セルヒー・キスリツァ外務次官
私たちの前には、司法的・外交的道が伸びている。これは、毎日の仕事の積み重ねである
05.09.2018 10:01 189

セルヒー・キスリツァ外務次官による雑誌「クリムインフォルム」へのインタビュー。

ウクライナは、国際レベルで、クリミア解放のためにどのような努力をしていますか。

最も重要で体系的な決定は、国連総会が2014年3月27日に採択した決定です。これは、ウクライナの領土一体性を国際法と国際社会の認める国境において確認したものです。この決定は、クリミアにとってのみならず、ウクライナ東部にとっても指針となるものです。国際連合(国連)総会のレベルでの私たちの日々の作業の結果、クリミアに関する決議が2本、2016年と2017年に採択されました。これら決議は、国連の運営機構レベルにおいて、クリミアに関してロシアに占領国家の地位を適用したことから、重要な意味を持つ決議です。これは、ロシアに対し、人道上の権利の遵守を要求することができることを意味します。他には、ロシアがクリミアにおいてウクライナ国内法を運用せねばならないことも意味しています。

私たちの作業は、その他の国際機関でも行われています。欧州安全保障協力機構(OSCE)のバクー宣言やその他の文書では、ロシアはクリミアを占領したことで、OSCEの基本的原則を例外なく全て違反したことが認められました。欧州評議会外相委員会や同議員総会(PACE)では、2014年以降、クリミア占領に関連する決定が複数採択されていますし、ジュネーブでは、国際連合人権理事会をはじめ、複数の決議が採択されています。ユネスコでは、クリミアへの直接監視の実施に関する決定が採択されました。ユネスコは、クリミアをウクライナ領と見ています。

しかし、今日の問題は、これらの国際機関が複数の決定を下しているにもかかわらず、ロシアはこれらを軽視していることです。しかも、ロシアは国際連合安全保障理事会(国連安保理)の一国として、これらを軽視しているのです。国連安保理は、国連憲章によれば、世界の平和と安全を支える基本的責任を担うことになっています。私は、これら決定をロシアが履行しないことは、ロシア・ウクライナ紛争の観点にとって弊害なだけでなく、第二次世界大戦後に生み出された国際システム全体にとって問題だということを、あえて述べます。

ロシアが無視するのであれば、これら決議にどのような意味があるのですか。

第一に、私たちが抱えている状況は、今日、明日に解決するようなものではありません。この状況は、毎日の積み重ねによる作業を擁しており、これらは頻繁に宣伝できるような鮮烈な性格を帯びるものではありません。しかし、この作業なしでは、ハーグ(編集注:国際司法裁判所)において、ウクライナの立場を立証することは極めて困難となるでしょう。国連総会やその他の国際機関の主要機関の決定は、司法面から見た総合的立場の一部であり、ウクライナが裁判で立場を組み上げるにあたって、部分的にそれを支える柱となるものなのです。

環境問題をとってもそうです。占領者がどのような環境問題を引き起こしたか想像してみてください。現地でどのように採鉱が行われているか、コントロールのないまま、いかに沿岸地域が破壊されていっているか、などです。ドイツ民主共和国(東ドイツ)が統一ドイツに戻った時、環境問題の解決に何十億支出することになったか思い出してみてください。ウクライナの被占領地域に関しても、似たようなプロセスをとらなければならないでしょう。しかし、前述の決定は、クリミアやその他の地域の復興のために占領者から補償を受けるための、私たちの訴訟の一部となるのです。

また、クリミア問題は、あらゆる国際行事において扱われています。例えば、国際電気通信連合。電話通信や衛星通信等について議論をする時、クリミアはどの国に属していると見るべきでしょうか。このような時、国連総会の決議は、非常に重要なのです。あらゆる機関にとって、国連の決定は最重要です。これら決定において、ロシアは占領国と定義されているのです。

ウクライナは、国連安保理非常任理事国の時(編集注:2016〜2017年)、何を成し遂げましたか。

私たちは、国連安保理の様々なフォーマットにおいて、ウクライナに対するロシアの侵略問題を提起しました。国連安保理以外に、他の国連機関でも私たちは作業を続けていました。残念ながら、私たちは、ロシアが拒否権を持っているという事実を回避することはできませんでした。ところで、現在、若干忘れられていることですが、2014年3月にウクライナが国連総会に領土一体性の決議を提出する前に、ロシアは国連安保理において同様の決議の採択を妨害したのです。また、2015年7月にも、ロシアは、マレーシア航空機MH17の悲劇の捜査に関する決議にも拒否権を発動しました。

侵略国が自らのウクライナに対する行為に関する決定に対して拒否権を発動するのであれば、国連安保理は制限され、ロシアの侵略に関してはかなり脆弱な内容の文書や決定しか採択できません。例えば、2017年1月31日の(ウクライナ東部)アウジーウカ近郊の情勢激化に関する関するプレス向け声明や、最近のドンバス情勢に関する安保理議長声明がそうです。これら文書は、多数決ではなく、理事国全てのコンセンサスで採択されます。残念ながら、これらの文書には、私たちの望むような断固とした表現は含まれていません。この状況に影響を与えることは、現時点では、実質的に非現実的です。もちろん、ロシアから拒否権を剥奪すべきだと考える政治家や専門家はいますが、この問題は近い将来に解決するものではありません。

しかし、水が石を摩耗するごとく、私たちは、止まってはなりません。今日行われている全てのことは、将来の結果となるのですから。

ウクライナには、(編集注:国連安保理の)拒否権に関して、何かしらの見解がありますか。

様々な見解があります。ロシアはソ連の消滅に関する決定採択という疑問の生じる状況下で国連安保理常任理事国になったのであり、ロシアは常任理事国であってはならない、というような急進的な考えもあります。

ウクライナは、拒否権の制限に関する提案をしている国の一つです。とりわけ、拒否権の制限の提案は、人道に対する大規模犯罪や大量虐殺(ジェノサイド)に関連します。また、国連安保理常任理事国が加わる対立する状況下、ロシアが侵略国となるような場合、常任理事国の権利を制限するという案もあります。私の考えでは、とりわけ国連憲章第27条の規範の下に、制限を科すことが議論できると思っています。

しかし、国連安保理は、世界規模の安全に脅威をもたらす問題を毎日審議する機関です。例えば、何万人もの死者を出したシリア紛争、中近東問題、イラン問題、アフリカの平和問題等です。ロシアは、自らの拒否権で非常に上手にマニピュレーションを行なっています。私たちが気にいるか否かにかかわらず、国連も、個別の国も、ロシアとの対話なくして、今日までシリア紛争を解決することができずにいます。

加えて、国連安保理メンバー国は常に入れ替わっていますが、ロシアの提案するウクライナに関する決定は、私たちのパートナー国が支持しない限り、国連安保理では一度も採択されていません。拒否権発動の関係しない手続きに関する問題であっても、ロシアは採択に必要な投票数を得られていないのです。

ロシアは、クリミアに関する立場について、国連内で徐々に状況が変わっていくことを期待しています。ロシアは、クリミアがロシアに「属している」かのような統計データを出す等、様々な行動をとっています。私たちは、このような統計データを受け取る等して、国連総会決議を完全に遵守しない組織や機関に対しては、すぐに行動をとるようにしています。

今後ウクライナは何を行なっていきますか。

ポロシェンコ大統領は、外務省に対して、クリミアに関する新しい決議案を準備するように課題を出しました。私たちは、次の国連総会会期にその案を提出します。この新しい決議案は、これまでの二つの決議をもとに作られますが、現在の状況も考慮されます。重要なのは、クリミアに関するこの二つの決議の履行状況に関して、国連の報告書が準備されていることです。新しい報告は、9月に発表されます。私たちは、この国連の報告の内容を次の決議案に利用していきます。次の決議案は、ロシアが関連決定を履行していないことに対する厳しい評価を含むことになります。

強調したいことですが、クリミアの返還に関して、軍事的手段は存在しません。私たちの前には、司法的・外交的な道が伸びています。これは、毎日の仕事の積み重ねです。国際裁判所に提出されるたった一つの覚書であっても、それは莫大な数の証拠となる事実が何百、何千というページに記述されるものなのです。そのため、全ての関係者が調整して仕事をすることが非常に重要なのです。

私たちは、その他の省庁と緊密に連携して仕事をしており、同僚達から非常に幅広い支持を受けています。私は、ムスタファ・ジェミレフ氏(編集注:クリミアの先住民であるクリミア・タタール人の指導者)に大変感謝をしています。2016年11月、ジェミレフ氏は、多忙な中で、ニューヨークへ向かい、被占領下クリミアの人権状況に関する最初の決議の説明に奔走しました。彼は、国連安保理第三委員会で決議が採択されるまで、朝から晩まで会合を持ち続けました。私はまた、市民社会代表者達にも感謝しています。彼らは、クリミアに関するものをはじめ、証拠に不可欠な情報の収集において、私たちを頻繁に助けてくれています。

クリミアは、疑いなくウクライナ領です。クリミアはウクライナへ戻りますし、戻る時は非軍事的手段により戻るのです。

写真:オレーナ・フジャコヴァ、ヴァディム・フリハ、ウクルインフォルム

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