大統領選挙2019 これぞ本当の選挙だ

大統領選挙2019 これぞ本当の選挙だ

ウクルインフォルム
ウクライナにとっての1番の課題は、過ちを犯さないこと

大統領選挙投票日の3月31日まで、あと数日。4月1日の朝に大勢が判明するのだが、現時点ですでに選挙運動期間を評価することは可能であろう。今回の選挙は、多くの新しいことが見られた。それはウクライナにとっての歴史的タイミングで選挙が行われていることだけが理由ではなかろう。そして、個々の有権者が抱える責任は大きい。

トップ3と予想外の影響

2019年の大統領選挙には、44人という歴史的な数の候補者が登録された。その後数名が、他の候補者のために出馬を取り消し、最終的には39名となった。このたくさんの候補者により、投票用紙の長さは80センチにもなる。

これほどの数になると、候補者全員に注意を向けて自らの選択をするというのは、通常はまず不可能なのだが、逆説的なことに、一見の選択肢が多くなればなるほど、実際の選択肢は狭まっていくものである。現在も、この「実際の選択肢」リストに入る候補者は、5、6人である。

一回目の投票を前に、最も支持を得ている上位3位は、現職大統領のペトロ・ポロシェンコ大統領、俳優・プロデューサーのヴォロディーミル・ゼレンシキー候補、祖国党党首のユリヤ・ティモシェンコ候補である。

選挙運動が公式に始まる約1か月前の2018年12月はじめの時点では、ティモシェンコ候補が最も支持を得ていた。同候補から大きく離されて、ゼレンシキー候補とポロシェンコ候補が追う形であった。それが、年が明け、1月に入ると、ゼレンシキー候補が疑いのない首位を走り始め、ポロシェンコ候補とティモシェンコ候補が2位と3位を行ったり来たりするようになる。キーウ(キエフ)国際社会学研究所、レイティング社、ラズムコフ・センターが共同で行った最新の世論調査では、一回目投票時にティモシェンコ候補に投票すると述べた者は16.6%、ポロシェンコ候補と答えた者は16.4%と0.2%しか差がなかった。なお、同調査の結果でゼレンシキー候補に投票すると答えたものは、27.7%であった。

画像:Delo.ua
画像:Delo.ua

選挙運動期間には、非常に多くのスキャンダルが見られた。これにより、候補たちは一定程度支持を落としたと見られる。

・Bihus.infoの国営防衛企業「ウクルオボロンプロム」社の汚職疑惑に関する調査報道

・票の買収「ピラミッド」システム摘発

・国家部隊の行動と、不十分な対応をとった内務省への批判

・憲法裁判所による刑法典の「違法蓄財」条項の違憲判決

そして、投票日まで数日となった現在、この3人のうち、誰が本当に決選投票に進めるのか、誰も予想を立てることができないでいる。スキャンダルや人の名誉を損なわせる種々の「情報」が飛び交う中、社会がこの状況に「疲れ」を見せているようにも思える。しかし、これは選挙がオープンに行われ、情報空間に自由があることの証拠ではなかろうか。

ウクライナには、世論調査の結果にもとづいて投票結果を予想する際に、考慮すべき要素が複数ある。例えば、ティモシェンコ候補の支持層の多くが、村落部に集まっており、対面式の世論調査の場合反映されにくい点などである。

加えて、どの層が、より積極的に自身の支持候補のために投票に行きやすいかという点も世論調査では現れにくい。現職大統領のポロシェンコ候補の支持層の方が、他の候補者の支持層よりも、より積極的に投票所へ行くだろうという予想も聞かれる。

実際の結果は、4月1日には判明する。世論調査で、投票先を決めていないと答えるのはおよそ25%にも上っている。

2019年選挙の投票率は記録的な数字となるか

過去2回の大統領選挙(2010年と2014年)を調べてみれば、世論調査の結果と実際の投票の結果は概ね一致するということがわかる。例外は、投票率である。世論調査で投票へ行くと回答しておいて、当日実際には投票へ行かなかった者が20~25%ほど出るのである。投票率が予想外の数字になる可能性はある。

過去の大統領選挙の第一回投票時の投票率は、以下の数字であった。

1999年 70.15%

2004年 74.54%

2010年 66.76%

2014年 59.48%(決選投票なし)

興味深いのは、2014年、投票日前に民主イニシアティブ基金とラズムコフ・センターが共同で行った世論調査の結果では79%が投票へ行くといっていたのに、実際の投票率はそれより約20%も少なかったことである。

2019年の投票率は記録的な数字になるであろうか。レイティング社の世論調査では、84%が投票へ行くと回答している。もしこの数字が投票率になれば、1991年に独立したウクライナが初代大統領を選出した時の水準となる。

同時に、もう一つ注意を促すことがある。今年の選挙では、政府も市民社会も国民に投票へ行くように最大限の努力をしていること、とりわけ若者の投票率を上げる努力をしていることである。例えば、司法省は、ネットで人気のある「アヒル」のイラストレーターであるナジーヤ・クシュニルさんと一緒に、有権者の投票権について説明する動画を発表している。若者役のアヒルを登場させることで、若い有権者に、社会の義務について思いださせるという意味で、上手いやり方であろう。

他には、アメリカで作られた慈善基金が同様の目的で「投票しないで!」というタイトルでの動画を模した動画も公開された。動画では、あたかも高齢者の人々が若者に対して「投票しないで、私たちがあなたのこと、あなたたちの将来についても決めてあげるから」と呼びかける内容となっている。

2014年、50~59歳の有権者が65%以上投票したのに対し、18~24歳の有権者は全体の約3分の1しか投票しなかった。今年は、その状況が変わるかもしれない。

ロシアの計画

ウクライナの独立にとっての最悪の敵である侵略国ロシアが、「自分」の候補者に賭けているということを、ほとんどの専門家が強調してきた。クレムリンにとっての「自分」の候補者とは、「混沌」である。つまり、ロシア政権は、ウクライナが不安定化すること、際限のない対立が生じること、社会の様々な層の間に不和が起こることを期待しているという意味である。ロシアは、ウクライナの選挙結果を「承認しない」と宣言するため、あるいは、ウクライナとは実在しない国であり、外部からのコントロールを必要とする国なのだと宣言するための口実を必要としているのである。過去半年、とりわけ選挙運動が始まってからの過去3か月の情報空間でのロシアの活発化は、まさにこのことに焦点を当てている。このロシアの計画がどれだけうまく成功したか。それは、投票が終わり、結果が発表されたときに判断できるであろう。

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ウクライナにとっては、2019年の大統領選挙を過ちを犯すことなく公正で平穏に行うことが大切なのである。

オクサーナ・ポリシチューク、ウラディスラウ・オブーフ、ユリヤ・ホルバン、オレクサンドル・ヴォリンシキー、セルヒー・ティーヒー、キーウ


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