与という、もう一つの重要な要素が、国際裁判所で審議される。重要なのは、最近、この犯罪に関し、ロシアに責任を負わせようとするウクライナの努力にオーストラリアとオランダが加わったことである。国際社会は、今一度、ロシアに対して、自らの責任を認め、ウクライナや他の地で破壊的行動を止めるよう呼びかけている。私たちは、司法的手段は最も時間がかかる手段だということを知っている。しかし、私たちは、最終的には、司法的手段が私達に正義を与えることになるだと確信している。

アゾフ海問題

然るべき罰が下されなかったがために、ジョージアの次にウクライナが、リトヴィネンコの次にスクリパリ親子が、アレッポの次にイドリブが攻撃される事態を招いたのである。ロシアは、現在地で止まるつもりはない。クリミアの占領の後には、彼らはアゾフ海を占領対象としている。ロシアは、違法にケルチ海峡に橋を建設することで、国際航海の自由を害している。海洋法に関する国際連合条約違反を含め、この著しい違法行為は、止められなければならない。彼らは、制裁強化や他の方策を含め、断固とした対応を受けなければならない。

ホロドモール(人為的大規模飢餓)

本年11月、私たちは、20世紀最大の犯罪の一つである「ホロドモール」、あるいは、スターリン体制によりウクライナにて人為的に計画された飢餓を原因とする大量死、から85年の経過を迎える。この悲劇は、数百万のウクライナ人の命を奪った。私は、国連総会に対し、人類史上最大の悲劇の一つであるこの事件を、関連宣言を採択することで、省みるようもう一度呼びかける。

そして、今日、8億5000万の人々が飢餓状態にある。ウクライナは、この問題を脇に置き去ることはできない。世界の食料安全保障問題解決に向けた支援を提案する準備がある。ウクライナは、他のどの国よりも、飢餓という悲劇の代償を知っているのである。

国連改革

私たちは、国連安全保障理事会(安保理)の改革が進展することは国連の広範な改革における重要な貢献となると考えている。この文脈で、私たちは、関連文書の文言を調整するための政府間協議を開始することを支持している。この改革により、平和維持分野において、新たな脅威に対する国連の潜在力と迅速性を高めることになることを期待している。


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