世界の3つの出来事:クルツ墺首相訪問、印刷された感情、未来を模索するメルケルとマクロン
オーストリア首相は、現代世界の最も若い首脳の一人というだけではなく、2018年下半期はEUの議長を担う国を率いる人物である。セバスチャン・クルツ首相がキーウを訪問し、ウクライナ首脳陣の論拠を聞き、ヴィタリー・クリチコ・キーウ市長と首都を観光したのは良いことである。ところで、クルツ首相は、2017年1月、OSCE議長としてドンバス地方を訪問している。ウクライナ東部情勢は、その時から大きな変化はない。クルツ首相は、キーウ訪問後、ロシアとの対話を支持すると述べ(それ自体驚くことではない)、しかしながら、ロシアのドンバスでの行為は対応を要するものだとも述べた。なお、これは、欧州連合(EU)の首脳達が本年年末に組み立てる「対露制裁継続」パズルの一要素でしかない。
ドナルド・トランプ・アメリカ大統領は、印刷された言葉達により不運をこうむっている。ボブ・ウッドワード氏(ウォーターゲート事件に直接関わったジャーナリスト)の新しい本「恐れ(Fear)」の発売予定は9月11日だとしても、ニューヨークタイムズ紙での匿名記事の発表は、世界で最も強力な国の大統領にとって、痛みをともなう「魚の目」となった。大西洋の向こうで、ウクライナよりもはるかに高いレベルの中間選挙と政治競争が近づいていることを、忘れないようにしよう。そして、アメリカ政権は、近いうちに、シリアのイドリブの状況に対応しなければならない。そこでは、ロシアとイランが、自らのゲームのルールを押し付けようと試みている。
ゲームのルールとEUの展望について、マルセイユで、フランスとドイツの首脳が話し合った。エマニュエル・マクロン・フランス大統領とアンゲラ・メルケル・ドイツ首相は、集中的に連絡し合うことを支持したが、しかし、EUでもっとも強力な国の首脳は、Brexitや新たな難民の波に対応せねばならず、そして、ドイツとフランスは「ノルマンディ・フォーマット」参加国であり、ドンバス地方の扮装解決への対応も必要である。この一連の問題は、欧州議会選挙が近づく中で存在している。そして、この選挙は、ヨーロッパの政治情勢に変化をもたらしかねないのである。
イェウヘン・マフダ国際政治研究所所長